人目のご訪問、ありがとうございます。 カウンタ設置 2004.8.23

0104    思考ユニット関連資料      TOPへもどる


010401    思考ユニット記号一覧    【外字登録番号表】

思考ユニットを表す記号を一覧表にしました。下記の外字番号に指定の外字を登録してください。
代用の欄には、外字登録していない方でもこのホームページ上で表示できるように井上が代用記号を考えました。

F040
代用 [⇔対比] [Q] [A] [呼] [応] […→]
F040
代用 [行→展]
[刺→反]
(順接)
[行→展]
[刺→反]
(逆接)
[行→展]
[刺→反]
( 順・補 )
[行→展]
[刺→反]
( 逆・補 )
[⇒](順接) [⇒](逆接)
F050
代用 [↓↑] [くりこみ]

010402    思考ユニットの整理
 …湯澤正範氏の『日本語のかたち 考え方のしくみ』(文芸社)を、井上が一覧表に整理してみました。ただし、整理した内容は井上が理解した内容をまとめたものですので、正確でない部分、あるいは間違いなどがあるかもしれません。例文等は、本に載っているものです。
    ページは『日本語のかたち考え方のしくみ』の該当ページです。
    以下引用部分が長く続きますので、まず、目次をつけます。目次から該当部分へジャンプすることもできますし、ジャンプ先から目次へ戻ることもできます。

目次

第7章  ニ文間に時間的展開のない思考ユニット
第1節 構文要素の独立
   A1 イツ・ドコ要素の独立
   A2 ダレは・ダレが構文要素(主語)の独立
   A3 ドノヨウニ構文要素(会話・内話)の独立
   A4 ドノヨウニ構文要素(修用語)の独立
   A5 ナニを構文要素(目的語)の独立
   A6 ナゼ構文要素の独立
   A1〜A6までの構文要素の独立の説明
   A7 そそぎ(連体修飾部)の独立
   A8 陳述部・先走りの独立
   A9 条件句の独立
第2節 並び
第3節 対比
第4節 いいかえ
第5節 呼応
第8章 ニ文間に時間的展開のある思考ユニット
第1節 継起展開
第2節 スルト型展開
第3節 ソコデ型展開
第4節 事―想展開
第5節 くりこみ展開

第7章  二文間に時間的展開のない思考ユニット


第1節    構文要素の独立  (P67〜87)

A1  イツ・ドコ構文要素の独立

イツ構文要素の独立
( 2年 力太郎 )

とんと昔。
  [↓]
それはもう、まずしいじいさまとばあさまがおった。
構文素文
イル判断文T

ドコ構文要素の独立 ( 4下  一本の鉛筆の向こうに )

アメリカ合衆国、シェラネバダ山中。
   [↓]
高さ四十メートル、直径一メートル、百年はたっていると思われるヒノキが、地ひびきを立てて切りたおされました。

構文素文


ナル描叙文

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A2  ダレは・ダレが構文要素(主語)の独立 ( 3下  虫のゆりかご )

一まいの葉っぱの上に、ちょこっと乗った黒っぽい小さな虫。
     [↓]
何かをさがすように、あちこち歩き回っている。

構文素文

テイル描叙文

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A3   ドノヨウニ構文要素( 会話・内話 )の独立

例1  ( 2上  スイミー )

スイミーは言った。
   [↑]
「出てこいよ。みんなであそぼう。おもしろいものがいっぱいだよ。」
スル描叙文

構文素文

例2    ( 2   お手紙 )

「そりゃ、どういうわけ。」
  [↓]
かえるくんがたずねました。
構文素文

スル描叙文

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A4  ドノヨウニ構文要素(  修用語 )の独立 (  3上  つり橋わたれ )

ハリネズミが一ぴき、生けがきぞいに、野道をぶらぶらやってきました。
    [↑]
楽しそうに、鼻歌を口ずさみながら。
スル描叙文

構文素文

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A5   ナニを構文要素( 目的語 )の独立  ( 2上  スイミー )

スイミーは教えた。
  [↑]
けっして、はなれぱなれにならないこと。
スル描叙文

構文素文

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A6   ナゼ構文要素( 理由などの補足説明 )の独立 ( 1下  きりかぶの赤ちゃん)

その空から、ある日、ちらりちらり、ゆきがふりはじめました。
   [↑]
ふゆがきたのです。
ナル描叙文

構文素文

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A1〜A6までの構文要素の独立の説明

基本文〈単文…主語・述語からなる1文〉の構成要素 を次のように考えてみる。

スル型文〈行動文〉

イツ ドコで ダレは ナゼ
ナンノタメニ
ナニを ドノヨウニ ドウスル

アル・イル型文〈存在文〉

イツ ドコに ダレは ドノヨウニ アル
イル

しかし、実際の文は、上の要素をすべて備えているわけではない。
時として、変則的に一つ(複数の場合もあるが)の要素を独立させた1文と、それを統括する1文、つまり2文で表現することがある。

