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07010105   教育科学研究会・国語部会  第4回入門講座  東京・本郷集会(2005年6月25日〜26日)より


はじめに                                                            

 2005年6月25日〜26日の教育科学研究会・国語部会で、教科研岩手国語部会の千田晃一先生が、レポート提案された原稿を、私のホームページで公開させていただきたいとお願いして、ここに掲載させていただくことができました。
 本レポートは、ご自分の担当する学級をお持ちではない千田先生が、同じ学校の担任の先生が出張等で空きが出たときの自習時間に行った大変制約の多い中の授業実践記録ですが、大変細かな記録である点、多くの方にお読みいただき、授業実践に生かしていただきたいと思います。レポート中の児童名などは削除したり、レポート中の千田先生の注を四角囲みで挿入したり、一部井上がホームページ公開にあたり編集してあります。
 なお、千田先生のレポートについてご質問などありましたら、井上秀喜までメールをお送りいただければ、そのまま千田先生に転送いたします。
 原稿の公開を、お許しいただいた千田晃一先生に感謝いたします。   2005.7.30


レポートの公開にあたって千田晃一先生からメッセージが届いていますので、レポートの冒頭に引用紹介します。

 私の実践の基本的な構想は、「にっぽんご」シリーズの教科書や奥田靖男先生、佐藤里美先生の文法教科書案によっています。また、授業実践は、岩手の村上三寿・久美子先生ご夫妻からまなんだものです。ですから、だれからまなび、実践しているのかを、紹介ねがいます。授業はまだまだ不完全なことは、充分わかっています。ぜひ参考文献等の紹介もしていただき、他の皆様には、そこからまなんでほしいとおもいます。


『にっぽんご』の授業 こうすれば たのしく わかる 『にっぽんご』―― 『にっぽんご』の ふしぎを みつけよう ――

                      教科研岩手国語部会  千田 晃一

1 はじめに

「…いま、わたしたちは、あらためて仲間と力をあわせて、いい仕事をすることに生きがいと誇りをもつことが必要である。教育は創造的な仕事である。子どもたちがあたらしい社会を創造する力を身につけていくように、わたしたち自身も仲間と学びあいながら、つねに実践をめざすこと、これが教育研究集会のいのちである。…」 
                     (第56次岩教組教研集会 2003 日本語教育分科会基調報告より抜粋)

 村上三寿先生(岩手・滝沢南中)とともに、気仙地区で文法の学習会をはじめてから、三年目にはいる。一年目は、文法を学習する意義、文(文のタイプ、文の内部構造など)、単語、音声、四品詞(名詞、動詞、形容詞、副詞)のはたらきなどをまなんできた。昨年度はそれらをもとに、サークルの仲間が、それぞれの教室で子供たちとともに『にっぽんご』のしくみをまなんでいく楽しさを、実践をとおして具体的に報告しあってきた。
 今年度の私たちの仕事は、『にっぽんご』の授業のパンフレットづくりである。そしてそれをもとに『にっぽんご』の授業をしていく仲間をふやしていくことである。実践の心がまえとしては、みんながやれることをみんなでやってみること、子どもに『にっぽんご』のふしぎを発見させながら、実践する仲間、集団をぶやしていくことを大切にしていきたいとおもう。

2 実践のながれ

 【導入】
 一年間の授業の導入として『最後の授業』(アルフオンス=ドーデ作)をあつかう。この作品は戦争によって、自分たちの母国語がはなせなくなってしまうという悲劇をえがいたものである。小川義男(私立狭山ケ丘高等学校校長)は『二時間目 国語』(宝島社 2004年)のなかでこの作品を次のように紹介している。

 「フランス北東部のアルザス・ロレーヌ地方は、ドイツとの国境にあり、地下資源に恵まれた地域である。プロイセンは、1871年、フランスとの戦争に勝利すると、この二つの地域の割譲を要求し、そこに住む16万の人々は、フランスの他の地域やアルジェリアに移住した。プロイセンは、アルザス・ロレーヌ地方を獲得すると、この地域の学校で、フランス語を教えることを固く禁じた。人は話すときに言葉を用いるだけでなく、考えるときにも言葉を使う。言葉がなければ思考もない。だから、言葉は、人間性や民族性の存在根拠であるとも言えるであろう。故国を追われる高齢のアメル先生が、どれほど悲痛な思いを、フランス語とアルザスに残る幼い世代に託していたか、その事を思いつつ味わいたい作品であろう。」

 この作品をとおして子供たちは、ことぱの大切さ、民族が言語をうしなわれるつらさ、じぶんの国の言語をまなぷ大切さなどをまなんでいくことであろう。また、この作品だけでなく、過去にはアイヌや台湾、韓国などの人たちに対してもかなしい歴史があったこともおしえていく必要があるであろう。

【具体的な実践の構想】
  1)単語の体系的なしくみ(4品詞)
  ・名詞、動詞、形容詞、副詞
  ・品詞の意味、形、役わり
  2)文のしくみ
  ・ 文…一つのできごとをえがいている。主語、述語からできている。
  ・ 文のさまざま…名詞述語文、動詞述語文、形容詞述語文
           つたえる文、たずねる文、はたらきかける文(命令、たのむ、さそう)
  3)文のしくみ(内部構造)
  ・主語(名詞)
  ・述語
  ・補語(〜を 〜に 〜で)
  ・修飾語(連体修飾語→形容詞 連用修飾語→副詞)
  ・状況語(時間、場所、原因、目的、場面)
  4)単語の形の体系
    動詞のかたち…語幹と語尾
  5)文について
  ・あわせ文…連用形(中止形)「〜して、〜」例)食べて(食べ)あるいて(あるき)
  ・条件の形…「〜すれば、〜」例)たべれぱ たべたら

3 報告について

 ここで報告する内容はつぎのとおりである。
 1.『最後の授業』のよみきかせ…6年生…1時間
 2.文の学習…2年生         …1時間
 3.「くっつき」の学習…2年生    …1時間
 4.4品詞(名詞、動詞、形容詞、副詞)の学習…4年生、5年生、6年生…3時間
 5.名詞のさまざま…6年生    …1時間

※4.4品詞(名詞、動詞、形容詞、副詞)の学習については、ホームページ掲載にあたり4年生のみにしてあります。(井上秀喜)


1 『最後の授業』(アルフオンス=ドーデ作)   6年生    2005年4月23日(土)

 この時間のねらいは『最後の授業』(アルフオンス=ドーデ作)をよみきかせすることにより、子供たちに母国語の大切さに気づかせること、そしてこれから『にっぽんご』をまなんでいこうとする心がまえをつくっていくことである。

 『最後の授業』という文学作品は、『消えた「最後の授業」言葉・国家・教育』(府川源一郎 大修館書店 1992)の中で次のように紹介されている。

 『最後の授業』という文学作品がある。フランスの作家ドーデによって書かれた短編で、明治時代に我が国に翻訳紹介されて以来、今日まで多くの読者に親しまれてきた。また、教科書教材としての支持も高<、とりわけ国語教科書の教材として広範に採用されてきた作品でもある。
 フランスとプロシア(ドイツ)にはさまれたアルザス地方が、この作品の舞台である。時は、l872年、普仏戦争、つまりプロシアとフランスとの戦争の結果、フランスが破れ、それまでフランスの領土であったアルザス・ロレーヌ地方が、プロシアに割譲された時の話である。

 その朝、フランツ少年は学校に遅刻しそうになるが、ようようのことで教室へ滑り込む。ところが教室はいつもとは雰囲気が違い、厳粛な空気が漂っている。あまつさえ教室の後ろには、元の村長や郵便配達夫までが座っている。
 アメル先生が言う。
「私が授業をするのはこれがおしまいです。アルザスとロレーヌの学校では、ドイツ語しか教えてはいけないという命令が、ベルリンから来ました。今日は、フランス語の最後のおけいこです。」
 このことぱで、フランツ少年は初めて自分たちの置かれた占領という状況に気付き、アメル先生に対して愛惜の情を抱くのである。
 アメル先生は、必死に授業を進める。田園の平安の中で、勉強を軽視しがちだった住民と、またそれを安易に許してしまった自分自身に対する悔恨を胸に、アメル先生は情熱を込めてフランス語の重要性を説く。
「フランス語は世界じゅうでいちぱん美しい、いちぱんはっきりした、いちぱん力強い言葉であることや、ある民族がどれいとなっても、その国語を保っているかぎりは、そのろう獄のかぎを握っているようなものだから、私たちのあいだでフランス語をよく守って、決して忘れてはならない、」と。
 それから文法の本を読み、習字を済ませる。歴史の時間を終え、バプビボビュを歌うと、とつぜん正午の鐘が鳴り、プロシア兵のラッパが鳴り響いた。
 教壇に立ちすくんだアメル先生は、感極まって黒板に、こう書く。
「フランスぱんざい!」(Vive la France!)

 授業をうけるこの学級の子供たちは、今まで体系的な『にっぽんご』の授業や、えがかれている形象から絵と感情にするていねいなよみの授業の体験がほとんどない、ごくふつうの小学校のふつうの子どもたちである。

【指導のながれ】
 1.今日の授業のおおまかな説朋。
 2.『最後の授業』…作者の説明。登場人物や大まかなすじの確認。
 3.作品の舞台になっている場所を世界地図で確認。
 4.テキストをよむ。
 5.日本人が朝鮮の人たちにしてきたこと(社会科資料集)  卓球の愛ちゃんの記事の紹介
 6.母国語の大切さと、それをまなぷ意味。
 7.感想をかく。

   最後の授業     アルザスの一少年の物語
                                アルフォンス=ドーデ作
                                神宮 輝夫訳

