010506  「動いて、考えて、また動く  高野 進」光村図書小学校4年教材の教材研究   TOPへ戻る

はじめに

「動いて、考えて、また動く  高野 進」(光村図書小学校4年)は、国語授業の改革11『新しい教科書の新しい教材を生かして思考力・判断力・表現力を身につけさせる』科学的『読み』の授業研究会・学文社に取り上げられている教材です。永橋和行先生の授業記録・阿部昇先生のコメント・湯原定男先生のコメント・授業者自身のコメントが掲載されています。
永橋先生の授業は、前文[1段落]・本文[2~6段落]・後文[7・8段落]と三部構造を前時まででとらえた上で、本時は、本文の内部構造を読み取る一時間の授業記録が掲載されています。
永橋先生の読みでは、2段落が柱で、3~5段落がその説明にあたり、本文Ⅰ。6段落が、柱の段落で、本文Ⅱ。以上のことを、児童に読み取らせる授業記録です。本文の内部構造を読み取るのは、かなり難しかったことが、授業記録からわかりました。

この教材は、「説明文」という文種であると永橋先生は、考えていると思うのですが、そのことが、この教材の論理よみを難しくしてしまっているのではないかと私は考えます。三部構造であることは間違いないのですが、この教材は、「わたし」のしたこと・考えたことを時間の順序で書いた記録文として読むことによって、柱と柱以外の関係を把握する論理よみに無理が生じないようになります。阿部昇先生も、湯原定男先生もコメントを読む限り、「説明文」として柱と柱以外の関係で全体の論理関係をとらえているようです。記録文として、この教材を扱っていないと思われます。

以下、そういう視点で、この教材を読んでみました。ご意見等をいただけますと、大変ありがたく思います。

また、「国語ってなんかい」[ブログ作成者は重藤照文さん]という教材分析を公開しているサイトも発見しましたので、その教材分析にも、コメントしていきます。

全部の原稿がそろわない段階ではありますが、少しずつ公開していきます。
(2013.07.27 一部公開)(2013.07.28 一部公開)(2013.07.31 8割完成版公開)(2013.08.03 一応の完成版公開)


教材分析の凡例   

①教材文の工夫
  ・青字のテキストが、「わたし」のしたこと・考えたことで、時間軸で書かれた記録文として読める文。(大きいフォント)
  ・赤字の語句が、「時」を表す語句。
  ・黒字の(普通のフォント)の文は、説明文として読める文。
②記録と説明の区分け
  ・時間の順序で書かれた文を「記録」
  ・時間の順序以外の論理で書かれた文を「説明」
 ○この区分けによって、「記録」の文は基本的にはすべて柱の文、「説明」の文のグループ(説明と記録のグループも)には、柱と柱 柱と柱以外 の関係を考える。
③時
  ○時間の順序で書かれた文「記録」のテンス(いつのことか)がわかる場合は、区分けした。
  ・超時…いつのときでもなりたつ場合  
  ・昔…過去。こまかな時がわかる場合は(    )内に表示
  ・今…現在
  ・未来…これからのこと
④動く 考える 工夫 発見 その他
  ○1段落に「 ① 運動でも勉強でも、「まず動く、そして考える」ことが大切です。② そうして何度も成功や失敗をくり返しながら工夫を重ねると、きっと、自分にとって最高のものを実現できます。」とあり、文単位で「動く」「考える」「工夫」だと考えられる場合は区分けしてみた。
  ○筆者の考えと考えられる場合、「考え」と区分け。
  ○8段落に
「 ① こうした経験からみなさんにつたえたいことは、自分にとって最高のものを実現するためには、「まず動く、そして考える」ことが大切だということです。
② 自分なりの工夫も発見も、そこから始まります。
③ 自分から積極的に動いてみましょう。
④ そうして、成功や失敗をくり返し、工夫を重ねていくことで、あなたにしかできない方法が、きっと見つかるはずです。 」
とあり、文単位で「発見」だと考えられる場合に区分けしてみた。

動いて、考えて、また動く  高野 進  の教材研究

時  記録
説明
動く 考える  
工夫 発見 その他
 教材文
 1段落
①超時
②超時
昔・今
昔(今)
 1段落
①説明
②説明
記録
記録
 1段落
①考え
②考え
動く
考える
 1段落・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
① 運動でも勉強でも、「まず動く、そして考える」ことが大切です。
そうして何度も成功や失敗をくり返しながら工夫を重ねると、きっと、自分にとって最高のものを実現できます。
わたしは、かつて陸上四百メートル走の選手であり、今はコーチとして指導をしています。
最高の走り方を目ざして取り組んできた長年の経験から、そのように考えるようになりました
 1段落

文関係
 記録文である、③文と④文が柱。
   ただし、④文の「長年」に関連する事実は、③文に書かれている。
④文の「そのように」考えるようになりましたの具体的内容は、①文と②文で説明されている。

図示     (①+②)説明→柱(③+④)

長めの要約  
陸上の選手・コーチとして最高の走り方を模索してきた経験から、/運動でも勉強でも「まず動く、そして考え」て成功失敗を繰り返しながら工夫すると、自分にとって最高のものを実現できる/と私は考えるようになった。
短めの要約
陸上競技をやってきた私の経験から、/「まず動く、そして考え」、何度も工夫すると、運動でも勉強でも最高の方法を見つけられる/と考える。
 参考

国語ってなんかい 

重藤さんの

文関係
  1段落・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
①   (柱)運動でも勉強でも、「まず動く、そして考える」ことが大切です。
②   (説)そうして何度も成功や失敗をくり返しながら工夫を重ねると、きっと、自分にとって最高のものを実現できます。
③   (事)わたしは、かって陸上四百メートル走の選手であり、今はコーチとして指導をしています。
④   (理)最高の走り方を目ざして取り組んできた長年の経験から、そのように考えるようになりました。

★【文関係の考察】
1段落の①文と②文は2通りの関係が考えられる。

A①で最初に主張を述べ、②で説明している。
タイトルからも分かるとおり、①文が柱。②文は①文の説明。
①と②の関係をみると次のように考えられる。
・①「まず動く、そして考える」=説明②(何度も成功や失敗をくり返しながら)工夫を重ねる
・①「大切」=説明②「自分にとって最高のものを実現」
また、説明と同義あるいは類義の補足ともとれる。
「何度も成功や失敗を繰り返しながら工夫することが大切で、そのためには「まず動く、そして考える」事である。

Bまた②文は①文の言い換えとも考えられる。どちらが高次元かということ、前出と同じ理由で①文となる。
③④は、①のような考えにいたった背景?を述べている。背景を述べつつ権威付けをしている。
★【要約】「まず動く、そして考える」ことが大切だ。(20文字)
国語って なんかい

重藤さんへのコメント
 ①文と②文の文関係は、柱とそれ以外の関係(①柱←②説明 あるいは ①柱←②言い換え)なのでしょうか。下のように、重藤さんはとらえています。

①   (柱)運動でも勉強でも、「まず動く、そして考える」ことが大切です。
②   (説)そうして何度も成功や失敗をくり返しながら工夫を重ねると、きっと、自分にとって最高のものを実現できます。

私は、①文と②文とは柱と柱の関係とみる。ただし、①文と②文との関係だけで考えた場合であるが。

  ②文の「そうして」は、「まず動く、そして考える」を指す。
  時間の順序で①②文の内容を整理すると
  ・「まず動く、そして考える」
  ・次に「何度も成功や失敗をくり返しながら工夫を重ねる」
  ・次に「きっと、自分にとって最高のものを実現でき」る
 つまり、記録文の要素に上の三つの語句は整理できます。ゆえに、①の主語の語句と②は柱と柱。時間の順序である。

 ただし、①文の文型は、/~は、大切です。/という評価文になっています。それは、④文の/~そのように考えるようになりました。/の「考えるようになった」中身が、①と②であるからです。私は、④文の「そのように」の指示内容が、①文と②文に説明されているとみる。変則的な説明ととらえます。

この文章の前文にあたるのがこの1段落であると、全体構造をとらえます。

③わたしは、かって陸上四百メートル走の選手であり、今はコーチとして指導をしています。
④最高の走り方を目ざして取り組んできた長年の経験から、そのように考えるようになりました。