A1の イツ構文要素の独立の例文  では ドコに ドノヨウニ の二つの要素を欠く1文として表現できる内容を、2文で表現している、と考える。

イツ ドコに ダレは ドノヨウニ イル
とんと昔 × それはもう、まずしいじいさまとばあさまが × おった

イツ構文要素の独立 の2文 での表現

イツ。 とんと昔。
ダレは  イル。 それはもう、まずしいじいさまとばあさまがおった。

思考ユニットでは、上の2文を一つの文塊ととらえ、「とんと昔。」という〈イツ要素文〉を、「それはもう、まずしいじいさまとばあさまがおった。」という述語をもつ文が、統括しているとする。それを、わかりやすく図示するために、〈イツ要素文〉から〈述語をもつ文〉に向かう記号[↓]をつけ、四角く2文を囲む枠をつける。

思考ユニットでの分析図

とんと昔。
  [↓]
それはもう、まずしいじいさまとばあさまがおった。
構文素文


イル判断文T
…イツという要素のみの文


…イツ要素文を統括する文

A2のダレは・ダレが構文要素(主語)の独立の例文  では イツ・ナゼ・ナンノタメニ・ナニを という要素を欠く次の1文を、2文で表現している、と考える。

イツ ドコで ダレは ナゼ
ナンノタメニ
ナニを ドノヨウニ ドウスル
× あちこち 一まいの葉っぱの上に、ちょこっと乗った黒っぽい小さな虫 × × 何かをさがすように 歩き回っている。

ダレは・ダレが構文要素(主語)の独立 の2文  での表現

ダレ。 一まいの葉っぱの上に、ちょこっと乗った黒っぽい小さな虫。
ドノヨウニ  ドコを ドウスル。 何かをさがすように、あちこち歩き回っている。

思考ユニットでは、上の2文を一つの文塊ととらえ、「一まいの葉っぱの上に、ちょこっと乗った黒っぽい小さな虫。」という〈ダレが要素文〉を、「何かをさがすように、あちこち歩き回っている。」という述語をもつ文が、統括しているとする。それを、わかりやすく図示するために、〈ダレが要素文〉から〈述語をもつ文〉に向かう記号[↓]をつけ、四角く2文を囲む枠をつける。

思考ユニットでの分析図

一まいの葉っぱの上に、ちょこっと乗った黒っぽい小さな虫。
     [↓]
何かをさがすように、あちこち歩き回っている。

構文素文

テイル描叙文

…ダレがという要素のみの文

…ダレが要素文を統括する文

「イツ構文要素の独立」「ダレは・ダレが構文要素(主語)の独立」と同様に、「ドコ構文要素の独立」「ドノヨウニ構文要素(会話・内話)の独立」「ドノヨウニ構文要素(修用語)の独立」「ナニを構文要素(目的語)の独立」「ナゼ構文要素(理由・目的の補足説明)の独立」という思考ユニットがある。

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A7  そそぎ( 連体修飾語 )の独立 ( 1下  くじらぐも )

一ねんニくみの子どもたちがたいそうをしていると、空に、大きなくじらがあらわれました。
   [↑]
まっしろいくものくじらです。
ナル描叙文


構文素文
…基となる文


…主語の補足説明

A7 そそぎ( 連体修飾語 )の独立の説明

文を構成する基本的な要素をもつ1文の中の「ダレが( ナニが)」「ダレを(ナニを)」の補足説明をする「そそぎ(連体修飾部)の独立」という思考ユニットがある。

A7の1文は、下のような構文要素をもつ。A1からA6までの構文要素の独立は、述語を持つ文〈基となる文〉の欠けている要素文を独立させたものである。

それに対してA7の「そそぎの独立」は、主語「大きなくじら」が「ドンナくじら」であるか補足説明する1文が、続く。

イツ ドコに ナニが ドウナル
1   一ねんニくみの子どもたちがたいそうをしていると、 空に、 大きなくじらが あらわれました。


…基となる文
                                                                                          [↑]
ドンナナニです。
まっしろいくものくじらです。


…主語の補足説明

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A8 陳述部、先走りの独立  (3上  三年とうげ)

ところがたいへん。
   [↓]
あんなに気をつけて歩いていたのに、おじいさんは、石につまずいて転んでしまいました。

構文素文


ナル描叙文

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A9  条件句の独立 ( 中3  握手)