 その日の朝、ぼくは、学校へ行くのが、たいへんおそくなりました。それに、アメル先生が分詞について質問すると言われていたのに、ぼくは、それを一つも覚えていなかったので、しかられるのがとてもこわかったのです。ふっと、学校を休んで、野原をかけ回ってみようかしら、そんな気にもなりました。
 暖かい、よく晴れた日でした。
 森の外れでは、つぐみが鳴いています。リぺールの原っぱでは、製材所の裏で、プロシア兵が教練をしている声が聞こえます。どれもこれも、分詞の規則よりずっとおもしろそうです。けれども、ぼくは、そんな気持ちをやっとおさえて、大急ぎで学校へ走っていきました。
 役場の前まで来ると、金あみを張った小さなけい示板の前に、人だかりがしていました。二年前から、敗戦だの、ちょう発だの、司令部の命令だのといった、いやな知らせは、みんなここからやってきたのです。ぼくは、立ち止まりもしないで、「今度は何が起こったんだろう。」と考えました。
 そして、広場を走りぬけようとすると、見習いのこぞうといっしょに、けい示を読んでいたかじ屋のワシュテルが、大声でぼくに呼びかけました。
「おい、ぼうず、そんなに急ぐなよ。どうせ学校にはおくれっこないんだから。」
 かじ屋のやつがぼくをからかってるんだなと思ったので、息せき切って、アメル先生の学校の小さな中庭にかけこみました。
 ふだんは、授業の始まるときは大さわぎで、それが通りにまで聞こえてくるほどでした。机を開けたり閉めたり、日課をよく覚えようと、耳をふさいで、みんながいっせいに、大声でくり返したり、先生が大きな定規でテーブルをたたいて、
「もっと静かに―。」
とさけんだりするのです。
 ぼくは、そのさわぎにまぎれて、こっそり席に着くつもりだったのです。ところが、その日に限って、まるで日曜の朝のように、何もかもひっそりとしていました。友達はもうめいめいの席にならんで、アメル先生があのおそろしい鉄の定規をかかえて、行ったり来たりしておられるのが、開いた窓ごしに見えました。この静まり返った真っただ中に、ドアを開けて、入っていかなければなりません。ぽくは、どんなにぼずかしく、どんなにこわかったことでしょう。
 ところが、大ちがいでした。アメル先生はおこりもしないで、ぽくを見ると、とてもやさしく、こうおっしやったのです。
 「早く席に着きなさい、フランツ。君がいなくても、始めるところだった。」
 ぼくは、こしかけをまたいで、すぐに自分の席に着きました。やっと気持ちが少し治まったので気が付いたのですが、先生は、視学官の来る日か、賞品授与式の日でなければ着ない緑色の立派なフロック−コートを着て、細かいひだの付いたはぱの広いネクタイを着け、ぬい取りのある黒い絹の丸い小さなふち無しぽうをかぷっておられるのです。
 それに、教室全体が、なんとなく異様に重々しい感じです。いちぱんおどろいたのは、教室の後ろの、ふだんは空いている席に、村の人たちが、ぽくたちと同じように、だまってこしを下ろしていることでした。三角ぼうを手にしたオゼールじいさん、元の村長さん、元の郵便局長さん、そのほかいろんな人たち。
 その人たちは、みんな悲しそうでした。オゼールじいさんは、ふちのいたんだ古い初等読本を持ってきていて、ひざの上に広げ、大きな眼鏡を、開いたページの上にのせていました。
 このような様子に、ぽくがびっくりしている間に、アメル先生は教だんに上がり、ぼくをむかえたときと同じように、やさしくて、しかも重々しい声でおっしゃいました。
「みなさん、わたしが授業をするのは、これが最後です。アルザスとロレーヌの学校ではドイツ語しか教えてはいけないという命令が、ベルリンから来たのです。―あしたは、新しい先生が見えます。今日は、フランス語の最後の授業です。よく注意して聞いてください。」
 この言葉に、ぽくは気が転とうしてしまいました。ああ、ひどいことをする人たちだ。さっき役場にけい示してあったのは、このことだったのか。
 フランス語の最後の授業――。
 それなのに、ぼくは満足に書くこともできないのだ。もう、二度と習うことはできないのだろうか。このままで勉強をやめなくてはならないのだろうか。今になって、鳥のすを探して回ったり、ザール川でスケートをしたりして、授業をずるけ、時間をむだにしたことが、本当にくやまれてなりません。
 ついさっきまで、あんなにじゃまで荷やっかいだった本、文法の教科書や聖書などが、今では別れるのがつらいむかしなじみのように思われました。アメル先生に対しても同じでした。先生は、じきによそへ行ってしまわれる。もうお会いすることもあるまいと思うと、ぱつを受けたことも、定規で打たれたことも忘れてしまいました。
 気の毒な先生。
 先生は、この最後の授業のために、あの晴れ着を着ていらっしやったのでした。そして、ぽくは、なぜ村の老人たちが教室のすみに来てすわっているのかが、今になって分かりました。みんな、たぴたびこの学校に来なかったことを後かいしているのでしょう。それにまた、先生に対して、四十年の間よく勤めてくださったことを感謝し、去り行く祖国に対して、敬意を表するためでもあるの でしょう。
 こうした思いにふけっているとき、ぼくの名を呼ぶ声がしました。ぼくの暗唱する番だったのです。あのめんどうな分詞の規則を、大きな声ではっきりと、一つもまちがえずにくわしく言うことができるなら、ぼくは、どんなことでもしたでしょう。ところが、ぽくは、最初からまごついてしまったのです。自分の席につっ立ったまま、胸がいっぱいになって、顔も上げられずにもじもじしていました。
 アメル先生の声が聞こえました。
「フランツ、わたしは君をしかりません。もう、十分ぱつを受けてるはずですから―。そんなふうにね。わたしたちは、日ごろこう考えます。『なあに、ひまは十分にある。勉強はあしたにしよう。』と。その挙げ句どうなったかは、君にも分かるでしょう。ああ、いつも勉強を明日に延ぱすのが、わがアルザスの大きな不幸だったのです。今、あのプロシア人たちにこう言われても、仕方がありません。『なんだ、お前たちは、フランス人だと言い張ってたじゃないか。それなのに、自分の国の言葉を読むことも書くこともできないのか。』この点では、フランツ、君だけが悪いわけではない。わたしたちみんなが、非難されなければならないのです。
 君たちの両親は、君たちに教育を受けさせることを、あまり望まれませんでした。わずかなお金でも余計にかせぐために、畑仕事をしたり、製糸工場へ働きに出ることを望んでおられました。このわたしにしても、非難されることがないと言えるでしょうか。勉強させる代わりに、君たちに、たびたび庭に水まきをさせはしなかったでしょうか。また、自分がますをつりに行きたかったとき、君たちを休ませることにためらいを感じたでしょうか。」
 それからアメル先生は、フランス語について、次から次へと話されました。フランス語は、世界でいちぱん美しい、いちぱんはっきりした、いちぱん力強い言葉であること、たとえ、ある国民がどれいになった場合でも、自分の国語をしっかり守ってさえいれば、ろう屋のかぎをにぎっているようなものであること、だから、わたしたちは、フランス語を大事に守って、決して忘れてはならないこと、などを話されました。
 それから先生は、文法の本を手に取って、今日習うところを読んでくださいました。とてもよく分かるので、ぽくはびっくりしました。先生の言われることが、みんなたいへん易しく思われました。ぽくは、これほど気を付けて聞いたことは一度もなかったし、また、先生が、これほどしんぼう強く説明されたこともなかったと思います。気の毒にも、先生は、ここを立ち去る前に、自分の知っていることをすっかり教えて、いっぺんにぼくたちの頭に入れようとしておられるようでした。
 それが終わると、習字になりました。この日のために、アメル先生は、真新しい手本を用意しておられました。それには、丸みのある見事な書体で、「フランス、アルザス、フランス、アルザス。」と書いてありました。みんなの机の横木にかけられた手本は、まるで教室じゅうにひるがえる小旗のように見えました。
 みんな、なんといっしょうけんめいだったことでしょう。それに、なんという静かさ。ただ、紙の上を走るペンの音が聞こえるぱかりでした。とちゅうで、一度、黄金虫が飛ぴこんできましたが、気を取られる者はいません。いちぱん小さい生徒たちまでが、熱心こ、まじめに、一画一画の線を書いていました。そんなものでも、フランス語であるかのように。
 学校の屋根では、はとが低い声でクークー鳴いていました。ぽくは、それを聞きながら、「今に、はとまでがドイツ語で鳴かなけれぱならなくなるのかしら。」と思いました。
 ときどき、ページから目を上げると、教だんの所で、アメル先生が、身動きもしないで周りの物を見つめていらっしゃいました。自分の小さな校舎を、全都目の中に納めておこうとでもしているかのように。
 考えてもごらんなさい。四十年来、この同じ場所に、校庭を目の前にして、少しも変わらないこの教室にいらっしゃったのです。ただ、こしかけと机が、使われているうちにこすられ、みがかれて、つやが出ているだけです。庭のくるみの木も大きくなり、先生が自分で植えられたつる草も、今では窓をかざって、屋根までのびています。
 お気の毒に、こうしたすべての物と別れることは、どんなに悲しいことでしょう。また、二階で荷造りをしながら行き来している妹さんの足音を聞くことは、先生にとって、どんなにつらいことでしょう。だって、先生きょうだいは、明日は出発して、永久にこの土地と別れなければならないのです。
 それでも、先生は勇気を出して、最後まで授業を続けられました。習字の次は歴史でした。その次には、小さな生徒たちが、みんないっしょに、バ・プ・ビ・ボ・ビュの歌を歌いました。
 教室の後ろの方では、オゼールじいさんが眼鏡をかけ、初等読本を両手に持って、小さい生徒たちといっしょに、文字を一字一字たどって読んでいました。おじいさんもいっしょうけんめいでした。その声は感動でふるえていました。それを聞いていると、とてもおかしいので、ぼくらはみんな、笑いたいような、それでいて、泣きたいような気持ちになるのでした。ああ、ぼくは、この最後の授業をいつまでも忘れることがないでしょう。
 とつ然、教会の時計が十二時を打ち、続いてアンジェリュスのかねが鳴りました。ちょうどそのとき、教練から帰るプロシア兵のラッパが、ぼくらのいる窓の下で鳴りひぴきました。アメル先生は真っ青になって、教だんにお立ちになりました。先生がこれほど大きく見えたことはありませんでした。
 「みなさん。」
と、先生はおっしやいました。
 「みなさん、わたしは――、わたしは――。」
 しかし、先生は胸をつまらせて、言葉を続けることができませんでした。
 そこで、先生は黒板の方に向き直り、チョークを取って、力いっぱいに、できるだけ大きな字で書かれました。
 「フランスぱんざい。」
 それから、頭をかぺにおし当てたまま、じっとしていらっしゃいました。やがて、何も言わずに、手で合図をなさいました。
 「おしまいです。――お帰り。」
                            (1983 国語 六下 光村図書)
【資料1】
 【日本語を強制的に教えられた朝鮮の子どもたち  韓国併合1910 】
 学校では、天皇に仕える国民となることをおしつける教育がおこなわれました。日本語を「国語」として朝鮮語の授業をしだいになくし、日本の歴史を「国史」として朝鮮の歴史を禁止しました。
  (社会科資料集 6年  日本標準)

【資料2】
 【“9・11級’’厳戒態勢‥愛ちゃん、日本語禁止】
 大規模な反日デモが行われた中国・上海で30日から開催される卓球世界選手権を前に、日本オリンピック委員会(JOC)の福田富昭選手強化部長(63)は18日、卓球関係者に対し、JOC作成の『危機管理マニュアル』の携行と公共の場での日本語会話禁止を決めた。
 危機管理マニュアルは米同時多発テロの直後に02年ソルトレークシティー冬季五輪用に改訂した。緊急時の連絡体制の構築、テロや誘拐の対策などが盛り込まれている。まさに“9・11級”厳戒態勢で福原愛(16)=グランプリ=らが敵地へ乗り込む。
 大会期間中の5月4日には反日愛国主義の起源である1919年の「五・四運動」記念日があり、福田部長は「反日デモは上海がいちぱん激しかったので、卓球協会に注意する。日本語も禁止だ」と厳命。集団行動時は中国帰化選手の吉田海偉と金沢咲希、日常会話OKの愛ちゃんが中国語で話し、日本人襲撃を防止する。選手団は24日に中国入りする。
  (サンケイスポーツ)4月19日

 『最後の授業』は、にっぽんごの授業の導入としてよみきかせをしたものであるが、時間があれば子どもたちとじっくりよんでいきたい作品の一つであるとおもった。作品をよんでいるときは、じっときいていた子どもたちの姿が印象的であった。
 訳者が4人もいたことはおどろきであった。神宮輝夫訳のみ敬体で、他の桜田佐訳、松田植訳、はぐるま編集部・訳は常体でかかれていた。内容について、どの訳も大きなちがいはみられない。
 また、ふるい教科書等もきちんと保管しておく必要があるとかんじた。

【授業後の児童の感想】
・「ずいぶん長い話だなあ」と思っていました。けれども、私の思ったことはまちがっていました。アメル先生は、鉄の定規で机をたたくところがとってもこわかったです。だけど、最後の言葉「おしまいです。―お帰り」という言葉が心に残りました。やっぱり、国の言葉を使っていけないと言われたら、とても残念です。だからこの国を大事にして、平和な町にしていきたいです。
・自分が住んでいる国語が使えないのは、悲しいと思います。これが最後の授業だと思うとなんだか、くやしく感じてきました。とても感動したけれど、この時のフランスの人はとてもかわいそうでした。
・最初はどんな話がはじまるかわからなかったけれど、聞いていて、すごくかわいそうな話だと思いました。いきなりフランス語をはなしてはいけないなんていやだなあと思いました。
・日本で日本語をしゃぺられなくなったら、いちいちほかの言葉を勉強しなくちゃならないから、そうなってほしくない。
・自分の国の言葉がつかえなくなるのは、とてもかわいそうだと思った。
・この話を読んで、自分の国の言葉を話せるのは、しあわせだなあと思った。
・アメル先生は最後の授業をやめて、ぽくは(かなしいなあ)と思った。アメル先生は、本当はやめたくないと思いました。
・最後の授業を受けるのは悲しいことだけれど、アメル先生は、最後まで授業を続けた。最後に「おしまい―お帰り」というところが感動した。
・ちょっと長かったけれど、少しフランスのことがわかった。感動しました。
・昔あった事が、今も続いていると思うと、何かいやだなあと思った。
・私は,アメル先生が熱心に授業を受けている生徒たちを想像して、感動しました。
・ぽくはこれを読んで、フランス語がドイツ語にかわるなんて、ひどいと思った。
・ぼくたちも日本で「最後の授業」をやることになったら、こういうことになるのかと思いました。
・長い話だったけれど、感動の話でした。とくに感動した所は「フランスぱんざい」の一言でした。
・日本もこうなると思うと、また一からやりなおしになると思った。こんなことはないようにしていきたい。
・アメル先生の最後のことぱが感動しました。

【参考文献】
  『希望 国語 六下』(光村図書 1983)
  『新訂文学読本 はぐるま 7』(部落問題研究所編 1990)
  『二時間目 国語』(小川義男監修 宝島社 2004)
  『最後の授業』(アルフオンス・ドーデ作 桜田佐訳)
  『消えた「最後の授業」』(府川源一郎 大修館書店 1992)
  『社会科資料集6年』(日本標準 2004)


2 文の学習  2年生         2005年5月18日(水)

 おはなしは いくつもの ぶんから できて います。
 ぶんは それぞれ ひとつの できごとを つたえて います。
 ぶんの おわりには 「。」があります。
               (二年生の にっぽんご P2)
 第T部 形態論  第1章 文
第1章 文   規定1
 はなしたり かいたり する わたしたちの 言語活動は、 ふつう  いくつかの 文から くみたてられていて、 ひとまとまりの できごとを つたえて います。 文は ひとつひとつの できごとを つたえていて、 はなし、かきの いちばん ちいさな 単位です。 はなす ときには 文の おわりで 間を とります。 かく ときには 「。」を つけます。
(「あたらしい日本語文法の基礎(2版)―奥田靖雄著『にっぽんご宮城版』1984〜93をもとに―」 佐藤里美 1998)

【指導のながれ】

(1) 導入…ALTの先生とべんきょうしたこと
(2) 教材の提示
(3) おはなしはできごとの単位(文)に区切る必要があること。
(4) 教材文を正しい文に区切ること。
(5) 「なになにが どうする」「だれだれが どうする」のひとまとまりで、文はひとつのできごと(絵)と対応すること。
(6) できごとの単位(文)には、「だれが」(あたま)と「どうする」(足)の二つの部分が必要であること。
(7) まとめとれんしゅう

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【授業記録】
(1)導入…ALTの先生とべんきょうしたこと

T みんな、今日の一時間目は、だれとおべんきょうをしましたか?
・ マーク先生です。
・ 千田先生です。
T そうでしたね。マーク先生と千田先生といっしょにべんきょうしました。どんなことばをべんきょうしたか、いえますか?
・ Apple
・ Banana
T 「Apple」「Banana」は何語ですか?
・ 英語!!
T そうです。英語です。みんながしゃべっているのは?
・ 日本語。
・ T そうですね。今日は「にっぽんご」についてべんきょうしていきましょう。

(2)教材の提示

T ここにあるものをかいてきました。しっているお話かなあ。みんなでよんでみましょう。
(『ももたろう』のお話 紙板書 「。」がない。 『二年生のにっぽんご』P2〜4)

  むかしむかしあるところにおじいさんとおばあさんがすんでいましたおじいさんはやまへしばかりにいきましたおばあさんはかわへせんたくにいきましたおばあさんはかわでせんたくをしていましたおおきなももがどんぶらこどんぶらことながれてきましたおばあさんはももをひろいあげましたおばあさんはももをもっていえにかえりましたおじいさんはしばをしょってやまからかえってきましたおじいさんとおばあさんはまないたのうえでももをきろうとしましたするとももはひとりでにわれましたかわいいおとこのこがおぎゃあおぎゃあとうまれましたおじいさんとおばあさんはおとこのこにももたろうとなまえをつけました。

・ (あー、ながいなあ。)
・ みたことある。
・ わかった、わかった。
T では、最初は目でよんでみましょう。(黙読)(よみおわったあと)
T 何のお話か、わかった人?
・ 『ももたろう』(一斉)
T では、どうして『ももたろう』とわかったか、おしえてください。
・ とちゅうに、ももがかいてあったから。(紙板書を指さしながら)
・ 「おじいさんは やまへ しばかりに いきました。」とかいてあるからです。
・ 「どんぶらこ」のところです。
・ 「おじいさんと おばあさんが すんで いました。」のところです。
T なるほど、では正解をいいます。このお話はみんながかんがえたとおり、『ももたろう』です。
・ 「。」がついていないなあ。
T では、私がよんでみます。(息つぎをしないで、一気によんでいく。だんだんくるしそうに…)
・ (笑)
T はー、つかれた…。どうして、つかれてしまったんでしょう?
・ ずっと声をだしていたからだ。
・ 「、」とか「。」がなかったから。

(3)おはなしはできごとの単位(文)に区切る必要があること。

T そうか、「、」や「。」がなかったから、つかれてしまったんだ。では、今から「。」をつけてみたいとおもいます。
T (適当な場所に「。」をつける。)では、よんでみますよ。

むかしむか。しあるところにおじいさんとおば。あさんがすんで。いましたおじいさんはやまへし。ばかりにいきましたおばあさんはか。わへせんたくにいきましたおばあさんはかわでせんたく。をしていましたおおきなももがどん。ぶらこどんぶらことなが。れてきましたおばあさ。んはももをひろいあげま。したおばあさんは…

T これでみんなのいうとおりに「。」をつけたので、くるしくならずによむことができました。
 ・えーっ、へんだ。(さわぎはじめる。)
T へんですか?うーん、ではどこに「。」をつければいいですか?
・ 「た」がついているところです。
T はあ、「た」の下ですか…。なるほど。わかりました。ありがとうございます。では、つけてみましょう。えーと、どこにあるかなあ?…あー、あった。
 (「せんたく」の「た」の次に「。」)「…おばあさんはかわでせんた。くをしていまし…」
・ ちがう、ちがう。(大さわぎ)
・ 「ました」の下につけるの。
T ここ(「せんた。」「く」)はだめなの?
・ だめ!!