上の③④文を基本的には柱の文とするのは、③④文が、文章全体の「話題提示」となっているからでもあります。
③の「陸上四百メートル走の選手」のとき、そして③の「コーチ」のとき、④の「最高の走り方を目ざして取り組んできた経験」を、具体的に述べているのが本文[2~7段落]ととらえます。
ただし、③の「陸上四百メートル走の選手」のときとは、高校生の時のことのようで、[2~6段落]にその時のことが書かれており、高校生以後の経験として[7段落]の内容が書かれているようです。[6段落][7段落]が、いつのときなのかは、はっきり書かれていないのが、この教材文のわかりにくさにつながっているように感じます。
 2段落
昔(高校生)



昔(高校生)
昔(高校生)
昔(高校生)
  2段落
記録

②説明
③説明
記録
記録
記録
 2段落
動く考える

②①の説明
③①の説明
動く
動く
考える
  2段落・・・・・・・「高校生の時」「わたし」はその当時の走り方に疑問を感じ、走り方を工夫し始めた。
わたしが走り方を工夫し始めたきっかけは、高校生のとき当時取り組んでいた走り方ぎもんを感じたことでした。
② それは、「ひざを高く上げて」「あしを思い切り後ろにける」、つまり大きな動作で走るというものです
③ そうすれば、速く走れるといわれていたのです。
わたしは、毎日毎日この練習くり返していました
⑤ けれども、この方法で四百メートルを走ると、苦しくて最後までつづかないのです。
「何かがちがうのではないか。」と、なやみ始めました
 2段落

文関係
 図示    [柱①←説明(②+③)]←言い換え(④+➄+⑥)

①文の「当時取り組んでいた走り方」がどんな走り方なのか説明しているのが、②文と③文。

①文の「高校生の時、当時取り組んでいた走り方にぎもんを感じた」部分を、言い換えているのが④文と➄文と⑥文。
「当時取り組んでいた走り方」=「わたしは、毎日毎日この練習をくり返していました」
「ぎもんを感じた」=「 けれども、この方法で四百メートルを走ると、苦しくて最後までつづかない」「「何かがちがうのではないか。」と、なやみ始めました」
①文を柱ととらえるのは、「④~⑥文」の内容を受けて、「私が走り方を工夫し始めた」ということが①文に書かれているから。そして、このことがきっかけとなり、後のいくつかの工夫や発見を少しずつしていくことになるからです。

この2段落は、「走り方を工夫し始めたきっかけ」について述べている段落で、/「高校生の時」「わたし」はその当時の走り方に疑問を感じ、走り方を工夫し始めた。/と、走り方の工夫の始まりのときのことを述べている段落。

高校生の時  その当時の四百メートルを速く走れるといわれていた走り方 に 取り組んだが、 苦しくて最後までつづかないので、疑問を感じ、走り方の工夫を 始めた。

文章全体では 2段落=本文Ⅰ…わたしが走り方の工夫を始めた最初のときのこと。

永橋和行さんは、本文の論理関係を、次のようにとらえている。

2段落が柱で、3~5段落がその説明にあたり、本文Ⅰ。6段落が、柱の段落で、本文Ⅱ。
2段落の②「ひざを高く上げて」の内容に関わるのが、3段落と4段落、「あしを思い切り後ろにける」の内容に関わるのが、5段落ととらえ、2段落が柱の段落で、本文Ⅰ。
6段は、「うでの動かし方」についての内容で、別内容になるので、6段落のみで、本文Ⅱ。
前文は1段落。 そして、後文は、7・8段落。

この本文の論理把握は、阿部昇さん・湯原定男さんも同じです。

私は、2段落が柱の段落で、3~5段落が説明にあたるという論理把握には、無理があるのではないかと考えている。
2段落は、単に「高校生の時に、当時取り組んでいた走り方にぎもんを感じたことがきっかけとなり、わたしが走り方を工夫し始めた」という事実を述べているだけである。
しかし、例えば「高校生のとき、当時取り組んでいた走り方にぎもんを感じ、わたしは走り方の工夫し始め、わたしに合った走り方を発見できたのです。」というような書かれ方であれば、2段落が柱となり、その後の段落を包括しているとみることは可能である。
  参考

国語ってなんかい 

重藤さんの

文関係
 2段落・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
①    (柱)わたしが走り方を工夫し始めたきっかけは、高校生のとき、当時取り組んでいた走り方にぎもんを感じたことでした。
②    (説)それは、「ひざを高く上げて」「あしを思い切り後ろにける」、つまり大きな動作で走るというものです
③    (説)そうすれば、速く走れるといわれていたのです。
④    (説)わたしは、毎日毎日この練習をくり返していました。
⑤    (説)けれども、この方法で四百メートルを走ると、苦しくて最後までつづかないのです。
⑥    (説)「何かがちがうのではないか。」と、なやみ始めました。

★【文関係の考察】
A案
① 文が柱。②文の「それは」は①文の(ぎもんを感じた)「当時取り組んでいた走り方」であり、よって②文は①文の説明。①文に絞り込まれる。③文はその走り 方に対する当時の受け取り方。当時の盲信ぶりを述べることで、①文の「ぎもん」を持ったことの非常識の度合いの価値付けになっている。③文は①文の補足的 な説明。④~⑤までは、①の「ぎもん」を持つにいたった経過の説明。

B案
柱は①文。②③文は、①文の「当時取り組んでいた走り方」の説明。④⑤文は、⑥文の「なやみ」の生まれた背景。そしてそのまま⑥文が①文の「疑問」の内容。

★【要約】
柱①文の要約→走り方を工夫し始めたきっかけは、当時取り組んでいた走り方にぎもんを感じたことだ。40文字
説②「大きな動作で走る」を①文の要約文に挿入する。
2段落の要約文=走り方を工夫し始めたきっかけは、当時取り組んでいた「大きな動作で走る」走り方にぎもんを感じたことだ。50文字

★【吟味】
一文をさらに要約すると結局「工夫し始めたきっかけは、ぎもんを感じたことだ。」となる。究極的には「ぎもんをかんじたこと」が「工夫」につながると述べている。これは「動く、そして考える」が逆ではないのか?もちろん「卵と鶏」の関係なのであろうが、、、、。
 国語ってなんかい

重藤さんへのコメント
 重藤さんと私のとらえ方の大きな違いは、④➄⑥文を説明文とみるか記録文とみるかの違いから生まれるものと考えます。

私は、単純に④➄⑥は時間の流れで書かれた記録文とみて、わたしのしたこと(④)・わたしのその練習時の状況(➄)・わたしの感じたこと(⑥)とおおきなかたまりとみます。
そして、①文で述べられている「わたしが走り方を工夫し始めた」とつながる。

この④➄⑥①文が、この2段落の中核をなしている論理展開ととらえました。

重藤さんの【吟味】については、わたしはこう考えます。この部分においては、「動く」「考える」は次の文に対応しています。

「動く」= ④わたしは、毎日毎日この練習をくり返していました。➄けれども、この方法で四百メートルを走ると、苦しくて最後までつづかないのです。
…その当時よいと考えられた走り方を何度も練習する。苦しくても練習する。でも、最後までつづかない。(その走り方で走り切れない)
「考える」=⑥ 「何かがちがうのではないか。」と、なやみ始めました。そして、①わたしが走り方を工夫し始めた。
(「動く」)その後、工夫した走り方で走ってみる。しかし、うまくいかない。(「考える・動く」)次の工夫した走り方で走ってみる。…そうしているうちに、よりよい走り方を発見する。

という流れで、「動く」「考える」そして「動く」「考える」ことをくり返して「よりよい走り方」を見つけていく。
 3段落
昔(高校生)
昔(高校生)
昔(高校生)
昔(高校生
 3段落
記録
記録
記録
記録
 3段落
考える動く
考える工夫発見
動く
考える工夫発見
  3段落・・・・・・・「高校生の時」「わたし」は、別の走り方を試す中で、「ひざを高く上げるような、大きな動作をしない走り方」でよい結果を出した。
そこで、わたしは、少しでも楽に走れないものかと、べつの走り方をあれこれためしてみました。
あるとき、「ひざを高く上げるような、大きな動作をせず走ったらどうなるのか。」と思いつきました。
静岡県の記録会ためしてみると、予想をはるかに上回るすばらしい結果が出ました
このとき必ずしも大きな動作で走るのがよいとはかぎらないのだ思いました。
 3段落の