1   そして待っていたのがルロイ修道士の平手打ちだった。
    [↑]
あさっての朝、必ず戻ります。心配しないでください。捜さないでください。」という書き置きを、園長室の横にはりつけておいたのだが。

ナニ判断文U


構文素文

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第2節   並び(P87〜103)

B1   典型的な「並び」  (  3下   あなたはだれ )

「お母さん」「ママ」は、子どもからみたよびかたです。
        [+]
「お姉さん」は、弟や妹からみたよびかたです。
         [+]
「サザエ」は、親からみたよびかたです。

ナニ判断文U

ナニ判断文U

ナニ判断文U

B2   認知の型が違う「並び」 ( 1下  どうぶつの赤ちゃん )

どうぶつの赤ちゃんは、生まれたばかりのときは、どんなようすをしているのでしょう。
    [+]
そして、どのようにして大きくなっていくのでしょう。

テイル伝達文

ナル伝達文

B3    複雑な「並び」 ( 2上  スイミー )

  にじ色のゼリーのようなくらげ。 ナニ描叙文仮
      [+]
  水中ブルドーザーみたいないせえび。 ナニ描叙文仮
      [+]
3  
 見たこともない魚たち。
   [↑]
 見えない糸で引っぱられている。
ナニ描叙文仮
構文素文
     [+]
  ドロップみたいな岩から生えている、こんぶやわかめの体。 ナニ描叙文仮
     [+]
 うなぎ。
  [↑]
 顔をみるころには、しっぽをわすれているほどながい。
ナニ描叙文仮
構文素文
     [+]
   そして、かぜにゆれるもも色のやしの木みたいないそぎんちゃく。 ナニ描叙文仮

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第3節   対比(P103〜116)

(1) 一般的対比  (2上 たんぽぽのちえ)

1   よく晴れて、風のある日には、わた毛のらっかさんは、いっぱいにひらいて、遠くまでとんでいきます。 ナル判断文T
        [⇔対比]      
でも、しめりけの多い日や、雨降りの日には、わた毛のらっかさんは、すぼんでしまいます。 ナル判断文T

(2) 前置き的対比  (2下 おへそって、なあに)

1   わたしたちのおへそは、今は、なんのはたらきもしていません。 テイル判断文T
       [⇔対比]      
でも、わたしたちがおかあさんのおなかの中にいたときは、とても大切なはたらきをしていました。 テイル判断文T

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第4節   いいかえ(P116〜135)

(1) 一般的いいかえ   (2下 スーホの白い馬)

1   でも、白馬は、弱りはてていました。       テイル描叙文
        ‖
いきは、だんだん細くなり、目の光もきえていきました。 ナル描叙文

(2) 裏返し的いいかえ  (2上 えいっ)

1   くまの子は、なにも言いません。       ドウ描叙文
        ‖
だまって、何か考えています。 テイル描叙文

(3)  予告的いいかえ  (動物の能力)

1   一度上の動物園で、こんなことがあった。       アル判断文T
        ‖
夕方、観客が帰った後、園内見回りの夜警が、犬を連れて歩いていた。
    [刺→反]
カンガルーのさくの前まで来ると、今までおとなしくしていたカンガルーが、急にさくをとびこえてにげた。
テイル描叙文
スル描叙文

(4) まとめ的いいいかえ   (4上  アナトール、工場へ行く)

1   「アナトールは、なぜ、すがたを見せないのかね。」
       ↓
2   デュバルさんは、ひしょの女の人にたずねました。
      ↑
3   「アナトールに、ごほうびをやりたいのだがね。うちの工場がこれだけりっぱになったのは、まったくかれのおかげなんだから。」
     […→]
4   デュバルさんは、アナトールに、ぜひ会いたいと、手紙を書きました。
    [行→展](逆接)
5   けれども、アナトールは、このまま知られずにいたいと、返事をよこしました。
    […→]
6   デュバルさんは、とうとう、アナトールという名の社員を全部、社長室によび集めて、きいてみました。
    [行→展](逆接)
7   けれども、だれもかもが首をふって、カードなんか置いた覚えはありません、と答えました。
構文素文
スル描叙文
構文素文
スル描叙文
スル描叙文
スル描叙文
スル描叙文
      ‖
8  いくらさがしても、本当のアナトールは見つかりません。 ナル判断文T

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第5節  呼応  (P135〜143)

「呼応」の例文は、文章の初めと終わり部分にあることが多いので、その位置を示すため、文章に通し番号を付け、その番号を例文につけてある。

(1) 問いと答え   (3上  ありの行列)