(4)教材文を正しい文に区切ること。

T そうか。では、私がよんでいきますから、みんなは「。」だとおもうところでストップしてください。
T 「むかし むかし ある ところに おじいさんと おばあさんが すんで いました…」
・ まる!
T ここでいいですか?
・ いいです。
T どうやら、みんないいようですね。ではここを@にします。では次にいきますよ。「おじいさんは やまへ しばかりに いきました…」
・ まる!(元気よく)
T ここでいいですか。はい、わかりました。(「。」をつける。)ここをAにします。
T 「おばあさんは かわへ せんた」ここは?
・ だめ。
T 「おばあさんは かわへ せんたくに いきました」
・ まる!(元気よく)
T いいですね。Bにします。では次にいきますよ。「おばあさんは かわで せんたくを して いました…」
・ まる!(元気よく)
T ここをCにします。では次にいきましょう。「おおきな ももが どんぶらこ どんぶらこと ながれて きました…」
・ まる。
T すごいねぇ。ここがDです。「おばあさんは ももを ひろいあげました…」
・ まる。
T ここがEです。「おばあさんは ももを もって いえに かえりました…」
・ まる。
T ここがFです。「おじいさんは しばを しょって やまから かえって きました…」
・ まる。
T ここがGです。「おじいさんと おばあさんは まないたの うえで ももを きろうと しました…」
・ まる。
T ここがHです。「すると ももは ひとりでに われました…」
・ まる。
T ここがIです。「かわいい おとこのこが おぎゃあ おぎゃあと うまれました…」 
・ まる。
T Jです。「おじいさんと おばあさんは おとこのこに ももたろうと なまえを つけました…」
・ まる。
T おしまいがK。今、青いチョークで「。」をつけました。ここでいいですか?全部でKあります。では、ききますよ。むずかしいですよ。このような一つ一つを何といいますか?
・ むかし話です。
・ お話です。
・ 文だとおもいます。
T 「文」って、きいたことがありますか?そうですね。12のお話、「文」からできています。漢字でかけるかな?
・ はい。
T 「文」とかきます。よんでみましょう。
・ ぶん。
T ここにかいたお話は、全部で12の文からできています。

(5)「なになにが どうする」「だれだれが どうする」のひとまとまりで、文はひとつのできごと(絵)と対応すること。
『ももたろう』の絵と文の提示

T (わざと)あっ、おとしてしまった。ばらばらになってしまったねえ。(絵を一枚一枚はっていく。)ちょっとおとしてしまったから、順番がわからなくなってしまいました。ここにお話、文があります。今から、このお話とどの絵があうのか、かんがえてもらいます。(絵に番号をつけていく。)           ※さし絵は「二年生の にっぽんご P2〜」

〔井上秀喜の補注〕  千田先生のレポートには「桃太郎の挿絵が掲載されているのですが、ホームページに掲載するにあたりその挿絵を掲載できないため、どんな挿絵なのか、コメントしておきます。実際の挿絵は「二年生の にっぽんご P2〜」に掲載されています。

@ なべのつるしてある囲炉裏を囲んで、おじいさんとおばあさんが食事をしているところの絵
A おばあさんが、大きな桃をたらいにのせて運んでいるところの絵
B 大きな桃が川を流れてくるところの絵
C おばあさんが、たらいに洗濯物をのせて川に向かって歩いているところの絵
D おじいさんが、しょいこを背負って山に向かって歩いているところの絵
E おばあさんが、川で洗濯しているところの絵
F おばあさんが、川から大きな桃を持ち上げているところの絵

以上7枚の挿絵を、黒板に貼付けて以下の授業は展開していきます。

T では、この文をよんでみましょう。     
・ 「おばあさんは ももを もって いえに かえりました。」
T この文は、この絵の中のどれでしょうか?
・ Aです。(一斉)
T いいですか。では、たしかめてみます。だれがもってかえったとかいてありますか?
・ おばあさんです。
T いいですね。おばあさんは、何をもってかえったのですか?
・ 「もも」です。
T いいですね。そうすると、この絵とこの文がくっついています。なかよしです。
T では、次の文にいきましょう。
・ 「おばあさんは かわで せんたくを して いました。」
・ Cです。
・ Eです。
T どっちかなあ?
・ 「せんたくをしていました」だからEです。
T いいですねえ。この文は、Eとなかよしです。
T こんどはこの文です。
・ 「むかし むかし ある ところに おじいさんと おばあさんが すんで いました」
・ @です。
T いいですねえ。だれがすんでいたかというと…?
・ 「おじいさんとおばあさん」です。
T そうですね。だから、「おじいさんとおばあさん」が絵の中にかいてなければいけませんね。すると、この中では…?
・ @です。
T 正解!では、次にいきましょう。
・ 「おじいさんは やまへ しばかりに いきました。」
・ Dです。
T あたり!(だいぶなれてきた。)
・ 「おおきな ももが どんぶらこ どんぶらこと ながれて きました。」
・ B
T 何がながれてきたのですか?
・ 「もも」です。
T そうすると、もものことをかいてあるのは…?
・ Bです。
T いいですねえ。
・ 「おばあさんは かわへ せんたくに いきました」
・ Cです。
T 正解!
・ 「おばあさんは ももを ひろいあげました」
・ Fです。
T いいですねえ。では、ききますよ。この絵は全部で何枚ありましたか?
・ 7枚です。
T そうですね。では、文の数は?
・ 7つ。
T そうです。この絵と、この文は…?
・ 同じです。
T 絵でかくと(絵を指さし)こうなりますが、にっぽんごでかくと、こうなります。(文をさす。)

まとめ

T まとめをします。(学習プリント)「お話はいくつもの(  )からできています。」
・ 文。
T そうですね。「お話はいくつもの(文)からできています。」
T 「文はそれぞれ一つの(  )をつたえています。」
・ お話。
T いいですね。「文は、それぞれ一つの(お話)をつたえています。」
T 文のおわりには「 」があります。
・ まる。
T そうです。「。」をつけます。
T まとめをよみましょう。

・ 「お話はいくつもの(文)からできています。」
・ 「文は、それぞれ一つの(お話)をつたえています。」
・ 文のおわりには「。」があります。

れんしゅう(『二年生のにっぽんご』P7)

ぶんの おわりに 「。」をつけなさい。

 おとうさんが かわらに かまどを つくった おかあさんが かわで こめを   といだ ぼくは まきを ひろった いもうとは ぽちと あそんで いた

ごはんが たけた ぶたじるが にえた いいにおいが する ぼくは おなかが
ぐうぐう なった みんな はらいっぱい たべた

(6)できごとの単位(文)には、「だれが」(あたま)と「どうする」(足)の二つの部分が必要であること。

T では、『ももたろう』の最初の文をよんでみましょう。
・ 「むかし むかし ある ところに おじいさんと おばあさんが すんで いました。」           
T 文には、名前がついています。「あたま」と「足」があります。この文の中の足は、「すんで いました」です。これが足です。だれがすんでいたのですか?   
・ 「おじいさんと おばあさん」です。           

※)前に2年生に「だれが」「どうする」を指導したときは、「どうする」を『いのちのたんご』(ハートマーク)、「だれが」を『人のたんご』(顔のマーク)で指導した。子どもたちの感想をよむと「あたま」と「足」とおしえた方がわかりやすいような気がする。

T そうだ。「おじいさんと おばあさんが」すんでいました。これで文ができました。
・ 二人ですんでいた。
T ここが(おじいさんと おばあさんが)「あたま」です。こちら(すんでいました)が「足」です。
T では、「おじいさんは やまへ しばかりに いきました。」「足」はどれかわかりますか?
・ 「いきました」
・ 同じです。
T いいですか。はい、正解です。「いきました」が「足」です。いったのは、だれですか?
・ おじいさんです。
T いいですね。いったのは、おじいさんだよ。だからおじいさんが…。
・ あたまです。
T では、次の文にいきましょう。
・ 「おばあさんは かわへ せんたくに いきました。」
・ 足は「いきました」です。
・ あたまは「おばあさん」です。
T では、次の文にいきましょう。
・ おばあさんは かわで せんたくを して いました。
・ 足は「ました」です。
・ 「して いました」です。
・ していたのは、おばあさんです。
T では、次の文にいきましょう。
・ 「おおきな ももが どんぶらこ どんぶらこと ながれて きました。」
T では、あたまと足をいっしょにいってもらいましょう。
・ 「ながれてきました」が足で…。
・ 何がながれてきたかというと、「ももが」です。

(7)まとめ

T では、今日の勉強のまとめをします。にっぽんごは、文からできています。一つ一つの文は、お話をつたえています。文の一番おしまいには、「。」をつけます。文の中には「あたま」と「足」があります。

 ***************************************************************************

【授業後の児童の感想】
・ あしとあたまって、どういういみかわからなかったんですけれど、せんせいがいったことをよくきいていたのでわかってきました。こんどいうときは、そのことばもつかいたいとおもいます。
・ 文に、あたまとあしがあるなんてしりませんでした。あと、にっぽんごがいっぱいわかりました。
・ にっぽんごの文は、おはなしがいっぱいありました。「。」がいっぱいあってとてもびっくりしました。またこくごをやりたいです。
・ きょうのももたろうのはなしで、いっぱいわかりました。またやりたいです。
・ あたまとあしをくらべるのがむずかしかった。
・ あたまと足があるなんてしらなかった。
・ ぼくは、あたまとあしがあることがわかった。
・ 「。」と、足とあたまをならいました。
・ 文がむずかしかった。
・ ももたろうのはなしで、文がいっぱいわかりました。またやりたいです。
・ ももたろうのおはなしで、あしとあたまがわかった。

参考 『二年生のにっぽんご』の指導記録(1) 村上久美子 『教育国語2・6 1992.7』


3 「くっつき」の学習  2年生                2005年6月6日(月)

ぶんの なかでは めいしの あとに くっつきが ついて います。
(二年生の にっぽんご P13)

【指導のながれ】

(1) 文、「あたま」(主語)と「足」(述語)のふくしゅう
(2) 文は、たんごからできていること。
(3) れんしゅう…いくつのたんごから文ができているか。
(4) 名詞は、何をあらわすたんごか。
(5) 名詞は、文のなかでは「くっつき」をつけてつかわれること。
(6) れんしゅう

(1) 文、「あたま」(主語)と「足」(述語)のふくしゅう

T 前の時間は「文」勉強をしました。「文」には『あたま』と『足』がありましたね。今から、黒板にいろいろな文をはります。
「たねを」「まいた」「かにが」(長さ20cmほどの磁石黒板3枚)
T よんでみましょう。
・ 「たねを」「まいた」「かにが」
T なにか、気がついた人いますか?
・ 「かにが」がうしろにきています。
・ わかった!「かにが」「たねを」「まいた」です。
T (3つの単語をならびかえ)「かにが」「たねを」「まいた」ですか。どうですか
・ いいです。
T では、よんでみましょう。
・ 「かにが」「たねを」「まいた」
T いいようですね。では、『あたま』はどれでしょう?
・ 「かにが」だとおもいます。
・ いいです。
T いいですね。「かにが」が「あたま」です。では『足』はどれでしょう?
・ 「まいた」
・ 「まいた」が『足』です。
T いいですねえ。すると、この文は「かにが」が『あたま』で「まいた」が『足』になります。「かにが」「まいた」という文になります。何をまいたかというと…
・ 「たねを」まいたんです。
T そうですねえ。これを「文」といいました。では、次の文にいきましょう。
「なった」「かきが」「たくさん」(前と同じ。長さ20cmほどの磁石黒板3枚)
T よんでみましょう。
・ 「なった」「かきが」「たくさん」
・ 「かきが」「たくさん」「なった」だよ。
・ 「かきが」「たくさん」「なった」です。
T どうですか?
・ いいです。
T いいようですねえ。それではよんでみましょう。
・ 「かきが」「たくさん」「なった」
T 『あたま』はどれですか?
・ 「かきが」です。
T 『足』はどれですか?
・ 「なった」です。
・ 「かきが」「なった」
・ 「かにが」「なった」
T 「かにが」「なった」ではありませんよ。「かにが」たくさんなったら大変ですよ。(笑)
T では、次の文にいきましょう。
 「のぼった」「さるが」「きに」
・ 「さるが」「きに」「のぼった」です。
T いいですねえ。『あたま』は…
・ 「さるが」です。
・ 『足』は「のぼった」です。
T そうですねえ。「さるが」「のぼった」という文になります。どこにのぼったかというと…?
・ 「きに」のぼったんです。
T そうですねえ。「さるが」「きに」「のぼった」という文です。
T では、最後の文にいきましょう。ちょっと長いですから、よくみてください。
 「なげつけた」「さるが」「かきを」「かにに」
・ 「かきを」「さるが」「かにに」「なげつけた」
・ 「さるが」「かにに」「かきを」「なげつけた」
・ 「さるが」「かきを」「かにに」「なげつけた」
T どれもいいようですね。では次の文をよんでみましょう。
・ 「さるが」「かにに」「かきを」「なげつけた」
T 『あたま』は何ですか?
・ 「さるが」です。
・ 『足』は「なげつけた」です。
T いいですね。『頭』は「さるが」で、『足』は「なげつけた」。だから、この文は「さるが」「なげつけた」という文です。

(2) 文は、たんごからできていること。

T 今、ここに4つの文があります。文はいくつかのことばでできています。この一つ一つ(磁石黒板をさしながら)を『たんご』といいます。
・ 『たんご』。
T そうですよ。1つ目の文はいくつのたんごがあるかというと…
・ 3つです。
T そうです。「かにが」「たねを」「まいた」という3つのたんごから文ができています。
T いいですね。2つ目の文は(「かきが」「たくさん」「なった」)いくつのたんごからできていますか?
・ 3つです。
T では、3つ目の文(「さるが」「きに」「のぼった」)は…?
・ 3つです。
T そうですね。では、おしまいの文(「さるが」「かにに」「かきを」「なげつけた」)は…?
・ 4つです。

(3) れんしゅう…いくつのたんごから文ができているか。

T どうやらわかってきたようですねえ。では、ちがう文に挑戦してみましょう。
 (『二年生の にっぽんご P13』の文を一文一文、紙板書にしたものを掲示。)

ぼくは さるに らっきょうを やった。
さるは らっきょうの かわを むいた。
むいても、 むいても、 みが でて こない。
らっきょうは きえて なくなった。
さるは おこった。
こんどは ぴいなっつを やった。
さるは かわを むいて、 まめを とりだして、 おいしそうに たべた。

T よんでみましょう。
・ 一文一文一斉よみ。
T きちんとよめましたね。文の数はいくつですか?
・ 7つです。
T かぞえてみますよ。1、2、3…7.いいですねえ。7つの文があります。文の中の一つ一つのことばを『たんご』といいました。では。1つ目の文は、いくつのたんごからできていますか?
・ 4つです。
・ いいです。
T かぞえてみますよ。(一つ一つたんごをゆびさしながら…)1つ、2つ…4つ。いいようですね。では2つ目の文をよんでみましょう。
・ 「さるは らっきょうの かわを むいた。」
T ではたんごのかずは、いくつですか?
・ 4つです。
T かぞえてみますよ。1つ、2つ…4つ。いいですね。では、次の文にいきましょう。
・ 「むいても、 むいても、 みが でて こない。」
T だんだん、文がながくなってきました。(だいじょうぶ!)これはわかりますか?
・ 1、2、3、4…。
・ 5つです。
・ 同じです。
T そうです。5つです。では、次の文にいきましょう。
・ 「らっきょうは きえて なくなった。」
・ たんごの数は3つです。
T すごい!!だいぶなれてきたようですねえ。そのとおり3つです。では、次の文にいきましょう。
・ 「さるは おこった。」
・ 2つです。
T いいですねえ。どんどんいきましょう。
・ 「こんどは ぴいなっつを やった。」
・ 3つです。
T よしやす君、いいか?たんごのかずは3つだよ。
T では、最後の文は長いから、私がよみます。みんなは数をかぞえてみてください。
T 「さるは かわを むいて、 まめを とりだして、 おいしそうに たべた。」
・ わかった!
・ 7つです。
・ いいです。