文関係
 図示  ①+②+③+④  …①~④文すべて柱

 ・①少しでも楽に走れないものかと、べつの走り方あれこれ[考えるにあたる部分]ためしてみた[動くにあたる部分]。【①の段階では、②の走り方は思いついていない】
 ・②「あるとき」「ひざを高く上げるような、大きな動作をせず走ったらどうなるのか。」と思いつきました。[考えるにあたる部分]
 ・③「静岡県の記録会で」ためしてみる[動くにあたる部分]と、予想を上回るすばらしい結果が出た。
 ・④「このとき」、必ずしも大きな動作で走るのがよいとはかぎらないと思った。【時間的には、③文と同時くらいのとき】

この3段落は、すべての文が時間の流れで書かれており、すべて柱の文である。

「わたしは、高校生の時、「ひざを高く上げるような、大きな動作をしない走り方」を工夫して、よい結果を出した。」

最初のわたしの気づき…「ひざを高く上げること」に関わる走り方の工夫(高校生の時)が3段落に述べられている。

文章全体では 3段落=本文Ⅱ…わたしの走り方の工夫(その①「ひざを高く上げるような、大きな動作をしない走り方」成功)
  参考

国語ってなんかい 

重藤さんの

文関係
 3段落・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
①    (柱)そこで、わたしは、少しでも楽に走れないものかと、べつの走り方をあれこれためしてみました。
②    (説)あるとき、「ひざを高く上げるような、大きな動作をせず走ったらどうなるのか。」と思いつきました。
③    (説)静岡県の記録会でためしてみると、予想をはるかに上回るすばらしい結果が出ました。
④    (説)このとき、必ずしも大きな動作で走るのがよいとはかぎらないのだと思いました。

★【文関係の考察】
柱は①文。②文の「    」が①文のべつの走り方
柱が①文か②文か異論が出るところ
・①文を柱とする考え。①文の「あれこれ」こそが筆者のいうところの「まず動く、そして考える」そのものと考えられるからである。
また①文の「べつの走り方」は、②文の「ひざを高く上げるような、大きな動作を」しない走り方であり、②文は①文をくわしく説明している。③④文はその結果の説明。
・②文を柱とする考え。しかし①文は②文の思いへ至った経過の説明だとも考えられ、②文が筆者が言うところの「まず動く」にあたるのであろうことから②文が柱とするとらえ方。
・結局文章は筆者の意図とは関係なく書かれた独立したものだとする立場に立てば、「書かれ方」こそが重要だという立場から考えると、①文を柱とし、②文がそれに対応する文だと考えるのが今のところ妥当とする立場に立つ。
③文は②文で「思いついた」ことの結果の説明。
④文は②文で「思いついた」こと、③文の「すばらしい結果」が出たことの論理的な説明。

★【要約】①文=少しでも楽に走れないものかと、べつの走り方をあれこれためした。(31文字)
前文の「動いて、考えて、また動く」の「動いて」にあたるのは、「別の走り方を」「あれこれためし」である。よって、そこを具体的に入れると、
少しでも楽にはしれないかと、べつの走り方をあれこれためし、あるとき「ひざを高く上げない」走り方をためした。
④文=このとき、必ずしも大きな動作で走るのがよいとはかぎらないのだと思いました。を合わせて要約文とする。
楽に走れないかと、べつの走り方をためした結果、必ずしも大きな動作で走るのがよいとはかぎらないのだと思った。(57文字)

★【吟味】
②文から①文へ(井上 たぶん①文から②文への誤り? )と辿り着いた経過はどうだったのか?どの程度試行錯誤があったのか?②文の他にどんな走り方をやってみたのか?本当に他の走り方をしたのか?
 国語ってなんかい

重藤さんへのコメント
重藤さんは、3段落の①~④文を説明文とみて、その関係をどうとらえるか、模索しています。
私は、この3段落は、すべて記録文で書かれているので、すべて柱ととらえます。

重藤さんの/①文を柱とし、②~④文を説明とする/論理関係の説明は、私にはわかりにくいものです。それは、①文を柱とするには、もともと無理があるからです。
ただし、例えば、①文が、次のような書かれ方をしていたら、柱の文と考えていいでしょう。
書き直し①文(例)「そこで、わたしは、少しでも楽に走れないものかと、べつの走り方をあれこれためし、失敗を重ねた末、次のような走り方を発見しました。」

重藤さんの【吟味】の観点より、もっと不可解だと思うのは、次の点です。

「あるとき」思いついて、「静岡県の記録会」でためしてみた、とあるが、記録会以前にその走る練習をしたはずなのに、記録会でいきなりためしたかのような書き方になっている。
記録会以前に練習したときに、記録もとったと思われる。そうすると、以前の走り方よりも記録はよくなっていることを確かめられたはずであろう。その成果以上の結果が、記録会当日出たのでう。記録会では、環境の整ったコースで走ることができたことも、よい記録につながったのであろう。「予想をはるかに上回る」という語句は、記録会以前の練習時のタイムが、昔の走り方よりよくなっていてよい記録が出るだろうと予測していたはずで、記録会ではその予想をはるかに上回ったということでろあう。
つまり、事実よみとして②文と③文の間に、「新しい走り方の練習を行い、以前の走り方より記録が伸びた(あるいは 楽に走ることができた)」という事実が省かれていることをよむ必要がある。
そして、それを省略したのは、筆者が③文の事実を読者に強く印象づけようとしてしまったからではないか、という推測も可能かもしれない。

重藤さんの「どの程度試行錯誤があったのか? ②文の他にどんな走り方をやってみたのか?」という観点は、私も興味ある内容ではあるが、高橋さんに聞いてみないとわからない内容である。その点が、この吟味の観点にとらわれすぎる必要はないと思う理由です。ただし、「少しでも楽に走れないものかと、べつの走り方をあれこれ」ためし続けた高橋さんの何度もトライ&エラーをくり返すことのできる忍耐力と向上心がそこにあることを読み取らせることこそ大事な視点だと思います。そういうことをして初めて、自分に合った走り方を見出すことができることに気づかせることができる。
 4段落

昔(高校生)

②超時
③超時
昔(高校生)
 4段落

記録

②説明
③説明
記録
 4段落

考える 発見

②考え
③考える 発見
考える工夫発見
 4段落・・その後、「わたし」の走り方の問題点は「ひざを高く引き上げることばかり考え過ぎていた」ことにあり、「地面を強くふむことを意識する」ことの大切さに気づいた。
後から考えて分かったのですが、それまでのわたしは、走るとき「ひざを高く引き上げる」ことばかりを考えすぎていました
② たしかに、ひざを高く上げることは必要です。
③ でも、それは地面をより強くふむために必要なのであり、ただ高く上げることに意味があるわけではないのです。
同じひざを高く上げる動作でも、地面を強くふむことを意識して行うことが大切なのだと気がつきました
 4段落の

文関係
 図示  柱①←理由・説明(②+③)→柱④

3段落の後、「ひざを高くあげること」に関わる走り方について、気づいたことが、4段落には書かれています。①文は、「3段落の走り方以前の「ひざを高くあげる」ときの意識していたこと」、④文は、「3段落の走り方以降の「ひざを高くあげる」ときの意識すること」が書かれています。①文は、走り方の失敗につながる意識について、④文は、走り方の成功につながる意識について、その両方に、私が「後から考えて」気づいたのです。つまり、「動いてみた後考えたこと」なのです。「失敗からも成功からも考える」という筆者の経験を述べています。
さて、②文と③文は、①文と④文それぞれの意識をした理由・背景が説明されていると、みました。

次のわたしの気づき…の「ひざを高く上げること」に関わる意識のもちかた(高校生の時)が4段落に述べられている。

文章全体では 4段落=本文Ⅲ…わたしの走り方の工夫(その②「ひざを高く上げる」意識のもちかたの変化 失敗と成功の違いの発見)
 参考

国語ってなんかい 

重藤さんの

文関係
   4段落・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
①    (説)後から考えて分かったのですが、それまでのわたしの、走るとき「ひざを高く引き上げる」ことばかりを考えすぎていました。
②    (説)たしかに、ひざを高く上げることは必要です。
③    (説)でも、それは地面をより強くふむために必要なのであり、ただ高く上げることに意味があるわけではないのです。
④    (柱)同じひざを高く上げる動作でも、地面を強くふむことを意識して行うことが大切なのだと気がつきました。
★【文関係の考察】
3段落の結果の説明の段落である。よって4段落は、3段落に絞り込まれる。よって要約する必要はない。
★【要約文】ひざを高く上げる動作でも、地面を強くふむことを意識して行うことが大切なのだと気づいた。
★【吟味】なぜ、地面を強くふく(ふむ 井上)ことが必要なのか?
     結局、ひざは高く上げるのか上げないのか?
 国語ってなんかい