4   [Q]  それなのに、なぜ、ありの行列ができるのでしょうか。 ナル伝達文
32 [A]  このように、においをたどって、えさの所へいったり、巣に帰ったりするので、ありの行列ができるというわけです。 ナル判断文U
【全34文】

実際は第1〜4文塊と第5〜34文塊が、「問い」と「答え」の関係になっているが、便宜上それぞれの中心文、第4文と第32文を代表としてあげてある。

(2)  その他の呼応   (2下   おへそって、なあに)

1     [呼]  おへそは、わたしたちがおかあさんとつながっていたあとなのです。 ナニ判断文U
[応]  おへそは、わたしたちがおかあさんのおなかの中にいたとき、おかあさんとつながって生きていたしるしです。 ナニ判断文U
【全25文】

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第8章 二文間に時間的展開のある思考ユニット


第1節  継起展開(P144〜160)  (1下  どうぶつの赤ちゃん)

1   ライオンの赤ちゃんは、生まれて二か月ぐらいは、おちちだけのんでいますが、やがて、おかあさんのとったえものをたべはじめます。 スル判断文T
    […→]
一年ぐらいたつと、おかあさんがするのを見て、えもののとりかたをおぼえます。 スル判断文T
    […→]
そして、じぶんでつかまえてたべるようになります。 ナル判断文T

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第2節  スルト型展開(P160〜180)

(1)行為―展開

例1  順接の場合  (1上  だれにあえるかな)

1  ぴょんは、けやきのしたにねそべりました。 スル描叙文
     [行→展](順接)
2  くさむらに、むしがいます。
      +
3  そらには、くもがうかんでいます。
イル描叙文
テイル描叙文

例2  逆接の場合  (1上  大きなかぶ)

1  おじいさんは、かぶをぬこうとしました。
        ↑
2  「うんとこしょ、どっこいしょ。」
スル描叙文
構文素文
       [行→展](逆接)
3  けれども、かぶはぬけません。 ドウ描叙文

(2)刺激―反応

A 「認知―反射」  客体の状況認知→主体側の反射的反応・行動   (1下  きりかぶの赤ちゃん)

1   はだかのきりかぶにゆきがふりかかるのは、なんだかつめたそうで、いたそうです。 ドウ描叙文
     [刺→反](順接)
のねずみが、かれ草を一本もってきて、ひつじのさわぎが聞こえます。 スル描叙文

 客体間で、刺激となる一方の動きのとらえ→もう一方のそれに対する反応のとらえ  (1上 はなのみち)

1   あたたかいかぜがふきはじめました。 ナル描叙文
     [刺→反](順接)
ながいながい、はなのいっぽんみちができました。 ナル描叙文

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第3節  ソコデ型展開     (P181〜194)

例1  順接の場合  (1下  どうぶつの赤ちゃん)

1   ライオンの赤ちゃんは、じぶんではあるくことができません。 スル判断文U
       [⇒](順接)
よそへいくときは、おかあさんに、口にくわえてはこんでもらうのです。 ナル判断文U

例2  逆接の場合   (1下  どうぶつの赤ちゃん)

1   ライオンは、どうぶつの王さまといわれます。 ナニ判断文U
       [⇒](逆接)
けれども、赤ちゃんは、よわよわしくて、おかあさんにあまりにていません。 テイル判断文U

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第4節  事―想展開    (P195〜207)(3上  ヤドカリのすみかえ)

1   はじめ、このヤドカリは、相手の貝がらを回したり、入り口にはさみをつっこんだりしました。 スル描叙文
       [↑↓]
貝がらの大きさや、きずをしらべているようです。 テイル判断文U

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第5節  くりこみ展開   (P208〜225)

(1)一般的くりこみ展開  (1下  たぬきの糸車)

1   むかし、ある山おくに、きこりのふうふがすんでいました。 テイル判断文T
      [くりこみ]
山おくの一けんやなので、まいばんのようにたぬきがやってきて、いたずらをしました。 スル判断文T

第2文の「山おく」が「反復語句」。この反復語句によって第1文の情報が第2文にくりこむ。

(2)補足的くりこみ展開  

1   とうさんは、電車のきっぷのじどうはんばいきに、お金を入れました。
         […→]
2   ボタンをおしました。
         [補足的くりこみ]
3    そのとき、口の中で、「えいっ。」と言ったのが聞こえました。
              [行→展](順接)
4     きっぷが出てきました。

上の例で、第1、2文は第3文にくりこんでいる。しかし、第4文に直接つながりをもっているのは、第1、2文である。このような場合、第3文は「補足的なくりこみ展開」であるとする。

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