(4) 名詞は、何をあらわすたんごか。

T だいぶわかってきました。さすが、2年生です。では、今から、たんごごとに紙をきっていきます。
・ あーっ!!
・ じょぎじょぎじょぎ…。
・ もったいない。
T (一つの文ごとに、たんごできっていく。名詞はのこし、他の動詞はかごの中へいれていく。)これは…のこします。これは…すてます。

◇ 黒板にのこしたたんご…「ぼくは」「さるに」「らっきょうを」
◆ かごにいれたたんご …「やった」
※ くっつきのある名詞だけを黒板にはる。他のたんごは、かごにいれる。

T これは(「さるは」)…?
 ・ のこす。
T これは(「むいた」)…?
・ (かごに)いれる。

※)子供たちは、意味はないだろうが、感覚的に名詞と動詞を区別しながら、のこすもの、のこさないものをいっているようにおもえた。

T (作業がおわったあとに)では、どんなたんごが黒板にのこったかなあ。同じたんごもありますね。
・ 「らっきょう」
・ 「さる」
T そうですね。「さるは」は2つあるから、一つとります。
・ 「かわを」も2つある。
T そうですね。

◇ 最終的に黒板にのこったたんご
「ぼくは」「らっきょうを」「らっきょうの」「らっきょうは」「かわを」「みが」「ぴいなっつを」「まめを」「さるに」「さるは」

T これでだいぶ、すっきりしましたね。では、よんでみましょう。
・ 「ぼくは」「らっきょうを」「らっきょうの」「らっきょうは」「かわを」「みが」「ぴいなっつを」「まめを」「さるに」「さるは」
T ここにのこしたたんごをみて、何か気がついた人はいますか?
・ ???
・ わかった。人は人で、食べ物は食べ物。あと、動物。
T すごい。今、久美ちゃんがいったこと、わかりましたか?「ぼくは」というたんごは、人です。「らっきょうを」「らっきょうの」「らっきょうは」「かわを」「みが」「ぴいなっつを」「まめを」は食べ物です。「さるに」「さるは」は動物です。すごい発見ですねえ。
・ (拍手)
T (人、食べ物、生き物ごとに)これと、これとこれの3つにわけられましたよ。「さるは」というのは…?
・ 動物。
T そうですね。「ぼくは」というのは…?
・ 人です。
T いいですねえ。では、「らっきょうを」「かわを」「みが」「ぴいなっつを」は…?
・ 食べ物。
・ 「かわ」はちがうよ。
T そうですね。では「ぼく」とか「さる」とか「らっきょう」っていうのは、何ですか?
・ たんご?
T うん。たとえば「たくみ君」というのは、たくみ君につけた…。
・ 名前。
T そうですね。たくみ君につけた名前です。そうすると、「さる」といのは、さるにつけた…。
・ 名前です。
T うん、「さる」につけた名前です。名前のたんごです。これを『めいし』といいます。(板書)

(5) 名詞は、文のなかでは「くっつき」をつけてつかわれること。

T では、もう一つみんなに発見してほしいことがあります。これができたらチャンピオンです。名前のたんご、めいしは文の中でつかわれるときに、あるきまりがあるのです。
・ わかったかもしれない。
・ …。
・ 「に」とか「は」がつきます。
T 久美ちゃん、すごい!!では、みんなでたしかめてみましょう。
・ ぼく「は」 らっきょう「を」 らっきょう「の」 らっきょう「は」 かわ「を」 み「が」ぴいなっつ「を」 まめ「を」 さる「に」 さる「は」
T 正解!!では、まとめをします。たんごは、文の中でつかわれるときには、「は」「を」「の」「が」などの『くっつき』をつけます。(板書)
T では、最初の文にもどりましょう。
 かにが たねを まいた。
T 『くっつき』をみつけた人?
・ 「を」と「が」です。
・ 「かにが」の「が」。
・ 「たねを」の「を」。
T そうですね。では、このようにかきましょう。
   かにが   たねを  まいた。
   ――■   ――■
T 「さるが きに のぼった。」名前のたんごはどれですか?
・ 「さるが」です。
・ 「きに」です。
・ くっつきは「が」。
・ 「に」です。

(6) れんしゅう ( 二年生の にっぽんご P14)
めいしの したに せんを ひきなさい。 くっつきには ふとい せんを ひきなさい。

かわに いって、 わたしぶねに のった。 せんどうさんが さおを さして、 ふねを うごかした。 ふねは むこうぎしに ついた。 ふねから おりて、 まちまで あるいた。 ほんやに いって、 ほんを かった。 おもちゃやに いって、 こまを かった。 おかしやに いって、 せんべいを かった。

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 ふだんあまり発言がすくない久美が、「名詞は、人、もの、いきものをあらわすたんご」であることや文のなかでは「くつつき」がつくことを発見して、みんなから拍手をもらった。
 一年生からすこし学年があがったこの時期は、文のこと、たんごのこと、くっつきのことをていねいに指導していく必要があることをかんじた。子どもたちは、毎回あたらしいことを発見していくので、とてもたのしそうな顔をしている。

【授業後の児童の感想】
・ きょうのべんきょうでは,くっつきの「を」「や」「に」「は」がいっぱいでてくるんですね。今までべんきょうした中では,国ごやさんすうよりたのしいべんきょうでした。
・ 今日,たくさんのことをやって,2年生になると,いろんなことをするんだなあとおもいました。なまえたんごのことが名しだとは思いませんでした。
・ きょうのべんきょうでわかったことは,いろいろなことばやくっつきがわかりました。あと,たんごをならべておはなしをつくるのもわかりました。
・ にっぽんごがおもしろかったです。―――■がはぶらしみたいです。
・ きょうのべんきょうでは,たんごのべんきょうをしました。いろいろおしえてもらいました。たんごは,いろいろなことにつかうので,もっとたんごやめいしをのことをしりたいです。
・ きょうはにっぽんごのべんきょうをして,たんごやくっつきのついたおはなしをべんきょうしました。
・ きょうのべんきょうで,たんごとかをおぼえました。
・ きょうのこくごのべんきょうで,くっつきのべんきょうをやりました。こんどのべんきょうで,くっつきのべんきょうやたんごのべんきょうがでてきたら,ちゃんとおぼえていたです。
・ ほうちょうみたいなものがあるんだなあとおもいました。
・ にっぽんごはむずかしいです。でもできました。
・ ぼくはようやくわかった。こんなことがあるなんておもわなかった。もっとならいたいです。
・ たんごとか,いろいろなことをべんきょうしていろんなことをおぼえることがいいとおもう。たんごのべんきょうがたのしい。
・ くっつきがよくわかった。すごくわかった。
・ きょうのべんきょうはむずかしかったけれど,むずかしいからおもしろい。かんたんなのは,つまらない。もっとむずかしいのをはやくやりたい。
・ きょうわかったことは,「かわに」とかにせんをひいて,くっつきにふといせんをひくことです。いっぱいいっぱいおはなしをおぼえて,せんせいにみせたいです。
・ くっつきの「を」や「に」がわかった。
・ 名前のたんごがわかった。


4 4品詞の学習  4年生                2005年6月1日(水)

【この時間の内容】
単語は、意味によって種類わけされる。
4品詞  
 名詞…人、もの、いきものをあらわす単語
 動詞…うごきをあらわす単語
 形容詞…人、もの、いきもののもっている特徴をあらわす単語
 副詞…そのうごきがどういう様子でおこなわれているか、うごきのようすをあらわす。
名詞の意味

 単語の なかには 人や ものや いきもの、 場所や ときを さししめす ものが あります。 このような 単語の ことを 名詞と いいます。(にっぽんご 4の上 P33)

 動 詞
 単語の なかには、 人や ものの うごき、 状態の 変化、 存在を さししめす ものが あります。 このような 単語の ことを 動詞と いいます。(同上 P47)

 形容詞
 単語の なかには 人や ものの 状態や 性質を さししめして いて、 規定語に なる ものが あります。 このような 単語の ことを 形容詞と いいます。
 形容詞には 「い」で おわる ものと 「な」で おわる ものとが あります。 「い」で おわる ものを 第一形容詞 「な」で おわる ものを 第二形容詞と いいます。(同上 P93)

 副 詞
 動詞を かざって、 うごきや 状態の ようす、 程度を くわしく 説明する 単語があります。 このような 単語を 副詞と いいます。 副詞は 文の なかで 修飾語と して はたらきます。
                                          (同上 P109)

【指導のながれ】

(1) 文、単語のふくしゅう
(2) 4品詞の種類わけ @名詞 A動詞 B形容詞 C副詞
(3) 4品詞のまとめ
(4) 形容詞は、名詞をくわしくすること。副詞は、動詞をくわしくすること。
(5) 名詞は、文のなかで「くっつき」をつけてつかわれること。
(6) まとめ

1 文、単語のふくしゅう

T 3年生のときに勉強したのですが、『にっぽんご』を復習してから、今日の勉強をすることにしましょう。
T それでは、黒板をみてください。
 (「犬」「たべる」「あるく」「はしる」というカードをはる。)
T ここ(犬の次)には、何がはいるかな?
・ 「犬が」。
・ 「が」がはいる。
・ 「を」 犬を たべる。
・ えーっ、犬をたべるになっちゃう。
T 「犬を たべる」だと、たいへんなことになってしまいますね。「犬が」にします。よんでみましょう。
・ 犬が たべる
・ 犬が あるく
・ 犬が はしる
T これで文ができあがりました。でも、たりないものがあります。おぼえていますか?
・ おしまいに、「。」をつけます。
T そうでしたね。文のおわりには、「。」をつけます。
T それから「だれが」ここでは「犬が」にあたるところ…これを「主語」といいました。(板書)
T それから「どうする」にあたるところ、ここでは「たべる」とか「あるく」「はしる」これを…
・ 「述語」。
T そうでしたね。よくおぼえていました。「述語」といいましたね。(板書)
T では、文がいくつあるか、たしかめましょう。
  「犬が たべる。」「犬が あるく。」「犬が はしる。」(いっしょによんでいく。)
・ 三つあります。
T そうですね。では、もう一つカードをふやしましょう。
 「赤ちゃん」
・ 「赤ちゃんを」
・ 「赤ちゃんを」たべたら、たいへんだ!!
・ 「赤ちゃんが」です。
T そうですね。では、「赤ちゃんが」をいれてよんでみましょう。
・ 「赤ちゃんが たべる」「赤ちゃんが あるく」「赤ちゃんが はしる」
・ えーっ、赤ちゃんがはしったらすごい。(笑)
T そうだねえ。こんなふうに赤ちゃんがはしったら(動作)、ちょっとすごいなあ。(笑)
T これで、文が全部で六つできました。このように、「犬が」とか「赤ちゃんが」と主語 
 をかえたり、「たべる」「あるく」「はしる」のように述語をかえたりすると、いろいろな文がたくさんできますね。
T では、「犬が たべる」という文は、いくつのことばからできていますか?
・ 二つです。
T そうですね。「犬が」ということばと、「たべる」という二つのことばからできています。これを何といいましたか?
・ なんだっけ? 
・ ことば?   
・ にっぽんご…。 
・ たんご。

※)文は単語からできていることを確認する。
  それぞれの文が、いくつの単語からできているのかを確認する。

T よくおぼえていましたね。そうです。「たんご」といいました。
・ だんご。
・ たんご。
T 「だんご」ではありませんよ。(笑)「たんご」といいます。
T 「犬が たべる。」は…?
・ 二つのたんご。
T 「赤ちゃんが あるく。」は…?
・ 二つのたんご。
T そうですね。では、たんごには、どんななかまがあるのか、勉強していきましょう。

2―@ 4品詞の種類わけ 名詞

◆名詞のカード 
T よんでみましょう。
・ 父 おじいさん 医者 かんごふ パイロット
・ えんぴつ 時計 ガラス 石 ぼうし ノート
・ たぬき ねこ 犬 くま ライオン ぞう 牛    

※)3年生のときは、「人、もの、いきもの」の単語をばらばらにして1枚のカードにして提示した。今回は「人」「もの」「いきもの」をわけて提示した。今回の方が子どもたちには、わかりやすかったようだ。

T では、一行目(父 おじいさん 医者 かんごふ パイロット)は、何をあらわしていますか?
・ 人。
T そうです。「人」ですね。
T では、次(えんぴつ 時計 ガラス 石 ぼうし ノート)は、何をあらわしていますか?
・ もの。
・ つぎは、動物。
・ 生き物。
T そうですね。Aのグループは、「人」や「もの」「生き物」につけた名前をあらわしているグループといえますね。これを…。
・ 名前…。
T 名(板書)
・ 名詞。
T そうです。「人」や「もの」や「生き物」につけた名前で、名詞といいます。よんでみましょう。
・ 名詞。
T 教室のなかにも、いろいろな名詞がありますよ。  
・ つくえ。
・ いす。
・ 時計。

※)教室のなかにあるいろいろな名詞をそれぞれ、口にだしている。みつけることが、ほんとうにうれしそうだ。


T そうですね。「よしみちゃん」「こうすけ君」…これも名詞です。

2―A 4品詞の種類わけ 動詞

◆動詞のカード
T では、次のグループにいきましょう。よんでみましょう。
・ あるく はしる とぶ およぐ ねる ける …
T これは何のグループでしたか?
・ うごき。
・ どうさ。
T そうです。これは、うごきをあらわすので…「動詞」よめるかな?
・ どうし。
T そうです。「動詞」といいます。じつはねえ、「動詞」には、あるきまりがありました。おぼえていますか?
・  ???             