重藤さんへのコメント
 重藤さんは、④文のみを柱としていますが、4段落では、二つのことに気づいた(①文…ひざを高く上げる時の問題のある意識[ビフォア] と ④文…ひざを高く上げる時の正しい意識[アフター])とみます。

4段落は、3段落に絞りこまれると重藤さんはみています。しかし、4段落は、「ひざを高く上げる」ときの間違った意識と正しい意識のもち方[走り方]が具体的に述べられているわけですので、3段落と4段落は、絞り込まれる関係ではなく、柱と柱の関係だと思います。
 5段落
昔(高校生)



  5段落
記録
②説明
③説明
④説明
➄説明
  5段落
考える 発見
②考える工夫発見
③考え
④考える 発見
➄考える工夫発見
  5段落・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
もう一つの「あしを思い切り後ろにける」ことについてはそれからしばらくしてべつの発見をしました。
あしを後ろにけるのではなく、体の下にしぜんに下ろしていく感じで走るとよいのです。
③ 走るときは、ついあしを後ろにけって、その力で前に進もうとしています。
④ しかし、これではあしが後ろにのこってしまい、そのあしを前にもってくる分のむだが生じます。
忍者がぴたあっと下り坂をかけ下りていくようなイメージで走ると、体のむだな動きがなくなり、すうっと進んでいけます
 5段落の

文関係
図示  柱①←説明(②=➄←理由③④)

①文が柱。「それからしばらくして」「あしを思い切り後ろにける」ことについて、べつの発見をした。
  ①文の「べつの発見」の具体的な説明が、②文と➄文。
  ②文と➄文は、同じ内容を言い換えている関係。
   ②「あしを後ろにけるのではなく、体の下にしぜんに下ろしていく感じで走る」=③「忍者がぴたあっと下り坂をかけ下りていくようなイメージで走る」
   ただし、➄文には、「体のむだな動きがなくなり」という理由も書かれている。
  ③④文は、②文と➄文の走り方をなぜすればよいのかという理由。

それからしばらくしてのわたし気づき…「あしを思い切り後ろにけること」に関わる走り方の発見(高校生の時)が5段落に述べられている。

文章全体では 5段落=本文Ⅳ…わたしの走り方の工夫(その③ 「あしを後ろにける」意識のもちかたの変化 失敗と成功の違いの発見)
 参考

国語ってなんかい 

重藤さんの

文関係
 5段落・・・・・・・・・・・それからしばらくして、わたしは、「あしを思い切り後ろにける」ことについては、あしを後ろにけるのではなく、体の下にしぜんに下ろしていく感じで走るとよいというべつの発見をした。
①    (説)もう一つの「あしを思い切り後ろにける」ことについては、それからしばらくして、べつの発見をしました。
②    (柱)あしを後ろにけるのではなく、体の下にしぜんに下ろしていく感じで走るとよいのです。
③    (説)走るときは、ついあしを後ろにけって、その力で前に進もうとしています。
④    (説)しかし、これではあしが後ろにのこってしまい、そのあしを前にもってくる分のむだが生じます。
⑤    (例)忍者がぴたあっと下り坂をかけ下りていくようなイメージで走ると、体のむだな動きがなくなり、すうっと進んでいけます。

【文関係の考察】この段落も、4段落とともに3段落に絞り込まれる段落である。
 国語ってなんかい

重藤さんへのコメント
重藤さんは、柱の文を、②文としています。たぶん、重藤さんは、①文の「べつの発見」の実質的な内容を述べているので、②文を柱としているのではないでしょうか。
私は、あくまでも形式的に柱の文を見出そうとしています。 これが、大きな違いのうまれる原因でしょう。

重藤さんは、/【文関係の考察】この段落も、4段落とともに3段落に絞り込まれる段落である。/ととらえています。3段落→4段落→5段落と時間の順序で書かれた記録文ですので、私は全て柱の段落ととらえます。3段落に、5段落が絞り込まれるという重藤さんの理由はよくわかりません。
 6段落







 6段落

①説明
②説明
③説明
④説明
➄説明
⑥説明
➆説明
  6段落

①考え
②①の説明
③①の説明
④➄の前提
➄④の結論
⑥➄の理由
➆考える工夫発見
  6段落・・・・・・・・あしの動きと連動したうでのふりかたが重要で、右あしを出したときに左うでを前にふる、左あしを出したとき右うでを前にふるようにすれば、体全体のバランスが取れて、うでの力も使って力強くふみつけることができるのです。
① あしの動きと同時に、うでのふりも重要です。
② このことは、陸上をつづけているとだれもが気がつくことです。
③ 陸上では、「うでで走れ。」という言葉があるほどです。
④ ためにし、両手を後ろに組んで数十メートル走ってみてください。
⑤ このほうが速く走れるという人はいないでしょう。
⑥ これでは、着地するごとにかたがゆれてしまい、地面を強くふむことができません。
右あしを出したときに左うでを前にふる、左あしを出したとき右うでを前にふるようにすれば、体全体のバランスが取れて、うでの力も使って力強くふみつけることができるのです。
6 段落の

文関係
図示  【〈①←説明(②+③)〉+〈(④+➄)←理由⑥〉】理由→柱➆

6段落は、筆者がいつ気づいたことなのか、よくわからない段落です。ただ、②の「陸上を続けているとだれもが気がつくこと」、①の「あしの動きと同時に、うでのふりも重要」とあるので、たぶん高校生の時、ひざの上げ方、あしを後ろにけるけり方の工夫と同時に気づいたのではないかと井上は推測します。

さて、6段落は、時間の順序ではなく書かれている説明文で、①~➆文の論理展開がどうなっているのか、悩みます。一応、私の考えを上のように図示しました。以下説明します。

①文は、筆者だけでなく陸上を続けている人には気づく内容として「あしの動きと同時に、うでのふりも重要です。」と、うでのふりの重要性を述べています。
 ②文は、①の「うでのふりの重要性」は、「陸上をつづけているとだれもが気がつくこと」であることを、補足説明しています。
 ③文も、①の「うでのふりの重要性」が、陸上をやっている人にはよくわかっていることを、/「うでで走れ。」という言葉があるほど/であると、補足説明しています。

ここまでが、最初のかたまりとみます。
次のかたまりは、④文~⑥文です。

④文と➄文とで、「両手を後ろに組んで数十メートル走ってみ」たらどうなるか、筆者が新しい説明を始めます。➄文の「このほうが速く走れるという人はいないでしょう。」と、④文の走り方の予想を述べます。仮定の説明をしているのですが、読者にも日ごろの経験から「うでをふらない走り方で速く走れることはない」ことは、わかっているので納得させられるでしょう。そして、⑥文で、「うでをふらない走り方で速く走れることはない」理由を述べています。

①~③文【あしと連動したうでのふりの重要性】 と ④~⑥文【うでをふらない走り方を想定して、うでをふらないとバランスがくずれ、地面を力強くふめないとうでの役割を説明する】 とのふたつのかたまりを理由(前提)として、➆文で「右あしを出したときに左うでを前にふる、左あしを出したとき右うでを前にふるようにすれば、体全体のバランスが取れて、うでの力も使って力強くふみつけることができるのです。」とあしとうでのふり方の連動のさせ方を結論として述べています。➆文は、筆者が工夫したうでの走り方。

わたしの気づきあしの動かし方と同時に見つけたうでのふりかたが6段落に述べられている。(高校生の時)

