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010502  百人一首の導入授業  ミニ報告

1) 百人一首の魅力について

 古典の授業の合間に、百人一首を私は長いこと生徒とともに楽しんできました。最初は、班の中での個人戦で行い、班の中でのランキングに応じて、ほかの班の同じランキングの生徒と戦うようなこともやったり、班の男子・女子に分かれて他の班の対抗戦を行ったりと、いろいろな戦い方を工夫してきました。それなりに、生徒も楽しみ盛り上がりました。

 今回報告するのは、一字決まりの和歌を紹介しながら、百人一首に強くなるためのアドバイスを導入に取り入れての百人一首の遊び方です。ぜひ、みなさんも、試みてみてください。

最初に準備しておきたいもの

班の数だけの百人一首のセット。(たぶん同じタイプをそろえることになると思いますので、カードがまじってしまうので、A・B・C・D・E・Fなどとセットごとにすべてのカードにマジックなどで書いておくと、便利です。)

百人一首の古典の授業として活用できるメリットを思いつくままあげておきます。

@ 読み札を読ませる生徒を作ると、歴史的仮名遣いの勉強になります。

A 歴史的仮名遣いを自然と理解できるようになります。

B 和歌のリズムを感じ取ることができます。

C 百人一首の歌を取り上げて、古典の基礎知識などの学習の素材として活用できます。

2) 授業計画(2時間)

1時間目の授業

  一字決まりの和歌の紹介(む・す・め)

  百人一首を楽しむ

2時間目の授業

  一字決まりの和歌の紹介(ふ・さ・ほ・せ)

  百人一首を楽しむ

  坊主めくりを楽しむ

3) 一字決まりの和歌の紹介のしかた 

板書 例 1時間目

○月○日    百人一首


上の句   下の句

5 7 5  [ 7 7 ]…取り札

 

一字決まりの和歌

  きりたちのぼる  あきのゆうぐれ

  ゆめのかよいじ  ひとめよくらん

  くもがくれにし  よわのつきかな

 

生徒たちへの説明せりふ(例)

「上の句の最初の一字を聞いただけで取り札のとれる和歌が、あります。一字決まりの歌といいます。百人一首に強くなるためには、この一字決まりの歌を覚えることです。今日は、三首教えますので、聞き取って発音通りひらがなでノートに書いてください。」

「最初は、[む]で始まる歌です。むらさめの…一字分スペースをとってください。つゆもまだひぬ…一字分スペースをとってください。まきのはに一字分スペースをとってください。ここまでが上の句です。

下の句は次の行に書きます。(といって、「きりたちのぼる」 「あきのゆうぐれ」と、板書します。)」

○生徒たちのノートには、上の句も下の句も記録されていますが、黒板には、板書例のように書いておけばいいでしょう。以下、同じように、「す」と「め」の歌を紹介します。

「では、先生の後について読んでみましょう。」

「むらさめの つゆもまだひぬ まきのはに (はい)」 …生徒は復唱する

「きりたちのぼる あきのゆうぐれ  (はい)」 …生徒は復唱する

(残りの二つの和歌も同じように、復唱させる)

「単純に一字決まりの歌を覚えるには、『む…きりたちのぼる  あきのゆうぐれ』『す…ゆめのかよいじ  ひとめよくらん』『め…くもがくれにし  よわのつきかな』と覚えてしまうといいですよ。では、百人一首をやってみますよ。」(取り札だけ配布する)

4) 百人一首のやり方について

@ 班内の男女別対抗とする。(人数の違う場合は、一人あたりの平均の枚数で勝敗を決する)

A 同じ高さの机を四つ使う。その机の周りに、イスを配置する。

B 百枚の取り札を4等分して、四つの机に取りやすいように並べる。(チラシて取るのは、時間がかかるのでやめたほうがいいと思う)

C 五十枚ほど取ったら、取り札を中央に集めてやると、自分の机の端において相手に取られないようにすることを防ぐことができる。

D お手つきは、1回お休みとする。

札の読み方の工夫

@ 基本的な読み方

  「あきのたの かりほのいほの とまをあらみ わがころもでは つゆにぬれつつ」(一回目は、上の句で小休止し、下の句をつなげる)

  「わがころもでは つゆにぬれつつ」(2回目は、下の句だけ読み上げる)

☆残りの枚数が少なくになるにつれて、読むスピードも速めたり、2回目の下の句だけを読み上げるのをやめたりする。

A 取り札が似たような始まりをする場合は、読み始める前に、「似たようなのがたくさんあるので、よく聞いてから取ってください。」

例…A1 君がため 春の野にいでて 若菜摘む わが衣手に 雪は降りつつ

   A2 秋の田の かりほの庵の 苫をあらみ わが衣手に 露にぬれつつ

例…B1 小倉山 峰の紅葉ば 心あらば 今ひとたびの みゆき待たなむ

   B2 あらざらむ この世のほかの 思ひ出に 今ひとたびの あふこともがな

B 取り札の始まりの一字が、歴史的仮名遣いで取りにくいだろうと思われる場合は、2度目に読むときに、歴史的かなづかいをそのまま発音するとよい。

例  一回目の読み方

   「あまつかぜ くものかよいじ ふきとじよ とめのすがた しばしとどめん」

   2回目の読み方

   「とめのすがた しばしとどめん」

例  一回目の読み方

   「わすれじの ゆくすえまでは かたければ きょうをかぎりの いのちともがな」

   2回目の読み方

   「けふをかぎりの いのちともがな」

C 一字決まりの歌を読むときは、「チャンスカードです」とアナウンスしてから読む。また、最初の一字を長めに伸ばして読み始めると、一字決まりの歌であることが、わかりやすい。

例  「むーーー らさめの つゆもまだひぬ まきのはに きりたちのぼる あきのゆうぐれ 」

5) 坊主めくりのやりかた

坊主めくりとは
 

坊主めくりとは、百人一首のかるたを使って行うカードゲームです。

遊び方は、地方や家庭によって、さまざまなルールがあります。
井上が少しアレンジしましたが、一般的な遊び方をご紹介いたします。

百人一首かるたの絵札(読み札)のみを使用します。
全部の札を裏向きにし、よく混ぜ、裏向きのまま重ねます。二つの山にします。


その山から、上から順にひとり一枚ずつめくり、自分の手札とします。(二つの山のどちらからめくってもいいです。)
坊主の絵札を引いたら、すべてのもち札を差し出し、次に姫(女性)の絵札を引いた人が、差し出された札をすべてもらえるというゲームで、すべての札を引き終わったときもち札の一番多い人が勝ちとなります。

残り時間5分もあれば、慣れれば2回くらい楽しむことができます。

人目のご訪問、ありがとうございます。 カウンタ設置 2005.8.31