※)三学期に学習したとき、あずさが動詞の代表形はのばしていくと、「U」段でおわることを発見していた。

T よくきいていてね。「あるくー」「はしるー」「たべるー」「ねるー」
・ 「る」がつく。
T うん、「るー」ってのばしていくと…
・ 「う」でおわる。(板書)
T そうです。動詞は、のばしていくと、おしまいが「U」でおわるのです。
・ 「けっとばすー」
・ 「はねるー」(いろいろな動詞でたしかめている)

2―B 4品詞の種類わけ 形容詞

◆形容詞のカード
T では、次にいきます。よんでみましょう。
・ まるい しかくい ましかくな 
・ 大きい 小さい
・ にがい あまい しょっぱい
・ しんせつな おくびょうな いじわるな
・ 赤い 青い 白い 真っ赤な 真っ黒な
・ 重い かるい

※)3年生のときは、いろいろな形容詞をばらばらにして、1枚のカードで提示した。今回は形、大きさ、味、性格、色、重さごとにわけて提示した。

T 「まるい しかくい ましかくな」…これは、何をあらわしているでしょう?
・ 形。
T そうです。これは形をあらわします。(板書)
T では、「にがい あまい しょっぱい」は?
・ 味。
・ 味覚。
T ほう、味覚なんてむずかしいことばをしっているね。
・ 味の素。
T 味(板書)
T では、「赤い 青い 白い 真っ赤な 真っ黒な」…。
・ 色。
T いいですねえ。では「大きい 小さい」は?
・ 大きさ。
T そうです。大きさをあらわしています。
T では、「しんせつな おくびょうな いじわるな」は?
・ 性格。
T よく気がつきました。これは性格をあらわしています。
T では、まとめをします。このグループは、形や味、色、大きさ、性格などをあらわすグループといえます。形ということばをつかって、「形容詞」といいます。よんでみましょう。
・ 形容詞。
T 動詞には、のばしていくとおしまいが「U」になるというきまりがありました。形容詞のなかまにも、ある特徴があります。何でしょう?
・ ??? 
・ 「い」だ!!
・ 「まるい」「しかくい」

※)形容詞の形に注目させる。発見した子どもの発言をきいて、「そうか」とつぶやいた子もいた。

T そうですね。形容詞には「〜い」でおわるものがあります。
・ 「な」もある。
・ 「真っ赤な」「真っ白な」
T そうですね。「真っ白な」とか「しんせつな」とか「〜な」でおわる形容詞もあります。

2―C 4品詞の種類わけ 副詞          

◆副詞のカード 

※)今まで何回か、4品詞の学習をしてきたが4つのなかでも、副詞は子どもたちにとってむずかしい単語のようだ。具体的に目にみえないからだろうか…?

T では、最後のカードです。
(副詞だ。) 
T よんでみましょう。
・ のろのろ ふらふら ゆっくり ゆったり さっさと
T これは何をあらわしていますか?
・ うごき。
・ うごきは動詞だ。
・ ようす。
T うん。ようすだ。何のようすかなあ?
・ 人のようす。
・ あるくときのようす。
・ はしるときのようす。
T いいことに気がつきました。つまり、何をくわしくしているの?
・ うごき。
T そうです。うごきをくわしくしています。これは大事です。(板書)名前があります。
・ ふくし。
T すごい!!「副詞」といいます。よんでみましょう。
・ 副詞。
T いいですね。では、形に注目してみましょう。何か気がついた人いますか?
・ ??? 
・ わかった。四文字。 
T うーん。では「のろのろ」と「ふらふら」をくらべてごらん。

※)副詞の形に注目させる。
・同じことばのくりかえし
・「〜り」の形
・「〜と」の形

・ おんなじだ。
・ 同じことばをつかっている。
T そうですね。同じことばをくりかえしています。
・ 「ゆっくり」と「ゆったり」は「〜り」がついている。
・ おしまいが「〜り」でおわっています。
T では、「さっさと」は?
・ 「〜と」がついている。
T では、まとめます。「副詞」のなかまは、形に注目すると、同じことばをくりかえしたり、「〜り」でおわったり、「〜と」でおわったりしています。

3 4品詞のまとめ

T この四つをもう一度よんでみましょう。
・ 「形容詞」「名詞」「副詞」「動詞」
T これを全部あわせて、「品詞」といいます。
・ 品詞。
T にっぽんごには、大事な品詞が全部で4つあります。4品詞といいます。

4 形容詞は、名詞をくわしくすること。副詞は、動詞をくわしくすること。

T では、4品詞のなかよしさがしにいきます。形容詞となかよしは、どれだとおもいますか?
・ 名詞。               
T なるほど。たとえば「まるい」…。  
・ おじいさん。(笑) 
・ 時計。
T 「いじわるな」… 
・ たぬき。
T そうです。つまり、「形容詞」と「名詞」はなかよしです。どうなかよしかというと、名詞を…。
・ くわしくしている。
T いいことばですね。形容詞は、名詞をくわしくしています。
T では、こちらはどうでしょうか?(副詞)「のろのろ」
・ あるく。
T ふらふら…?
・ とぶ。
T ゆっくり…?
・ およぐ。
T そうですね。つまり、「副詞」と「動詞」はなかよしです。さっきのいいことばをつかうと、副詞が動詞を…。
・ くわしくしています。

※)改訂になった教科書(光村図書3年)では、「くわしくする言葉」の単元で、次のようにあつかっている。

  (例文)(わたしは、)(おじいちゃんに)(手紙を)(書きました。)
      (主語)   (だれに)    (何を)  (述語)

(だれに)(何を)に当たるような、文の意味をくわしくする言葉を、修飾語といいます。「いつ」「どこで」に当たる言葉も修飾語です。


5 名詞は、文のなかで「くっつき」をつけてつかわれること。

T では、もう一度、文をみてください。「犬が あるく。」という文があります。「犬」というのは…。
・ 名詞です。
T そうです。名詞は、文の中では、「犬が」とか「犬は」とか「犬を」のように「が」や「は」「を」などをつけます。これらを「くっつき」といいます。(板書)文の中で名詞は、いろいろな「くっつき」をつけて仕事をします。つまり、「くっつき」があると、名詞ということができます。
T では、次の文をみてください。
  先生が まっかな ペンで かく。(板書)
T 単語の数はいくつですか?
・ 四つです。
T 一つ、二つ…(単語を丸でかこんでいく。)三つ、四つ。いいですね。では、これらの単語がどの品詞か、しらべていきましょう。
T 「先生が」は?
・ 名詞です。
・ 人をあらわす名詞です。
・ 「くっつき」があります。(板書)
T いいですね。あたり。それでは「真っ赤な」は?
・ 形容詞。
・ 「色」をあらわしています。(板書)
T そうですね。「まっかな」は、色をあらわす形容詞です。では「ペンで」?
・ 名詞。
・ ものをあらわしています。
・ 「くっつき」があります。(板書)
T いいですね。「くっつき」があるから名詞です。では、「かく」?
・ 動詞。
・ うごきをあらわしています。(板書)
T ここまでいいですか?では、次の文をみてください。
  先生が むらさきの ペンで かく。(板書)   

※)「むらさきの」が名詞なのか、形容詞なのか5、6年生でもおなじように意見がわかれた。

T 文がにていますね。ちがいはどこでしょう? 
・ 「むらさきの」。
T 「まっかな」というのは、色をあらわす形容詞でしたね。では、「むらさきの」の品詞は何でしょうか?
・ 形容詞?
・ 名詞? (自信がないのか、小声)
T どちらでしょうか?
・ 名詞だとおもいます。「むらさきの」の最後に、「の」のくっつきがあるからです。
T なるほど。くっつきがある単語は、名詞でしたね。だから、名詞だというのですね。よく発表できました。
・ 同じです。
T では、形容詞だとおもう人?
・ たぶん、色…?
T うん、色をあらわすのは何でしたか?
・ 形容詞。
T そうでしたね。色をあらわす単語は形容詞でしたね。では、「むらさきの」は形容詞ではないのですか?
・ でも、「くっつき」がある。(小声)
T 「むらさきの」は「ペン」という名詞をくわしくかざっているから、智映美さんや佳美さんがいうように、形容詞ではないのですか?
・ 形容詞と名詞をあわせて、「めいようし」(名容詞)っていうことでどうでしょう。(笑)
T はあ、「めいようし」(笑)なんか、羊みたいですね。勇君、いい発表ですね。ここはねえ、むずかしいんです。
T 5年生も意見がわかれました。宏輔君がいったように「くっつき」があるから「名詞」。もう一つの意見は、名詞をくわしくしているから「形容詞」という意見でした。これはねえ、「くっつき」があるから、かたち的には名詞なのですが、仕事をするときは形容詞のはたらきをします。
・ やっぱり「めいようし」だ。
T ほかにも、「くっつき」をつけて色をあらわす単語には、「みどりの」などがあります。
・ 「金色の」
・ 「黄色の」
T そうですね。これらの単語もくっつきがついて色をあらわします。

6 まとめ

T では、今日のまとめをします。にっぽんごには、いろいろな単語があります。今日は、その中の4つの単語を勉強しました。これを「4品詞」といいます。人やもの、生き物をあわらす単語を「名詞」といいます。名詞は、文の中でつかうときは、くっつきをつけます。うごきをあらわす単語は「動詞」といいます。のばしていくと、「U」段になります。色や形、味、大きさなどをあらわす単語は「形容詞」といいます。動きの様子をくわしくする単語は「副詞」といいます。
T 形容詞は、名詞をくわしくします。それから副詞は動詞をくわしくします。なかよしなんですね。

 *************************************************************************

 今回は3年生のときにおこなった4品詞の学習のふくしゅうとしておこなった授業である。「むらさきの」という単語は名詞なのか、形容詞なのか、子どもたちの意見がわかれる。「むらさきの」はくっつきがあるので名詞にはいるという子どもと、「ペンで」という名詞をくわしくしている色をあらわしているから形容詞だという子ども…。
 勇という子は、名詞と形容詞をあわせて「名よう詞」ということばをつくった。子どもたちの感想をよんでみると、勇の発言がとてもよかったといっている。

【児童の感想】
・ 今日の勉強で「くっつき」というのが出てきた。さいしょは「えー?くっつきって何?」と思ったけれど、最後に分かってよかったです。勇君の「名よう詞」という発表がよくおもいついたなあ、と思いました。名よう詞は、形よう詞と名詞ががったいした言葉。勇君作!
・ 形よう詞は、味や形や色などをあらわす単語だと分かった。名詞は文の中でつかうとき、最後に「の」や「が」や「を」がつくことをはじめて知った。副詞は動きをくわしくする単語ということなども知った。
・ 「名よう詞」ということばをつくったら、みんながわらった。ぼくは、形よう詞と名詞で「名よう詞」になると思った。
・ 名詞などを思い出せてよかった。勇君の言った「名よう詞」は勉強になった。
・ 名詞をくわしくしているのが形よう詞なんだなあと思った。勇くんが「名よう詞」と考えたのがすごかったです。形よう詞、名詞、副詞、動詞を4品詞というのがわかった。「先生が まっかな ペンで かく。」のところがむずかしかったです。
・ 「まっかな」と「むらさきの」が名詞なのか、形容詞なのかどちらかわからなかった。ぼくは名詞だと思った。
・ 名詞にもいろいろな名詞があることをはじめて知りました。あと、形よう詞と名詞はなかよしで、副詞と動詞はなかよしだということがわかりました。
・ 今日は、名詞、副詞、動詞、形よう詞など、いろいろな「詞」をしりました。こんな復習の勉強ははじめてです。
・ 4品詞をはじめてしった。勇君の「名よう詞」がすごいはっぴょうだった。
・ 勇君がいった「名よう詞」がすごかったです。
・ 勇君の「名よう詞」の発言がなるほどと思った。単語には、『形よう詞』『名詞』『副詞』『動詞』の4つのちがいがあるなんてしらなかった!
・ 勇君のアイディアがよかった。
・ 名詞、形よう詞、副詞、動詞…。ものやうごきには名前があるということがはじめて知りました。むずかしかったのは、形よう詞です。形よう詞には、色や味などいろいろなものがはいっていて、びっくりしました。また千田先生とこのような勉強がしたいです。
・ 形よう詞は、形や色をあらわしています。あと、副詞が動詞をくわしくしているのがすごかったです。とても楽しかったです。
・ 形よう詞は、名詞をくわしくしていることをはじめて知った。
・ 形よう詞、名詞、副詞、動詞、これを一つにまとめて4品詞というのが、はじめてわかりました。
・ 「が」や「は」や「の」というのは、「くっつき」だとわかってよかった。
・ 今日は、形よう詞、名詞、-----------副詞、動詞がわかった。あと「くっつき」というのがわかりました。
・ 「むらさきの」は、くっつきがあっても、色をあらわしている。にっぽんごは、4つの品詞に分かれていることも知った。
・ 色でもいろいろな名前があるのがわかった。あと、勇君が言った「名よう詞」がおもしろかった。
・ 4品詞ということばをおぼえた。わかったところは「名よう詞」のところで、わからなかったのは、副詞です。

参考 「文・単語・品詞について」 村上三寿 『教育国語 2.16』


「単語(たんご)」って何だ?    学習プリント

                 氏名(            )

A                                       B

えんぴつ 時計 ガラス 石 ぼうし たぬき ねこ 犬 梅 杉 松 チューリップ ひまわり 母 おじいさん  医者 かんごふ パイロット

あるく はしる とぶ およぐ ねる ける 食べる ころがす たたく あける しめる 見る よぶ 行く 来る  ほす よむけっとばす うたう

 C                                             D

まるい しかくい おもい かるい 大きい 小さい ましかくな うすっぺらな にがい あまい かたい やわらかい しんせつな
きれいな  おくびょうな いじわるな

ゆっくり のろのろ ごろりと ふらふら
ぱくぱく ごくごく さっさと すいすい
じろじろ せっせと がらりと ふわっと
どすんと ゆったり ごくりと

次の単語は、上のA】【BC】【Dのどのなかまですか。( )の中に、記号を書きましょう。

机( ) いす( ) つよい( ) だらだら( ) おとす( ) 書く( ) ろうそく( )
ふとい( ) ノート( ) ちゃわん( ) しょっぱい( ) くずれる( ) しょうじきな( )
白い( ) 黒い( ) くま( ) もぐもぐ( ) ぎゅうぎゅう( ) うつくしい( )
しずかな( ) ペン( ) 家( ) びっしょり( ) らんぼうな( ) ゆかいな( )

まとめ

単語は、意味(いみ)のしゅるいよって、(  )つのグループにわけることができます。

A 「     」…(               )をあらわす単語。

B 「     」…(       )をあわらす単語。おしまいが「 」になる。

C 「     」…(          ) をあわらす単語。形(         )

D 「     」…(          ) をあわらす単語。形(         )

こういう単語(たんご)のしゅるいのことを「       」といいます。

【れんしゅうもんだい】 
次の単語は、上のABCD4つグループのうち、どれにはいりますか。記号をかきましょう。
例 牛( ) 
  @鳥( )    Aやぶる( ) Bさらさら( ) Cまっすぐな( ) D船( )

Eがらりと( ) F明るい( ) Gじろじろ( ) Hあゆ( )      Iあける( )

【感 想】


5 名詞のいろいろ  6年2組                   6月9日(木)

【この時間の内容】
@ 名詞について、これまでのかくにんをする。
A プリントをつかって、文のなかからさまざまな名詞をさがす。
B いろいろな名詞をせいりする。

【指導のながれ】

(1) ふくしゅう…文、単語、4品詞
(2) 普通名詞と固有名詞
(3) れんしゅう
(4) 文のなかから、くつつきに注目して名詞をぬきだす。
(5) ぬきだした名詞をせいりする。
 @場所名詞 A時間名詞 B数量名詞 C人称代名詞 D指示代名詞 Eその他の名詞
(6) まとめと練習