文章全体では 6段落=本文Ⅴ…わたしの走り方の工夫(その④ あしの動きとうでのふりの正しいやり方)
 参考

国語ってなんかい 

重藤さんの

文関係
 6段落・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
①    (柱)あしの動きと同時に、うでのふりも重要です。
②    (説)このことは、陸上をつづけているとだれもが気がつくことです。
③    (例)陸上では、「うでで走れ。」という言葉があるほどです。
④    (例)ためにし、両手を後ろに組んで数十メートル走ってみてください。
⑤    (説)このほうが速く走れるという人はいないでしょう。
⑥    (説)これでは、着地するごとにかたがゆれてしまい、地面を強くふむことができません。
⑦    (説)右あしを出したときに左うでを前にふる、左あしを出したとき右うでを前にふるようにすれば、体全体のバランスが取れて、うでの力も使って力強くふみつけることができるようです。
★【文関係の考察】
②文~⑥文までは、①文「うでのふりの重要」性の説明。⑦文は①文に対応し、どううでをふればいいのかの説明。
★【要約文】うでのふりは、体全体のバランスを取り、力強くふみつけるために重要だ。(34文字)
なぜ「うでのふりが重要」なのかは、⑦文の「バランス」にあり、「バランス」がとれれば「力強くふみつけることができる」となっている。よって①文+⑦文で要約文を作る
 国語ってなんかい

重藤さんへのコメント
重藤さんは、最終的に①文を柱とみています。
私は、⑦文が筆者の見つけ出した「うでのふり方」とみて、⑦文を柱としました。
 7段落




  7段落
記録
記録
③説明
④説明
➄説明
  7段落
動く・考える
動く考える工夫発見
③ ①+②の理由
④ ①+②の理由
➄ ①+②の理由
  7段落・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
このように、いろいろためしながら、自分に合ったあしの動かし方や、うでのふり方を考えました。
そうすることによって、自分にとって最高の走り方を見つけることができた気がします
③ 人によって、ほねの長さや筋肉のつき方はちがいます。
④ ですから、習ったことなぞるだけでは、自分に合った走り方を身につけることはできません。
⑤ 何がむだか、そうでないかは、自分で動いてみて発見するしかないのです。
 7段落の

文関係
 図示  柱(①+②)←理由(理由③→結論④理由→結論➄)

①文と②文は、記録文で、二つとも柱の文。
①[動く]このように、いろいろためしながら、[考える]自分に合ったあしの動かし方や、うでのふり方を考えました。
②そうすることによって[①文の内容]、自分にとって最高の走り方を見つけることができた気がします。

③文から➄文までのかたまりが、「自分に合った」「自分にとって最高」なのかの理由を述べている。なぜ、「自分にとって」と個人的な走り方になるのかの説明。

文章全体では 7段落=本文Ⅵ…わたしの最高の走り方の発見までの道筋まとめ

(本文Ⅰ+本文Ⅱ+本文Ⅲ+本文Ⅳ+本文Ⅴ)→7段落①文の「このように、いろいろためしながら、自分に合ったあしの動かし方や、うでのふり方を考えました。」に包括されます。
ただし、(本文Ⅰ+本文Ⅱ+本文Ⅲ+本文Ⅳ+本文Ⅴ)までは、高校生のときのことのようですが、筆者は、高校生卒業後もさらに、「いろいろためしながら、自分に合ったあしの動かし方や、うでのふり方を考え」続け、②文「そうすることによって、自分にとって最高の走り方を見つけることができた気がします。」と、自分の走り方について現在の時点で自己評価しています。
この教材では、筆者は、高校生時代の走り方の発見についてのみ紹介していますが、たぶん、その後も「動いて、考えて、また動く」ことを続けて、さらに新しい自分に合った走り方を見つけていったと考えます。「自分にとって最高の走り方を見つけることができた気がします。」の「できた気がします」の文末表現は、非常に慎重な語り方です。高橋さんは、まだ、もっとよい走り方があるかもしれないと現在でも考え続けているのでしょう。

2段落   (本文Ⅰ)   …あしの動かし方(ひざを高く上げる・あしを思い切りうしろにける)…高校生
3・4段落 (本文Ⅱ・Ⅲ) …あしの動かし方(ひざを高く上げる)                 …高校生(静岡県の記録会・その後)
5段落   (本文Ⅳ)   …あしの動かし方(あしを思い切りうしろにける)           …高校生(それからしばらくして)【4段落のときからしばらくして】
6段落   (本文Ⅴ)   …うでのふり方                              …高校生?【3・4・5段落のときとどのように時間的に重なるのかは不明
7段落   (本文Ⅵ)   …自分にとっての最高の走り方                    …高校生以後・選手時代・コーチ

本文の論理展開 図示

  【 [ 本文Ⅰ+ (本文Ⅱ・Ⅲ) + 本文Ⅳ ] + 本文Ⅴ 】説明 → 本文Ⅵ 
参考

国語ってなんかい 

重藤さんの

文関係
 7段落・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
①    (説)このように、いろいろためしながら、自分に合ったあしの動かし方や、うでのふり方を考えました。
②    (柱)そうすることによって、自分にとって最高の走り方を見つけることができた気がします。
③    (説or前提)人によって、ほねの長さや筋肉のつき方はちがいます。
④    (説or結論→前提)ですから、習ったことなぞるだけでは、自分に合った走り方を身につけることはできません。
⑤    (説or最終結論=柱)何がむだか、そうでないかは、自分で動いてみて発見するしかないのです。

★【文関係の考察】

A案 ②文を柱とし、他の文は②文の説明する見方
① 文の「このように」で、2~6段を受け「自分に合ったあしの動かし方」「うでのふり方を考えました」とまとめている。②文の「そうすることによって」で① を受けて、まとめたことを「自分にとって最高の走り方」より高次に言い換えている。②文が柱。②文の「自分にとって最高の走り方」を①文の「自分に合った あしの動かし方」「うでのふり方」が説明しているとも言える。③~⑤文は、②文の「自分にとって」の説明とも言える。

B案 ①②文と③④⑤文では違う内容を述べており、②文と⑥文(井上 ➄文のあやまり?)、柱が2つあるとする見方
①②文は②~⑥段のまとめ。①文を②文で言い換えてまとめているので柱。
③文は④文の前提、④文が結論でありさらに⑤文の前提、⑤文が結論(柱)。とみる見方。

★【要約文】
いろいろためしながら考えることによって、自分にとって最高の走り方を見つけることができた気がする。
★【吟味】
・「自分にあった」「あしの動かし方」・「自分にあった」「うでの動かし方」
・それは「自分に(筆者)に合った」走り方なのか?多くの人に合った走り方=走り方の基本ではないのか?
 国語ってなんかい

重藤さんへのコメント
 重藤さんのB案の「③文は④文の前提、④文が結論でありさらに⑤文の前提、⑤文が結論(柱)。とみる見方。」が、私の③文から➄文までの論理関係の見方と一致します。
ただし、B案の➄文が柱になるとは、私は考えていません。①②文が柱で、③~➄文がその理由とみます。
 8段落
①今
②今
③未来
④未来
 8段落
①説明
②説明
③説明
④説明
  8段落
①動く考える

③動く
④考える→動く考える
  8段落・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
① こうした経験からみなさんにつたえたいことは、自分にとって最高のものを実現するためには、「まず動く、そして考える」ことが大切だということです。
② 自分なりの工夫も発見も、そこから始まります。
③ 自分から積極的に動いてみましょう。
④ そうして、成功や失敗をくり返し、工夫を重ねていくことで、あなたにしかできない方法が、きっと見つかるはずです。 
8 段落の

文関係
図示  (①←理由②)=柱(③+④)

①文「自分にとって最高のものを実現するためには、「まず動く、そして考える」ことが大切だ」
  ②文…①文の「「まず動く、そして考える」ことが大切」な理由

①文「まず動く」の言い換え=③「自分から積極的に動いてみましょう。」
①文「そして考える」の言い換え=④「成功や失敗をくり返し、工夫を重ねていくことで、あなたにしかできない方法が、きっと見つかる」

文章全体では 8段落=後文…わたしの伝えたいこと

8段落①「こうした経験」←説明(1~7段落 前文+本文)…わたしの陸上の経験【自分にとって最高の走り方の探求】
 参考

国語ってなんかい 

重藤さんの

文関係
   8段落・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
①    (柱)こうした経験からみなさんにつたえたいことは、自分にとって最高のものを実現するためには、「まず動く、そして考える」ことが大切だということです。
②    (説)自分なりの工夫も発見も、そこから始まります。
③    (説)自分から積極的に動いてみましょう。
④    (柱)そうして、成功や失敗をくり返し、工夫を重ねていくことで、あなたにしかできない方法が、きっと見つかるはずです。
★【文関係の考察】
★【要約文】
①自分にとって最高のものを実現するためには、「まず動く、そして考える」ことが大切である。
⑤    成功や失敗をくり返し、工夫を重ねていくことで、あなたにしかできない方法が、きっと見つかる。
①+④自分にとって最高のものを実現するためには、「まず動く、そして考える」ことが大切で、成功や失敗をくり返し、工夫を重ねていくことで、あなたにしかできない方法見つかる。
 参考