(1) ふくしゅう…文、単語、4品詞

T きのうの復習をしましょう。
 さるが 木に のぼった。
T これを何といいましたか?
・文です。
T そうでしたね。文をつくっている一つ一つのことばを何といいましたか?
・ 単語です。
T 単語といいました。単語には、どんなものがありましたか?
・ 名詞、動詞、形容詞、副詞です。
T いいですね。4つありました。(前時の4品詞のカードを黒板にはりながら、復習していく。)これは?(形容詞のカード)
・ 形容詞です。
・ 形に注目すると、おわりが「〜い」とか「〜な」でおわります。
T では、これは?(名詞のカード)
・ 名詞です。
・ 名前をあらわします。
・ 人、もの、生き物をあらわします。
T そうでしたね。では、これは?(動詞のカード)
・ 動詞です。
・ のばすと、おわりが「U」になります。
T いいでしょう。では、最後にこれが?(副詞のカード)
・ 副詞。
・ 動詞をくわしくします。
・ ふらふら あるく。
・ のろのろ はしる。

(2) 普通名詞と固有名詞

T では、今日はこの中の名詞に注目をして勉強していくことにしましょう。

【A】

猟師 いのしし 熊 おじいさん 自動車 山 川 妹 医者 ねこ うさぎ

T よんでみましょう。
・ 【A】をよむ。
T このグループは何をあらわす単語でしょう?
・ 名詞です。
・ 人やもの、生き物をあらわすから名詞です。
T そうですね。名詞をあらわしています。では、もう一枚カードをだします。よんでみましょう。

【B】

牛若丸 岩手山 小原恵三 気仙川 住田町 ボブ・サップ 盛岡 日本 韓国

・ 【B】をよむ。
T では【B】は、何をあらわす単語でしょうか?
・ うーん、…名詞。
T そうすると、【A】も【B】もどちらも名詞ということがわかりますね。では二つのちがいは何だとおもいますか?
・ わかりそうで、わからない。
・ 何だろう?
T 【A】の「猟師」「おじいさん」「妹」「医者」は何ですか?
・ 人です。
・ 「自動車」は車につけた名前です。
・ ものです。
・ 「いのしし」「熊」「ねこ」「うさぎ」は動物です。
・ 「山」とか「川」は自然に関係があります。
・ 場所だとおもいます。
T そうですね。では、【B】をみていきましょう。発見してくださいね。
・ ものや場所だとおもいます。
・ 人の名前だとおもいます。
T では【A】と同じですか?
・ うーん、同じじゃない…。
・ えーと、【B】の「牛若丸」や「ボブ・サップ」は、人の名前としてつけられたものです。
T なるほど、「人の名前」としてつけられた名詞というわけですね。
・ 「山」だったら「岩手山」、「川」だったら「気仙川」というように、場所をくわしくいっているとおもいます。
・ 「町」だったら「住田町」というようにいっています。
・ わかった!【B】は、「小原恵三」「ボブ・サップ」というように、人の名前をくわしくいっています。
T なるほど。だんだんわかってきましたね。では、次の単語が【A】【B】のどちらのグループにはいのか、しらべていきましょう。(最初だけいっしょにやり、あとは自分で)
富士山 北上川 娘 イギリス 小学生 道路 犬 浦島太郎        おばあさん 大船渡市 海岸 千田晃一
T 一つ一つ、どちらのグループにはいるのか、いっしょにたしかめていきましょう。
・ 富士山(B)北上川(B)娘(A)イギリス(B)小学生(A)道路(A)犬(A) 浦島太郎(B)おばあさん(A)大船渡市(B)海岸(A)千田晃一(B)
 ※どの子もきちんと区別している。
T どうですか?だいたいできているようですね。では【B】の名詞は、何といえばいいですか?
・ くわしくしている。
・ 名前とかをくわしくしています。
・ 「北上川」のように川をくわしくしています。
T そうですね。たとえば、「岩手山」という山は、他の所にありますか?
・ いいえ。一つです。
T 「千田晃一」という人は他にいますか?
・ いない。
・ でも同姓同名があるかもしれない。
T うん、同姓同名があるかもしれないけれど、世田米小学校の「千田晃一」といえば、世界に一人しかいませんね。【A】の方は、普通の名詞ですね。だから「普通名詞」といいます。(板書)それに対して【B】の方は、世界に一つしかない名詞です。これを「固有名詞」といいます。(板書)

3 れんしゅう
T では、プリントの問題をやってみましょう。

名詞を○でかこみましょう。(ヒント 名詞には『くっつき』がつきますよ)

@ 子どもたちが グランドで サッカーボールを けっている。
A 妹は 十時に 汽車に のった。
B おかあさんは 六時に 起きて、 畑に 行く。
C おばあさんたちが 公園で 朝から 花を 植えている。
D バスは 住田から 大船渡まで むかった。
E 子どもたちは 十時半に バスで おやつを 食べた。
F 種山には 美しい 花が 咲いていた。
G 昼ごろに 谷底で 熊が ガウガウ ほえていた。

T ※ こたえあわせ。名詞は…
   「子どもたちが」「グランドで」「サッカーボールを」「妹は」「十時に」「汽車に」 
「おかあさんは」「六時に」「畑に」「おばあさんたちが」「公園で」「朝から」「花を」
「バスは」「住田から」「大船渡まで」「子どもたちは」「十時半に」「バスで」「おやつを」「種山には」「花が」「昼ごろに」「谷底で」「熊が」

(4) 文のなかから、くっつきに注目して名詞をぬきだす。

@ 場所名詞
T では、今みつけた名詞を整理していきましょう。「グランド」という名詞は何をあらわしますか?
・ 場所です。
T そうですね。場所をあらわします。では、場所をあらわす名詞をさがしていきましょう。
・ 「グランド」「畑」「公園」「住田」「大船渡」「種山」「谷底」(板書)
T いいですね。これらの名詞は場所をあらわす名詞といえそうです。これらの名詞は名前をつけられそうですね。
・ 場所名詞。
T そのとおりです。場所をあらわしているので、「場所名詞」といいます。

A時間名詞
T では、「十時」という名詞は、何をあらわしていますか?
・ 時間です。
T そうです。時間をあらわしています。では、時間に関係のある名詞をさがしてみましょう。
・ 「六時」「朝」「十時半」「昼ごろ」
T そうですね。これは何名詞とよんだらいいですか?
・ 時間名詞。
T そうです。さすがです。「時間名詞」といいます。(板書)
T きのうまでは、名詞には「人」や「もの」「生き物」がはいりましたが、今日は世界に一つしかない「固有名詞」や場所をあらわす「場所名詞」や時間をあらわす「時間名詞」も名詞にはいるということがいえます。

B 数量名詞
T じつは、まだありますよ。これをみてください。

【C】

100本 33メートル 50kg 15cm  25個 5枚 4匹  40頭

T これは?
・ 数に関係があります。
T そうですね。数や量のことを数量といいます。
・ 数量名詞?
T そうです。「数量名詞」といいます。(板書)

C 人称代名詞
【D】

ぼく おれ 私 ぼくたち 君 あなた 君たち 彼 彼女 彼ら 彼女ら あいつら

T これはどんな名詞でしょう?
・ 人をあらわしています。
・ 「あんた」名詞?(笑)
T 「あんた」名詞ですか。いい名前ですね。これは人の名前のかわりによんでいる名詞です。「人称代名詞」といいます。まあ、住田では「あんだ」というのも人称代名詞にはいります。(笑)

D 指示代名詞
T では、最後のグループにいきましょう。
【E】

これ それ あれ ここ そこ あそこ これら それら この その あの これらの

T これは、何でしょうか?
・ 指示しています。
T むずかしいことばをしっていますね。これは「指示代名詞」といいます。(板書)いっぱいでてきましたね。
・ おぼえられない。
T 名前は、おぼえなくてもいいですよ。名詞には、人やもの、生き物をあらわすだけでなく、時間や場所をあらわすものもあるんだなあ、ということをおさえておきましょう。
・ いっぱいだなあ。

E その他の名詞
T 名詞にはじつにたくさんの種類があるんですね。実は、まだ他にもあります。
・ ???
T たとえば、「愛」とか「心」などは、目にみえますか?
・ みえません。
T そうですね。目にみえない「愛」とか「心」という単語も名詞にはいります。こういう名詞もあります。

(6)まとめと練習
まとめ1

●名詞とは、人やものや生きものをあらわす単語のことですが、名詞の中には、人の名まえ、町名、国名、川の名まえ、山の名まえなどをあらわすものがあります。このようなものをとくに、『固有名詞』といって、どこにあるものをあらわしている『普通名詞』から区別することがあります。

練習問題1

次の単語を『A 普通名詞』『B 固有名詞』に分けて、記号を書きましょう。

むすめ(A) 運転手(A) フランス(B) バナナ(A) 宮城県(B)
りんご(A) かぐや姫(B) つばき(A) 五葉山(B) インド(B) 
牛(A) ウルトラマン(B) 世田米小学校(B)

まとめ2

● また、名詞のなかには、時をあらわす『時間名詞』、場所をあらわす『場所名詞』、
数量をあらわす『数量名詞』、名詞の代わりになって何かをさししめす『指示代名詞』、人をあらわす『人称代名詞』に分かれます。

練習問題2

次の単語を『C 時間名詞』、『D 場所名詞』、『E 数量名詞』、『F 人称代名詞』『G 指示代名詞』に分けて、記号を書きましょう。

夕方(C) 浜辺(D) 朝(C) 90本(E) 彼女(F) あなた(F) これ(G)
55メートル(E) 来年(C) グランド(D) 午後(C) 君たち(F) 山頂(D) それ(G) 
あそこ(G) おまえ(F) 三月三日(C) 彼(F) 日曜日(C) 10リットル(D) 
2004年(C) 満蔵寺(まんぞうじ)(D) 住田町役場(D)

T では、今日の学習をふりかえって、わかったことをかきましょう。

*************************************************************************

【授業後の児童の感想】
・ 名詞にもいろいろな種類がたくさんあって、びっくりした。とてもややこしくなった。やっぱり日本語って、むずかしい。
・ 名詞は、たくさんの名前があって,すごいと思った。できるだけたくさんおぼえたい。
・ 普通名詞、固有名詞、場所名詞、時間名詞、数量名詞などのはたらきがわかった。
・ 少しわけがわからなくなったけれど、名詞は名詞でもいろいろな種類の名詞を学ぶことができた。
・ いろいろな名詞の種類がわかってよかった。練習問題もできてよかった。
・ C(数量名詞)、D(人称代名詞)、E(指示代名詞)が、なかなかおぼえられなかった。
・ 昨日は、「名詞」「動詞」「形容詞」「副詞」の4品詞を習いました。今日は、名詞が5種類おぼえられて良かったです。
・ 名詞がたくさんあることがわかった。はじめてわかったことも多かった。人称代名詞やいろいろわかって良かった。
・ 場所名詞や時間名詞など、いろいろな名詞があることがわかった。
・ 名詞がこんなにいっぱいあるなんて知らなかった。いろいろわかって良かった。
・ 名詞には、いろいろあることがわかった。
・ 名詞には、いろいろな種類があることがわかった。
・ 名詞には、いろいろな名詞があるということがわかった。
・ いろいろな名詞があることがわかってよかった。
・ 名詞には、いろいろな種類があることがわかった。
・ むずかしかったし、ややこしくてたいへんだった。
・ 名詞には、いろいろな種類があることがわかった。
・ 新しい名詞がわかった。これからもがんばりたい。
・ いっぱい名詞が出てきて、おぼえられなくなりました。
・ 名詞には、いろいろあるということがわかった。
参考 「文・単語・品詞について」 村上三寿 「教育国語2.16」


名詞のさまざまについて     学習プリント

                 氏名(               )

【A】 【B】
猟師(りょうし) いのしし 熊
おじいさん 自動車 山 川 妹
医者 ねこ うさぎ
牛若丸 岩手山 小原恵三 気仙川
住田町 ボブ・サップ 盛岡 日本
韓国(かんこく)
  『           』   『           』

【A】と【B】の単語の違いは何でしょう?

2. 次の単語は【A】【B】のどちらのなかまでしょうか。記号を書きましょう。

富士山(  ) 北上川(  ) 娘(  ) イギリス(  ) 小学生(  )
道路(  ) 犬(  ) 浦島太郎(  ) おばあさん(  )  
大船渡市(  ) 海岸(  ) 千田晃一(  )

3. 名詞を○でかこみましょう。
@ 子どもたちが グランドで サッカーボールを けっている。
A 妹は 十時に 汽車に のった。
B おかあさんは 六時に 起きて、 畑に 行く。
C おばあさんたちが 公園で 朝から 花を 植えている。
D バスは 住田から 大船渡まで むかった。
E 子どもたちは 十時半に バスで おやつを 食べた。
F 種山には 美しい 花が 咲いていた。
G 昼ごろに 谷底で 熊が ガウガウ ほえていた。

 ○ 「グランド」と同じなかまの名詞  ○ 「十時」と同じなかまの名詞
   『         名詞』    『         名詞』

名詞には、まだまだいろんな種類の名詞があるんですよ。

【C】 【D】 【E】
100本 33メートル 
50kg 15cm 25個 
5枚 4匹  40頭
ぼく おれ 私 君   
ぼくたち あなた   
君たち 彼 彼女 彼ら 
彼女ら あいつら
これ それ あれ  
ここ そこ あそこ  
これら それら この 
その あの これらの
 『      名詞』  『      名詞』  『      名詞』
まとめ
●名詞とは、人やものや生きものをあらわす単語のことですが、名詞の中には、人の名まえ、町名、国名、川の名まえ、山の名まえなどをあらわすものがあります。このようなものをとくに、『     名詞』といって、どこにあるものをあらわしている『     名詞』から区別することがあります。

次の単語を『A 普通名詞』『B 固有名詞』に分けて、記号を書きましょう。
むすめ(  ) 運転手(  ) フランス(  ) バナナ(  ) 宮城県(  ) りんご(  ) かぐや姫(  ) つばき(  )  五葉山(  )インド(  ) 牛(  ) ウルトラマン(  ) 世田米小学校(  ) 
●また、名詞のなかには、時をあらわす『     名詞』、場所をあらわす『     名詞』、数量をあらわす『     名詞』、名詞の代わりになって何かをさししめす『     名詞』、人をあらわす『     名詞』に分かれます。

次の単語を『C 時間名詞』、『D 場所名詞』、『E 数量名詞』、『F 人称代名詞』『G 指示代名詞』に分けて、記号を書きましょう。

夕方(  ) 浜辺(はまべ)(  ) 朝(  ) 90本(  ) 彼女(  )   あなた(  ) これ(  ) 55メートル(  ) 来年(  ) グランド(  ) 午後(  ) 君たち(  ) 山頂(  ) それ(  )  あそこ(  )   おまえ(  ) 三月三日(  ) 彼(  ) 日曜日(  ) 10リットル(  ) 2004年(  ) 満蔵寺(まんぞうじ)(  ) いわな(  ) 住田町役場(  )

●次の文のなかの【A】普通名詞、【B】固有名詞に線をひき、記号を書きましょう。

(例) おじいさんは  に  レタスを  つみこんだ。
     (A)   (A)  (A)