国語ってなんかい 

重藤さんの

構造よみ
  1,    構造よみ

    A案     B案        C案
前文 1段落   1段落       1~2段落
本文 2~7    2~6段落    5~6段落
後文 8      7~8段落    7~8段落

★本文の段落関係  2←【(3←4)+5+6】+7
(問題意識)
2段落 柱 疑問  ①「ひざを高く上げて」 ②「あしを思い切り後ろにける」

(大きな動作で走るAひざの上げ方について)
3段落 柱 「そこで」ひざを高くあげる走り←4段落 説 「後から考えて分かった」3段落の説明
(大きな動作で走るBあしのけりについて)
5段落 柱 「もう一つの」あしを思い切りける走り方
(大きな動作で走るCうでのふり方について)
6段落 柱 「あしの動きと同時に、うでのふり方も」

(本文のまとめ)
7段落 柱 「このように」
 国語ってなんかい

重藤さんへのコメント
 7段落が、本文のまとめであれば、2段落~6段落までを7段落は包括すると、私は思うのですが、重藤さんは、そのような構造よみをしていないのは、なぜなのでしょうか。

この教材の問題点

この教材を読んでいて、最大の問題点だと、感じた点を、光村図書に問い合わせをしてみました。回答をいただいたら、骨子のみ紹介させていただきます。

重藤さんの教材分析には、「吟味よみ」という観点があるのですが、私の感じた最大の問題点については、書かれていませんでした。

光村図書に問い合わせた内容は、以下のものです。

 「動いて、考えて、また動く」 高野 進【4上】についての質問です。

この教材の1段落に、「わたしは、かつて陸上の四百メートル走の選手であり、今はコーチとして指導をしています。最高の走り方を目ざして取り組んできた長年の経験から、そのように考えるようになりました。」という2文があります。
そうすると、2段落以降に、今コーチとして指導している経験の中で「そのように考えるようになった」理由なども述べる叙述が出てくると予想されます。
さて、この教材の2~5段落は高校生のときに気づいたことであるのですが、6段落はいつ気づいたことなのかわかりません。私は、内容的に、高校生のときに6段落も気づいたことなのかなと推測するのですが、もしかすると、高野さんがコーチをしている中で気づいたことなのかもしれません。いつ気づいたことなのか、お教えください。
また、7段落の「人によって、ほねの長さや~自分で動いてみて発見するしかないのです。」という理由説明は、高野さんがコーチをしている中で気づいたことなのでしょうか。
長年の経験から主張するためには、長年の経験を述べる必要があるのですが、この教材には、高野さんの最近の経験としてはっきり述べられている部分がないような気がするのですが、どうなのでしょうか。

[この部分 2.13.07.31 公開]

光村図書からの回答をいただきましたので、骨子のみ紹介します。

段落は、指導者としてではなく、現役の選手であったころの経験・発見と考えるのがよい。
7段落冒頭「このように、いろいろためしながら、自分にあったあしの動かし方や、うでのふり方を考えました。そうすることによって、自分にとって最高の走り方を見つけることができました。」が、その根拠。

7段落3文目以降は、現役時代の経験を踏まえ、指導者・研究者としての現在の立場からそう考えていることかと思う。ただし、おそらく現役時代にも気づいていたことを、指導者・研究者の立場から理論的に補強していると思われる。

「長年の経験」に通じる高野先生の最近の経験がはっきり述べられていないのではないかという質問については、高野先生の立場の紹介として「かつて選手、現在指導者」ということを書いていただいたが、小学生4年の説明文教材なので、現役時代の経験を中心に、高野先生には文章をまとめていただいたと理解してほしい。最近の経験については書かれていない。 

光村図書からの回答では、6段落は、高校生のときの経験・発見なのか、は不明。

6段落は、現役の選手であったころの経験・発見であるとのことだが、現役の選手であったのは高野さんの場合、1992年のバルセロナオリンピックに出場したので、期間的には長い。その長い期間、自分にとっての最高の走り方を見つけようとしてきたわけである。
では、6段落のうでのふり方については「現役の選手であったイツ」に気づいたことなのかが、私の知りたいことである。高校生のときに気づいたことなのか、それ以後気づいたことなのか。もし、高校生のときではなく、それ以後気づいたことであれば、長年の経験から筆者の主張をのべたことになる。

[この回答の部分 2013.08.23 公開]


光村図書の赤刷り教科書の内容についての質問も出てきましたので、別の問い合わせをしました。光村図書に問い合わせた内容は、以下のものです。

 【小学校国語】
小学校4年赤刷り教科書「動いて、考えて、また動く」の内容についての質問です。

(1)5段落の解説に「アとイは事実、ウ~オは「発見したこと」の解説である」とあります。イが事実という部分に疑問を感じます。たぶん、イが、アの「べつの発見」の内容を説明しているので、そのような解説になっていると思うのですが、アの「べつの発見」の解説は、イ~オだと思います。
(2)6段落全体の解説に「体験―従来のやり方〈3〉事実と説明」とあります。なぜ、6段落のうでのふり方が従来のやり方なのでしょうか。6段落も高野さんが考え出したうでのふり方なのではないでしょうか。

(1)の補足説明
5段落には、赤刷りの教科書には、文番号の代わりに アからオまで が 次のように使用されています。

ア もう一つの「あしを思い切り後ろにける」ことについては、それからしばらくして、べつの発見をしました。
イ あしを後ろにけるのではなく、体の下にしぜんに下ろしていく感じで走るとよいのです。
ウ 走るときは、ついあしを後ろにけって、その力で前に進もうとしています。
エ しかし、これではあしが後ろにのこってしまい、そのあしを前にもってくる分のむだが生じます。
オ 忍者がぴたあっと下り坂をかけ下りていくようなイメージで走ると、体のむだな動きがなくなり、すうっと進んでいけます。

イの文が事実であるとするためには、次のような書かれ方である必要があると考えます。

(イの書き換え) 
つまり、あしを後ろにけるのではなく、体の下にしぜんに下ろしていく感じで走るとよいと気づいたのです。

[この部分 2013.08.03 公開]


光村図書からの回答の骨子

(1)について
5段落では、高野先生が体験したり気づいたりした事実と、それに対する解説が書かれている。編集部では、ア・イが前者、ウ~オが後者と考えている。
(2)について
6段落に「陸上には、『うでで走れ』という言葉がある」という記述から、従来から、速く走るために腕を効果的に使うことが大事てあることはいわれてきたことである。その意味で、「従来のやり方」と赤字で示した。しかし、単なる「従来のやり方」ではなく、どう足の動きと関連させて無駄を省いたうでの動きにするのかという部分に、高野先生の考えがあったので、赤字の示し方として不十分な点があった。

光村図書への再質問

 「動いて、考えて、また動く」 高野 進についての質問にご丁寧な返信ありがとうございました。
ご回答の中で、二点お教えいただければと、再度メールいたしました。

(1)6段落の「うでのふり方」については、現役選手のときに気づいたことであるという回答をいただきました。現役選手のときというのは、高校生のときと理解してよいでしょうか。それとも、高校生のときとはこの文章では特定できないので、現役選手のときという幅のあるご回答と理解すべきでしょうか。

高校生のときの気づきであるならば、1段落の「長年の経験」からという部分に対応しませんが、もし、高校生ではなくその後の気づきであるならば、「長年の経験」という部分に対応することになります。

ただ、6段落のすべての内容が朱書き教科書の注のように「従来のやり方」だとすると、高校生のときのやり方ということになるのだと思います。しかし、7段落の「自分に合ったあしの動かし方や、うでのふり方を考えました」という記述と矛盾することになります。

(2)1 段落の終わりの「最高の走り方を目ざして取り組んできた長年の経験から、そのように考えるようになりました」の部分は、この教材の場合、「長年の経験」と しては不十分な記述しか見出せません。そこで、次のような修正が、可能ではないでしょうか。あくまでも、私の個人的な思い付きです。

6段落の「うでのふり方」の部分を、高野先生に書き換えていただくのです。内容としては、高校生のときではなく、例えば、日本新記録を出したときの時点で、高野先生の体にあった「うでのふり方」」です。

この「動いて、考えて、また動く」教材の、内容的に説明不足な点は、「高野選手にとってなぜその走り方が最高なのか」というところです。高野選手が発見した走り方は、高野選手以外にも有効な走り方のように私には思えます。そういう説明不足の点も、6段落の「うでのふり方」の部分を書き換えることによって補えると思います。

光村図書から上の再質問への回答をいただきましたので、骨子のみ紹介します。

段落の「うでのふり」に関する記述については、高校生のときと限定するのではなく、高野先生が本格的に陸上を始めた高校以降の、競技者として取り組まれていた時期と考える。
高野先生は、従来の走法とは逆のことを試した「あしの動き」に、「成功や失敗をくり返しながら工夫を重ねる」の具体例(エピソード)としての重きを置き、従来から言われていることをより自分の走りに合ったものにするための工夫である「うでのふり」については比重を軽くして、ご自身が伝えたいメッセージである「まず動く、そして考える」「成功や失敗をくり返しながら工夫を重ねる」ことを述べてくださいました。

[この再質問と回答 2013.08.23 公開]


国語ってなんかい   ブログ作成者は重藤照文さん   …詳細な教材分析の掲載されているブログの参照ページ
http://kokugonankai.blogspot.jp/search/label/%E5%9B%9B%E5%B9%B4

2013年5月7日火曜日

「動いて、考えて、また動く」 高野 進   教材研究
1,    表層

①    語句 ぎもん・工夫・うでで走る
②    指示語

1段落
4文「そのように」→運動でも勉強でも、「まず動く、そして考える」ことが大切
2段落
2文「それは」→当時取り組んでいた走り方は
5文「この方法」→(「ひざを高く上げて」「あしを思い切り後ろにける」)つまり大きな動作で走る
3段落
4文「このとき」→すばらしい結果が出たとき
4段落
1文「それまで」→大きな動作で走っていたとき
3文「それは」→ひざを高く上げること
   5段落
1文「それから」→地面を強くふむことを意識して行うことが大切だと気づいてから
    3文「その力で」→あしを後ろにける
    4文「これでは」→あしを後ろにけって、その力で前にすすもうとすると
    4文「そのあしを」→後ろにのこって
6段落
1「このことは」→
   5「このほうが」
   6「これでは」
7段落
1「このように」
2「そうすることによって」→自分にあったあしの動かし方や、うでのふり方を考えることによって
6「そうでないか」→「何がむだでないか」
  8段落
1「こうした経験」→1段落~7段落
2「そこから」→「まず動く、そして考える」
③    接続後
2段落
「つまり」
「けれども」
「そこで」

1,    構造よみ

    A案     B案        C案
前文 1段落   1段落       1~2段落
本文 2~7    2~6段落    5~6段落
後文 8      7~8段落    7~8段落

★本文の段落関係  2←【(3←4)+5+6】+7
(問題意識)
2段落 柱 疑問  ①「ひざを高く上げて」 ②「あしを思い切り後ろにける」

(大きな動作で走るAひざの上げ方について)
3段落 柱 「そこで」ひざを高くあげる走り←
4段落 説 「後から考えて分かった」3段落の説明
    (大きな動作で走るBあしのけりについて)
5段落 柱 「もう一つの」あしを思い切りける走り方
(大きな動作で走るCうでのふり方について)
6段落 柱 「あしの動きと同時に、うでのふり方も」

(本文のまとめ)
7段落 柱 「このように」

2,    論理よみ

1段落・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
①    (柱)運動でも勉強でも、「まず動く、そして考える」ことが大切です。
②    (説)そうして何度も成功や失敗をくり返しながら工夫を重ねると、きっと、自分にとって最高のものを実現できます。
③    (事)わたしは、かって陸上四百メートル走の選手であり、今はコーチとして指導をしています。
④    (理)最高の走り方を目ざして取り組んできた長年の経験から、そのように考えるようになりました。

★【文関係の考察】
1段落の①文と②文は2通りの関係が考えられる。

A①で最初に主張を述べ、②で説明している。
タイトルからも分かるとおり、①文が柱。②文は①文の説明。
①と②の関係をみると次のように考えられる。
・①「まず動く、そして考える」=説明②(何度も成功や失敗をくり返しながら)工夫を重ねる
・①「大切」=説明②「自分にとって最高のものを実現」
また、説明と同義あるいは類義の補足ともとれる。
「何度も成功や失敗を繰り返しながら工夫することが大切で、そのためには「まず動く、そして考える」事である。

Bまた②文は①文の言い換えとも考えられる。どちらが高次元かということ、前出と同じ理由で①文となる。
③④は、①のような考えにいたった背景?を述べている。背景を述べつつ権威付けをしている。
★【要約】「まず動く、そして考える」ことが大切だ。(20文字)

2段落・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
①    (柱)わたしが走り方を工夫し始めたきっかけは、高校生のとき、当時取り組んでいた走り方にぎもんを感じたことでした。
②    (説)それは、「ひざを高く上げて」「あしを思い切り後ろにける」、つまり大きな動作で走るというものです
③    (説)そうすれば、速く走れるといわれていたのです。
④    (説)わたしは、毎日毎日この練習をくり返していました。
⑤    (説)けれども、この方法で四百メートルを走ると、苦しくて最後までつづかないのです。
⑥    (説)「何かがちがうのではないか。」と、なやみ始めました。

★【文関係の考察】
A案
① 文が柱。②文の「それは」は①文の(ぎもんを感じた)「当時取り組んでいた走り方」であり、よって②文は①文の説明。①文に絞り込まれる。③文はその走り 方に対する当時の受け取り方。当時の盲信ぶりを述べることで、①文の「ぎもん」を持ったことの非常識の度合いの価値付けになっている。③文は①文の補足的 な説明。④~⑤までは、①の「ぎもん」を持つにいたった経過の説明。

B案
柱は①文。②③文は、①文の「当時取り組んでいた走り方」の説明。④⑤文は、⑥文の「なやみ」の生まれた背景。そしてそのまま⑥文が①文の「疑問」の内容。
★【要約】
柱①文の要約→走り方を工夫し始めたきっかけは、当時取り組んでいた走り方にぎもんを感じたことだ。40文字
説②「大きな動作で走る」を①文の要約文に挿入する。
2段落の要約文=走り方を工夫し始めたきっかけは、当時取り組んでいた「大きな動作で走る」走り方にぎもんを感じたことだ。50文字
★【吟味】
一文をさらに要約すると結局「工夫し始めたきっかけは、ぎもんを感じたことだ。」となる。究極的には「ぎもんをかんじたこと」が「工夫」につながると述べている。これは「動く、そして考える」が逆ではないのか?もちろん「卵と鶏」の関係なのであろうが、、、、。

3段落・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
①    (柱)そこで、わたしは、少しでも楽に走れないものかと、べつの走り方をあれこれためしてみました。
②    (説)あるとき、「ひざを高く上げるような、大きな動作をせず走ったらどうなるのか。」と思いつきました。
③    (説)静岡県の記録会でためしてみると、予想をはるかに上回るすばらしい結果が出ました。
④    (説)このとき、必ずしも大きな動作で走るのがよいとはかぎらないのだと思いました。
★【文関係の考察】
柱は①文。②文の「」が①文のべつの走り方
柱が①文か②文か異論が出るところ
・①文を柱とする考え。①文の「あれこれ」こそが筆者のいうところの「まず動く、そして考える」そのものと考えられるからである。
また①文の「べつの走り方」は、②文の「ひざを高く上げるような、大きな動作を」しない走り方であり、②文は①文をくわしく説明している。③④文はその結果の説明。
・②文を柱とする考え。しかし①文は②文の思いへ至った経過の説明だとも考えられ、②文が筆者が言うところの「まず動く」にあたるのであろうことから②文が柱とするとらえ方。
・結局文章は筆者の意図とは関係なく書かれた独立したものだとする立場に立てば、「書かれ方」こそが重要だという立場から考えると、①文を柱とし、②文がそれに対応する文だと考えるのが今のところ妥当とする立場に立つ。
③文は②文で「思いついた」ことの結果の説明。
④文は②文で「思いついた」こと、③文の「すばらしい結果」が出たことの論理的な説明。
★【要約】①文=少しでも楽に走れないものかと、べつの走り方をあれこれためした。(31文字)
前文の「動いて、考えて、また動く」の「動いて」にあたるのは、「別の走り方を」「あれこれためし」である。よって、そこを具体的に入れると、
少しでも楽にはしれないかと、べつの走り方をあれこれためし、あるとき「ひざを高く上げない」走り方をためした。
④文=このとき、必ずしも大きな動作で走るのがよいとはかぎらないのだと思いました。を合わせて要約文とする。
楽に走れないかと、べつの走り方をためした結果、必ずしも大きな動作で走るのがよいとはかぎらないのだと思った。(57文字)
★【吟味】
②文から①文へと辿り着いた経過はどうだったのか?どの程度試行錯誤があったのか?②文の他にどんな走り方をやってみたのか?本当に他の走り方をしたのか?