1 ハンターが 鉄砲で いのししを うった。

2 一樹君は 竣平君と 気仙川で あゆを つった。

3 兄は 犬の ジョンと 散歩した。

4 千田先生は 大船渡日産から 自動車を 買った。

●次の文のなかの【C】時間名詞、【D】場所名詞に線をひき、記号を書きましょう。

(例) ぼくは 先月  県営グランドで  サッカーの  試合を  みた。
        (C)   (D)

 1 私は 今年は 高田松原に 水泳に 行きたいな。
 
 2 この 貝がらは 去年の 夏に 海辺で ひろった ものだ。

 3 1994年10月 ロケットが 宇宙に 打ち上げられる。

【今日の学習をふりかえって】


4 あとがき

 今回の授業は、村上三寿先生や村上久美子先生の実践記録をもとに、小学校2年生から6年生で実践したものである。基本的な構想は、「にっぽんご」シリーズの教科書や奥田靖男先生、佐藤里美先生の文法教科書案によっている。
 子どもたちは、学校教育のなかで学問としての「にっぽんご」の教育をきちんとうけてきていない。だが、どの教室の子どもたちも、「にっぽんご」の授業をとてもたのしみにしている。あたらしくまなんでいく「にっぽんご」のしくみや法則を発見していくよろこびが、そこにあるからだとおもう。
 担任がなく、とびこみ授業でも、ある程度どの学年でもたのしく実践できたことは大きな収穫である。いろいろな学習会で指導していただいた先生やサークルの仲間に感謝したい。今、岩手では、教室でたのしく「にっぽんご」の授業を実践している仲間がすこしずつ、そして確実にふえてきている。

 数日前、電話があった。「子どもたちがたのしんで文をよむようになりました。文からわかったことから、いろいろなことを発言するようになりました。ありがとうございました。」
転任したわかい先生から「国語のよみかたをおしえてほしい」と、そうだんをうけたのは、5月の末のことだった。作品は「森へ 写真・文 星野道夫」(光村6年)。(星野道夫氏は、アラスカにあこがれ、アラスカの自然やそこにいきている動植物、人間などを写真でとりつづけた。クマとの事故で死亡。享年44歳。)
 その後彼は車をはしらせ、2回私といっしょに学習会をもつことになる。国語科という教科でどんな力をつけていかなければいけないのか、作品をよむとはどういうことなのか、そしてそのために、教師も子どもたちも言語の力をつけていかなければならないことなどをかたりあった。すくない時間であったが、まなびあうことがとてもここちよかった。あるていどの見通しがもてたのだろうか…。彼の目はしだいにかわってきたようにみえた…。
 仲間と力をあわせていい仕事をするということは、こういうことなのだろうとおもう。そして仲間とまなびあいながら、つねに実践をつづけ、記録にのこしていくことを大切にしていきたいとおもう。

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【 参 考 文 献 】
「にっぽんごシリーズ」  むぎ書房
「宮城版 にっぽんご」 奥田 靖雄 著 佐藤 里美 編
「日本語文法・形態論」  むぎ書房  鈴木 重幸 著
「二年生のにっぽんご」の指導記録 村上 久美子  『教育国語2・6』 (むぎ書房)
「文・単語・品詞について」 村上 三寿 『教育国語2・14』『教育国語2・16』 (むぎ書房)
「動詞の変化形(活用形)について」 村上 三寿  『教育国語3・1』 (むぎ書房)
「楽しく、そしてどの子にも力のつく文法の授業を」 千田 晃一 教科研国語部会 小原集会 2004
「希望 国語 六下』 光村図書 1983
「新訂文学読本 はぐるま 7』 部落問題研究所編 1990
「二時間目 国語」 小川 義男 監修 宝島社 2004
「最後の授業」 アルフォンス・ドーデ作 桜田 佐(たすく)訳 岩波文庫?
「少年少女世界文学全集 7』 南本 史(ちか)訳 学 1968
「消えた『最後の授業』」 府川 源一郎 大修館書店 1992
「社会科資料集 6年」 日本標準 2005


謝辞
 千田晃一先生に本郷でのレポートをホームページで公開したいというお願いをしたところ、レポートのファイルをメールでお送りいただきました。公開にあたりましては、千田先生の全面的なご協力のおかげだとこの場を借りてお礼申し上げます。
 さらに、千田先生は、8月の7〜9日、福島で東北民教研がひらかれ、本郷での発表のつづきで、2時間実践をくわえましたものをご提案なさるということで、二本の追加レポートを送ってくださいました。ここに、追加レポートとして公開させていただきます。

追加レポートT 
 文の完結性  3年生        2005年6月28日(火)3校時

ぶんには 「なになにが どうする」「だれだれが どうする」という ことが かいて あります。
                         (二年生の にっぽんご P5)

【ここで指導する内容】
 文の完結性。「なになにが だれだれが」の部分と、「どうする」の部分がそろってはじめて、文は単位としての役割を成している。

【指導のながれ】
1 前回のふくしゅう
2 教材の提示
3 「だれだれが」だけでは、文の意味は伝わらないこと。「どうする」だけでも文の意味は伝わらないこと。
4 「なになにが どうする」「だれだれが どうする」のひとまとまりで、文はひとつのできごと(絵)と対応すること。
5 れんしゅう 
6 まとめ

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【授業記録】

1 前回のふくしゅう

T 今日は、みなさんと勉強するのがたのしみでやってきました。よろしくおねがいします。
T では、これをみてください。おぼえていますか。
 ――なんだっけ。
 ――おぼえている。(口々に…)
 ――みたことある。
 ――ももたろうだ。
 ――「ももたろうさん」、おもしろかった。
T みんなが二年生のときに勉強したんですよ。何のお話か、いってごらん。
 ――「ももたろう」です。
T そうですね。「ももたろう」です。へんなところに「。」がついていますね。
 ――先生がへんなところに「。」をつけたんだよ。
T そうでしたね。ただしいのは赤い「。」のところですよ。まちがわないようにではよんでみましょう。(指示棒で模造紙の板書をさしながら…)
 ――@むかし むかし ある ところに おじいさんと おばあさんが すんで いました。
   Aおじいさんは やまへ しばかりに いきました。
   Bおばあさんは かわへ せんたくに いきました。
   Cおばあさんは かわで せんたくを していました。
   Dおおきな ももが どんぶらこ どんぶらこと ながれて きました。
   Eおばあさんは ももを ひろい あげました。
   Fおばあさんは ももを もって いえに かえりました。
T ここに番号がありますね。@からFまであります。
 ――だんらく…?
T では@をみてください。
「@むかし むかし ある ところに おじいさんと おばあさんが すんで いました。」これを何といったか、おぼえている人?
 ――だんらく。
 ――ちがう。
T うん、だんらくっていうのは、一つさがっているところをいいましたね。
 ――???。
T ではヒントをだします。「ふ」…。
 ――??? 
 ――わかった、文だ!! 

※)おもいだせたことがよっぽどうれしかった和真君が、目をまんまるにして「文だ!」とさけんだ。

T すごい!正解!!文といいます。       
 ――よっしゃ!!
 ――ああ、文だ。
T 和真君に拍手!!(拍手)では、黒板をみてください。そうすると、この「ももたろう」のお話は…。一つ、二つ…(いっしょに文のかずをかぞえていく。)七つの文からできています。
T 文にはやくそくがありました。文のおしまいには…。
 ――「。」をつけます。
T そうでしたね。よくおぼえていました。「。」をつけます。この「。」は適当につけてよかったですか?
――だめ。
T 「むかし むか。」とか、「おじいさ。」のように「。」をつけてよかったですか?
 ――文のおわりにつけます。
T よくおぼえていました。文のおわりに「。」をつけましたね。
 
2 教材の提示

 ※「だれが」「どうする」 動作であらわしてみる。

T では、れんしゅうしてみましょう。いわれた人は、そのとおりにやってみてください。

※)みんなの前ではずかしがらずにきちんと動作ができた子どもは、みんなの前で拍手をしてあげる。ほめられると、何年生でもうれしそうな顔をする。3年生ぐらいだと、ぼくにもあててとにぎやか。

T 「真聖(まさきよ)君が たつ。」
 ――真聖、立つ(動作)。
T いいですか。拍手!! 
T 蒼也(そうや)君が ねる。」
 ――蒼也、机にねる。(動作) 
T いいですねえ。拍手。
T 理留(みちる)ちゃんが、右手をあげる。
 ――理留、はずかしそうに手をあげる。
T できたねえ。拍手。いいですねえ。
T 理子(りこ)ちゃんが、両手をあげて、ぶらぶらする。 
 ――理子、両手をあげて、ぶらぶらする。        

※)理子ちゃんははずかしがりや。でもみんながやっているから、てれながらもがんばって動作をする。

T いいですねえ。拍手。

3 「だれだれが」だけでは、文の意味は伝わらないこと。「どうする」だけでも文の意味は伝わらないこと。

T ではつぎ。あゆかちゃんが…。(すこし、間…)あゆみちゃんが…。
T あれっ、あゆかちゃんはどうして動作ができないのですか?
 ――先生が何もいっていないから。
 ――何もいっていないから、できないんです。
 ――何をすればいいのか、いっていないからです。
T 真優(まゆ)ちゃんが…。真優ちゃんが…。
 ――何もいっていないから、真優ちゃんもできません。
T そうか…。わかりました。真優ちゃんが、えんぴつをもつ。
 ――真優、えんぴつをもつ。(拍手)          
T あゆかちゃんが、べろべろばーをする。(笑)     

※)「どうする」がようやくできたので真優もあゆかも安心して動作をする。

T じょうずでしたね。では…。「立つ」
 ――何人か立つ。
 ――だれが立つの?
T そうだね。だれが立つのか、わかりませんでしたね。では「ねる」
 ――だれがねるのか、わからない。
T うん、文は「だれだれが」だけでもわからないし、「どうする」だけでもわかりませんね。「だれだれが どうする」ということがわかって、はじめて文がわかりますね。

4 「なになにが どうする」「だれだれが どうする」のひとまとまりで、文はひとつのできごと(絵)と対応すること。

T ではプリントをわたします。(二年生の にっぽんご P5)
T プリントをみてください。一つめの文をよんでみましょう。

きしゃが はしる。

 ――「きしゃが はしる。」          
T いいですね。つぎの文もよんでみましょう。

ひこうきが とぶ。

 ――「ひこうきが とぶ。」           
T では、「きしゃが はしる。」という文は、
どの絵をさしていますか?
 ――これです。(プリントの汽車の絵をゆびさしている。)
――かんたん、かんたん。
T いいですね。では「ひこうきが とぶ。」
 ――これです。(プリントのひこうきの絵を さしている。)
T よくできました。ここがもし「ひこうきが」 だけだったら、文はわかりますか?
 ――わからない。
 ――「ひこうきが はしる」でも、空港をと ぶときに、はしります。
 ――「どうする」がないと、ひこうきがなにをするのか、わかりません。
T そうですね。「ひこうきが とぶ。」で文に なりますね。

T ではつぎの文にいきましょう。        

おんどりが こけこっこうと ないた。
めんどりが たまごを うんだ。

T 「おんどりが」だけだったら、文はわかりますか?
――わかりません。
T「こけこっこうと ないた」だけで文はわか りますか? 
――めんどりがないたのかもしれません。
T そうですね。「なになにが」「どうした」で はじめて文がわかります。

T では、最後の文にいきましょう。      

おとこのこが なわを まわして いる。
おんなのこが とんで いる。

T では、「おとこのこが なわを まわして いる。」という文は、どの絵をさしていますか?
――これです。(プリントの男の子の絵)
――二人いる。
T そうですね。二人の男の子の絵をさして いる人が正解です。
T では、「おんなのこが とんで いる。」は、どの絵でしょうか?
 ――女の子の絵をゆびさす。
 ――三人だよ。
 ――うん、三人だ。
 ――いや、一人だ。
T では、きいてみましょう。女の子で、三人をゆびさした人?
 ――はい。(数人挙手)
T それいがいありますか?
 ――一人。
T 駿君は?
 ――一人。だって、なわをとんでいるのは、一人だから!!
T はあ、なるほど。今、なわをとんでいる女の子は一人というんだね。なるほど…。では、こちらの二人の女の子は、何という文にすればいいでしょうか?
 ――おんなのこが まっている。
T なるほどね。「おんなのこが とんでいる。」というのは、一人で、「おんなのこが まっている」という文もつくれそうですね。
T では、こんどは犬の絵をみてください。この絵から文がつくれますか?
 ――犬が 走る。(板書)
 ――犬が なく。(板書)
 ――犬が なわを みて いる。(板書)
 ――犬が わらう。(板書)
 ――犬が はしゃいで いる。(板書)
T ずいぶん、いろいろな文ができましたね。よんでみましょう。
――一斉音読。
T では、ぜんぶでいくつの文がありますか?
 ――五つです。
T そうですね。では五つの文をみて、気がついたことはありますか?
 ――「犬が」がならんでいます。
 ――みんな、「犬が」があります。
 ――「みて いる」や「はしゃいで いる」のように「いる」がついています。
T そうですね。美穂ちゃんや駿也君がみつけました。全部の文に「犬が」がついていますね。
 ――「なにが」がついています。

5 れんしゅう (二年生の にっぽんご P6)

ぶんを つくりなさい。

(1)

 (おばあさんが)   せんたくを して いる。
     だれが

    (ももが)     ながれて きた。
     なにが

(2)

  うさきが   (        )。
          どうして いる

  かめが    (        )。
          どうして いる

――うさぎが ねて いる。               
――うさぎが ひるねを して いる。          
――うさぎが はっぱの うえで ひるねを して いる。
――うさぎが 草むらで ねて いる。

――かめが あるいて いる。
――かめが いっしょうけんめい はしって いる。
――かめが はしって いる。
――かめが あせを かきながら ひっしに はしって いる。
――かめが あせを ながしながら はしる。
――かめが のろのろ はしって いる。

※)「どうして いる」の前に修飾語をいれてもよいことにする。

T ずいぶん長い文もつくれましたね。ではつぎにいきましょう。

 (       )   (        )。
    だれが        どうする

 (       )   (        )。
    だれが        どうする

 ――先生が ピアノを ひいて いる。
 ――先生が ピアノを ひく。

 ――子どもが うたって いる。           
 ――子どもが うたう。
 ――女の子が がくふを みながら うたを うたう。 

6 まとめ

T まとめをします。お話は文からできています。文にはおしまいに「。」をつけます。文は「なになにが どうした」とか「だれだれが どうした」ではじめて文ができます。「だれだれが」や「なになにが」だけでは、文は…
 ――できません。
T 「どうする」だけだったら…。
 ――できない。
T ではだいじなことをおしえます。「だれだれが」や「なになにが」のことを「主語」といいます。よんでみましょう。(板書)
 ――主語。
T こちらは…。                   
 ――述語。                     

※)4月に「主語」「述語」ということばはドリルで勉強していたようだ。

T そうです。「述語」といいます。(板書)
T 「主語」と「述語」があわさって、はじめて文になります。
  主語+述語=文(板書)
T では、今日の勉強でわかったことをかきましょう。

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【授業後の感想】 文の完結性 3年生
・ 主語と述語があわさって文ができるとはじめてしった。文の終わりにはかならず「。」をつけるとしった。文は、さいしょは「なになにが だれだれが」、おしまいは「どうした」がつくことが今日はじめてわかった。さまざまな文が、二つあわせてはじめて一つの文ができることをはじめてしった。
・ 今日は「主語+述語=文」ということをはじめてわかるようになりました。国語でも、かんじを足し算にしたことはありますが、主語や述語の足し算ははじめてしりました。今日わかったことは、「なになにが」「だれだれが」だけでは分からないし、「どうした」だけでも分からないから、それをあわせなければ文もいみふめいになってしまうということです。
・ 主語+述語=文で、べんきょうしてはじめて分かりました。「おばあさんがせんたくをしている。」「ももがながれてきた。」「うさぎがねている。」「かめが走っている。」「せいとがうたをうたう。」「先生がピアノをひく。」というプリントがおもしろかったです。あと、「だれが」がなにをさしているのか、ゆびをさすのもおもしろかったです。
・ 「なになにが」と「だれだれが」「どうした」をつかって、文をつくっていきたい。「主語+述語=文」のことばもわすれずに、にっきや作文にもやくだてて書いていきたい。「。」や「、」もわすれずにかいていく。
・ 文は「だれだれが どうした」「なになにが どうした」とさいしょに「は」「が」とかをいれるということが分かりました。しゅごとじゅつごがあわさると、文ができるということがわかりました。それに「どうした」はいろいろなことばでできていて、さいごに「。」をつけます。
・ 主語と述語は、文にかんけいがあることがわかりました。そして「なにが」と「だれだれが」は「が」がついていることがわかりました。
・ 主語は「なになにが」「だれだれが」という事を表す。述語は「どうする」「どうした」という事を表す。このように、主語と述語がまざって文ができる。
・ 「。」がつくのが文だと、今日のべんきょうでしりました。ちゃんとべんきょうしてしることができてよかったです。さいごのまとめで、「主語+述語=文」とわかりました。今日のまとめの中心は「文」でした。
・ きょうのべんきょうで分かったことがあります。主語+述語=文です。
・ しゅごとじゅつごがわかった。
・ しゅご+じゅつご=文になるんだなあと思いました。
・ 主語と述語がはっきり分かった。
・ うさぎがねているの文がわかった。
・ 主語+述語で文ができることがわかった。主語は「なになにが」「だれだれが」で、述語は「どうした」です。
・ 主語+述語=文ということがわかりました。「だれが、なにが」がわかった。主語と述語のちがいがわかった。
・ 主語と述語で、文ができることがわかった。

参考 村上久美子 『二年生のにっぽんご』の指導記録(1) 教育国語2・6 1992.7 むぎ書房


追加レポートU   たんご 3年生           2005.6.29

【ここで指導する内容】

 ぶんは ちいさな ことばに わけることが できます。 ちいさな ことばは たんごと いいます。 
(二年生の にっぽんご P8)

【指導のながれ】

1. 前時のふくしゅう
2. 教材提示
(1) 主語がおなじ文。
(2) 述語がおなじ文。
3. 文は小さなことばにわけることができる。この小さなことばのことを「たんご」という。
4. れんしゅう …いくつのたんごからできているか。
5. まとめ
6. れんしゅう
7. 今日の勉強のまとめ

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【授業記録】

1.前時のふくしゅう
T きのうは文のべんきょうをしました。「なになにが」「どうした」とか「だれだれが」「どうする」で文ができるという勉強をしました。「なになにが」とか「だれだれが」を何といいましたか。
 ――主語です。
T そうでしたね。「どうした。」「どうする。」…これを…。
 ――述語です。
T そうです。述語といいました。では、れんしゅうをしてみましょう。

れんしゅう
『二年生の にっぽんご P7』

ぶんの おわりに 「。」を つけなさい。

  おとうさんが かわらで かまどを つくった おかあさんが かわで こめを といだ ぼくは まきを ひろった いもうとは ぽちと あそんで いた ごはんが たけた ぶたじるが にえた いい においが する ぼくは おなかが ぐうぐう なった みんな はらいっぱい たべた

T (数分後…)みんなは、文のおわりのところで「。」といってください。
 「おとうさんが かわらで かまどを つくった…」
 ――「。」
T 「おかあさんが かわで こめを といだ」 
――「。」              
T 正解。                
T 「ぼくは まきを ひろった」
――「。」              
T 正解。                
 ――よっしゃ!!拍手

※)どこが文のおわりで「。」がつくのか、 一文一文たしかめながら、すすんでいく。どの子もまちがいなく「。」をつけることがきた。
きちんとできることがうれしいのだろう。「よっしゃ」「できた」の声がはずむ。

 ※)なれてきたら、テンポくすすんでいく。
T 「みんな はらいっぱい たべた」
 ――「。」
T みんなよくできました。

2.教材提示

(1)主語がおなじ文  あかちゃんがわらっている絵を提示

T 文がつくれる人。
 ――あかちゃんが にっこり わらって いる。
 ――あかちゃんが わらって いる。
 ――あかちゃんが わらう。
 ――あかちゃんが すわって いる。
T では、べつの絵にいきますよ。 あかちゃんがないている絵を提示
 ――あかちゃんが ないて いる。
 ――あかちゃんが なく。
 ――あかちゃんが さわいで いる。
 ――あかちゃんが わめいて いる。
T では、みんないってくれた文の中なら、つぎの文にしますよ。

あかちゃんが わらう。(紙板書を黒板にはる。)
あかちゃんが なく。(紙板書を黒板にはる。) 

※)すがた動詞「〜いる」は、たんごの数が一つふえてしまうので、述語は「わらう」「なく」にした。

T よんでみましょう。            
――あかちゃんが わらう。
――あかちゃんが なく。
T 何か気がついた人はいますか。
 ――「あかちゃんが」がおなじです。
 ――おなじです。
T なるほど。「あかちゃんが」というところがおなじですね。ここを何といいましたか。
 ――主語です。
T そうですね。
 ――「なく」と「わらう」のところがちがいます。
 ――述語がちがいます。
T そうですね。そうするとこの二つの文は、主語がおなじで、述語がちがう文といえますね。

(2)述語がおなじ文  つばめがとんでいる絵を提示

T 何の絵か、わかりますか。
 ――つばめです。
T そうですね。つばめの絵です。では、文をつくってみましょう。
 ――つばめが とぶ。
 ――つばめが とんで いる。
 ――つばめが ぶんしん する。
T みんなかんがえた中から「つばめが とぶ。」にしますよ。よんでみましょう。(紙板書)
 ――つばめが とぶ。
T では、つぎの絵にいきましょう。 すずめがとんでいる絵を提示
 ――すずめが とぶ。
 ――すずめが とんで いる。
 ――すずめが あう。
 ――すずめが あそんで いる。
T では、みんながつくってくれた文から「すずめが とぶ。」にしましょう。(紙板書)よんでみましょう。
 ――すずめが とぶ。
T では、よくみてください。二つの文をみて、何か気がついた人。
 ――述語がおなじで、主語がちがいます。
 ――述語の「とぶ」はおなじです。
 ――主語の「つばめが」と「すずめが」がちがいます。
T そうすると、さっきのあかちゃんの文は、主語がおなじでしたが、こんどの文は述語がおなじということがいえますね。
 ――いいです。

3.文は、ちいさなことばにわけることができる。このちいさなことばのことを「たんご」という。

T では、この文をちいさなことばできりたいとおもいます。どこできればいいですか。
 ――「赤ちゃんが」です。
 ――おなじです。
T では、きってみましょう。(はさみできる。)
[あかちゃんが] [なく。]
[あかちゃんが] [わらう。]
T そうするとこの文は、「あかちゃんが」と「わらう」ということばにわけることができます。
T では、こちら(つばめとすずめの文)の方も小さなことばできりたいとおもいます。どこできればいいですか。
 ――「とぶ」の前のところです。
 ――「つばめが」のうしろのところです。
T なるほど。そうすると、「つばめが」のところと「とぶ。」のところできるのですね。(きる。)
T ではこちらの文(すずめの文)はどこできればいいですか。
 ――「すずめが」のうしろです。
T わかりました。ではきりましょう。(「すずめが」「とぶ」できる。)
T 今、四つの文を小さなことばにわけることができました。この一つ一つのことばを「たんご」といいます。よくおぼえましょう。(たんご 板書)
 ――たんご。
 ――だんご。
T だんごじゃありませんよ。「たんご」です。
T この文は(「あかちゃが わらう。」)は、たんごのかずは、二つあります。こっちの文(「あかちゃんが なく。」)のたんごのかずはいくらですか。
 ――二つです。
T そうですね。二つです。
※ )おなじようにして、「つばめが とぶ。」「すずめが とぶ。」の文は、いくつのたんごからできているのかたしかめた。

4.れんしゅう

 うしが草をたべている絵を提示する。

T では、れんしゅうしてみましょう。この絵をみて、文がつくってみましょう。
 ――うしが 草を たべて います。(拍手)
 ――うしが 草を たべる。
T では「うしが 草を たべる。」は、いくつの 
 たんごからできていますか。         
 ――三つです。               
 ――まだ、文ができます。「うしが しっぽを ふりながら 草を たべる。」です。
 ――ぜんぶで、五つのたんごです。

※)「たべて いる。」のすがた動詞だと二たんごになってしまうので述語は「たべる」にした。

T いいですね。ではつぎの文にいきましょう。
 うまが草をたべている絵を提示する。
 ――うまが 草を たべる。
 ――たんごのかずは三つです。

5.まとめ プリント

T ではまとめをしましょう。
T ぶんは ちいさな (   )に わけることが できます。 ちいさな (   )は (   )と いいます。
 ――文はちいさな(ことば)にわけることができます。
 ――ちいさな(ことば)は (たんご)といいます。
T そうですね。文はちいさなことば、「たんご」にわけることができます。では、まとめをよんでみましょう。

ぶんは ちいさな (ことば)に わけることが できます。 ちいさな (ことば)は (たんご)と いいます。

プリント(二年生の にっぽんご P8)

T 「あかちゃんが なく。」は…。
 ――二つのたんごです。
T 「あかちゃんが なく。」は…。
 ――二つのたんごです。
 ※)おなじようにして、「つばめが とぶ。」「すずめが とぶ。」「うしが くさを たべる。」「うまが くさを たべる。」のそれぞれの文がいくつのたんごからできているのか、たしかめていく。

れんしゅう1  (二年生の にっぽんご P9)

ほしが かがやく。      
そらに ほしが かがやく。     
そらに ほしが きらきら かがやく。    

たんぽぽが さいた。          
きいろい たんぽぽが さいた。      
みちばたに きいろい たんぽぽが さいた。
…二つ
…三つ
…四つ

…二つ
…三つ
…四つ

T (こたえあわせのあと)なにか気がついた人はいますか。
――「ほしが かがやく。」はぜんぶの文にはいっていて、たんごがだんだんふえています。
――たんごのかずが、だんだんふえています。
T そうですね。どの文も主語と述語はおなじです。たんごのかずがふえることによって、文 をひろげることができますね。
T では、つぎの文にいきましょう。
――たんぽぽが さいた。          
きいろい たんぽぽが さいた。      
みちばたに きいろい たんぽぽが さいた。
 ※)さいしょとおなじように、いくつのたんごからできているのかかくにんしていった。

れんしゅう2  (二年生の にっぽんご P10)

 ※)最初の文をつかって、やりかたをかくにんしてからすすんだ。

たんごの したに せんを ひきなさい。

      しゃぼんだま

ないふで せっけんを けずった。  
けずった せっけんを こっぷに いれた。
みずで とかした。
せっけんすいを すとろうに いれた。
そっと ふいた。
しゃぼんだまが できた。
しゃぼんだまが とんだ。
ゆらゆら とんだ。
やねまで とんだ。
※)子どもたちにとって、わかりやすい文なのだろう。どの子も一生けんめいもんだいにとりくんでいる。どの子もたんごの下にきちんと線がひけていた。


れんしゅう3  (二年生の にっぽんご P11)
 たんごを じゅんじょよく ならべて、 ぶんを つくりなさい。

たねを まいた かにが


なった かきが たくさん 


のぼった さるが きに


なげつけた さるが かきを かにに
※)「さるかにかっせん」だな、とつぶやきながら、
どの子も一生けんめいもんだいにとりくんでいる。

※)「かきが たくさん なった。」
  「たくさん かきが なった。」




※)「さるが かにに かきを なげつけた」
  「さるが かきを かにに なげつけた」
  「かきを さるが かにに なげつけた」

7.きょうの勉強のまとめ

 ぶんは ちいさな ことばに わけることが できます。 ちいさな ことばは たんごと いいます。 (二年生の にっぽんご P8)

 ※)チョークで板書した本時のまとめ。少しずつけしながら、3回よませた。

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【授業後の感想】 たんご 3年生
・ 今日は「たんご」ということばをならいました。わたしは、たんごというということばは、あまりしりませんでした。文でわかれたところが3つだったり、4つだったりで、いろいろなたんごをしりました。きのうもそうでしたが、みんなでたのしくやりました。とくにけんとくんとまさきよくんがおもしろかったです。あしたもたんごやしゅごやじゅつごを勉強できたらやりたいです。今日はきのうよりもいっぱいはっぴょうができました。
・ きょうは、「たんご」ということをならいました。ぼくはプリントのまとめをいいました。ぼくははくしゅをもらいました。うれしかったです。
・ 今日はことばを小さくわけるたんごということばをならいました。2つのことばにわけたり、3つのことばにわけたり、4つのことばにわけることをやりました。もっと長い文ならもっとたくさんのたんごもできると思います。
・ 今日はたんごをじゅんじょよくならべて、文をつくる勉強と、たんごの下に線を引く勉強をしました。それから、たんごはいくつあるかの勉強をした。たんごをじゅんじょよくならべて、文を作る勉強では、かにとさるの文を作った。
・ 今日はたんごのプリントをやった。たんごはこういうのかっていうことがわかりました。
・ 今日べんきょうして分かったことは、「文は小さなことばにわけることができる」ということです。
・ 今日のべんきょうでならったことは「たんご」です。プリントをつかって、たんごのもんだいがけっこうできました。
・ はじめて「たんご」ということばをならいました。たんごは小さなことばだとわかりました。しゅごとじゅつごは、そのまとまりがたんごとわかりました。
・ 今日は、たんごということばをはじめてしりました。
・ たんごは小さな言葉ってはじめてしりました。「まいた たねを かにが」は「かにが たねを まいた」という文になります。
・ たんごをはじめてしった。今日はたんごという言葉をならいました。たんごはいままでしらなかった。
・ 今日はたんごということばをならいました。はじめて、たんごということばをしった。
・ 主語と述語、てんごということがわかりました。
・ 文は小さなことばにわけることができます。小さなことばは、たんごということがわかりました。
・ 今日はたんごという言葉を勉強しました。
・ たんごのいみかわかりました。
・ ぼくは、かにとさるの文をがんばった。
・ 今日は、主語と述語とたんごの勉強をしました。


人目のご訪問ありがとうございます。 カウンタ設置 2005.8.3