4段落・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
①    (説)後から考えて分かったのですが、それまでのわたしの、走るとき「ひざを高く引き上げる」ことばかりを考えすぎていました。
②    (説)たしかに、ひざを高く上げることは必要です。
③    (説)でも、それは地面をより強くふむために必要なのであり、ただ高く上げることに意味があるわけではないのです。
④    (柱)同じひざを高く上げる動作でも、地面を強くふむことを意識して行うことが大切なのだと気がつきました。
★【文関係の考察】
3段落の結果の説明の段落である。よって4段落は、3段落に絞り込まれる。よって要約する必要はない。
★【要約文】ひざを高く上げる動作でも、地面を強くふむことを意識して行うことが大切なのだと気づいた。
★【吟味】なぜ、地面を強くふくことが必要なのか?
     結局、ひざは高く上げるのか上げないのか?

5段落・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
①    (説)もう一つの「あしを思い切り後ろにける」ことについては、それからしばらくして、べつの発見をしました。
②    (柱)あしを後ろにけるのではなく、体の下にしぜんに下ろしていく感じで走るとよいのです。
③    (説)走るときは、ついあしを後ろにけって、その力で前に進もうとしています。
④    (説)しかし、これではあしが後ろにのこってしまい、そのあしを前にもってくる分のむだが生じます。
⑤    (例)忍者がぴたあっと下り坂をかけ下りていくようなイメージで走ると、体のむだな動きがなくなり、すうっと進んでいけます。
【文関係の考察】この段落も、4段落とともに3段落に絞り込まれる段落である。

6段落・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
①    (柱)あしの動きと同時に、うでのふりも重要です。
②    (説)このことは、陸上をつづけているとだれもが気がつくことです。
③    (例)陸上では、「うでで走れ。」という言葉があるほどです。
④    (例)ためにし、両手を後ろに組んで数十メートル走ってみてください。
⑤    (説)このほうが速く走れるという人はいないでしょう。
⑥    (説)これでは、着地するごとにかたがゆれてしまい、地面を強くふむことができません。
⑦    (説)右あしを出したときに左うでを前にふる、左あしを出したとき右うでを前にふるようにすれば、体全体のバランスが取れて、うでの力も使って力強くふみつけることができるようです。
★【文関係の考察】
②文~⑥文までは、①文「うでのふりの重要」性の説明。⑦文は①文に対応し、どううでをふればいいのかの説明。
★【要約文】うでのふりは、体全体のバランスを取り、力強くふみつけるために重要だ。(34文字)
なぜ「うでのふりが重要」なのかは、⑦文の「バランス」にあり、「バランス」がとれれば「力強くふみつけることができる」となっている。よって①文+⑦文で要約文を作る
★【吟味】

7段落・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
①    (説)このように、いろいろためしながら、自分に合ったあしの動かし方や、うでのふり方を考えました。
②    (柱)そうすることによって、自分にとって最高の走り方を見つけることができた気がします。
③    (説or前提)人によって、ほねの長さや筋肉のつき方はちがいます。
④    (説or結論→前提)ですから、習ったことなぞるだけでは、自分に合った走り方を身につけることはできません。
⑤    (説or最終結論=柱)何がむだか、そうでないかは、自分で動いてみて発見するしかないのです。
★【文関係の考察】

A案 ②文を柱とし、他の文は②文の説明する見方
① 文の「このように」で、2~6段を受け「自分に合ったあしの動かし方」「うでのふり方を考えました」とまとめている。②文の「そうすることによって」で① を受けて、まとめたことを「自分にとって最高の走り方」より高次に言い換えている。②文が柱。②文の「自分にとって最高の走り方」を①文の「自分に合った あしの動かし方」「うでのふり方」が説明しているとも言える。③~⑤文は、②文の「自分にとって」の説明とも言える。

B案 ①②文と③④⑤文では違う内容を述べており、②文と⑥文、柱が2つあるとする見方
①②文は②~⑥段のまとめ。①文を②文で言い換えてまとめているので柱。
③文は④文の前提、④文が結論でありさらに⑤文の前提、⑤文が結論(柱)。とみる見方。

★【要約文】
いろいろためしながら考えることによって、自分にとって最高の走り方を見つけることができた気がする。
★【吟味】
・「自分にあった」「あしの動かし方」・「自分にあった」「うでの動かし方」
・それは「自分に(筆者)に合った」走り方なのか?多くの人に合った走り方=走り方の基本ではないのか?

★2~7段落までの要約
2段落→走り方を工夫し始めたきっかけは、当時取り組んでいた走り方にぎもんを感じたことだ。
 (当時取り組んでいた走り方)→「ひざを高く上げて」「あしを思い切り後ろにける」、つまり大きな動作で走る」①+②走り方を工夫し始めたきっかけは、当時取り組んでいた「ひざを高く上げて」「あしを思い切り後ろにける」走り方にぎもんを感じたことだ。
3段落→少しでも楽に走れないかと、べつの走り方をあれこれためしてみた
 (べつの走り方)→ひざを高く上げるような、大きな動作をせずに走る走り方。
①+②少しでも楽に走れないかと、ひざを高く上げるような、大きな動作をせずに走る走り方をためしてみた。
4段落→ひざを高く上げる動作でも、地面を強くふむことを意識して行うことが大切だ。
5段落→あしを後ろにけるのではなく、体の下にしぜんに下ろしていく感じで走るとよい。
6段落→あしの動きと同時に、うでのふりも重要だ。
7段落→そうすることで、自分にとって最高の走り方を見つけることができた。

8段落・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
①    (柱)こうした経験からみなさんにつたえたいことは、自分にとって最高のものを実現するためには、「まず動く、そして考える」ことが大切だということです。
②    (説)自分なりの工夫も発見も、そこから始まります。
③    (説)自分から積極的に動いてみましょう。
④    (柱)そうして、成功や失敗をくり返し、工夫を重ねていくことで、あなたにしかできない方法が、きっと見つかるはずです。
★【文関係の考察】
★【要約文】
①自分にとって最高のものを実現するためには、「まず動く、そして考える」ことが大切である。
⑤    成功や失敗をくり返し、工夫を重ねていくことで、あなたにしかできない方法が、きっと見つかる。
①+④自分にとって最高のものを実現するためには、「まず動く、そして考える」ことが大切で、成功や失敗をくり返し、工夫を重ねていくことで、あなたにしかできない方法見つかる。

思考ユニットによる教材分析


凡例  思考ユニットの表し方  

思考ユニットの記号については  010401  思考ユニット外字一覧 参照

大きな文塊 を □囲み

構文素文にあたる文塊は グレーの背景色
まとめ的な要素にあたる文塊は ピンクの背景色


思考ユニットによる教材分析    

A 大きな論理構造

前文…[1] 段落

[1]
① 運動でも勉強でも、「まず動く、そして考える」ことが大切です。
   [そうして への くりこみ展開]
② そうして何度も成功や失敗をくり返しながら工夫を重ねると、きっと、自分にとって最高のものを実現できます。
   [②文は、③文に対しては直接的なつながりはない  ③文の冒頭に/さて/という話題転換の接続詞を入れられる]

   ①②文塊   [④そのように への くりこみ展開]

③ わたしは、かって陸上四百メートル走の選手であり、今はコーチとして指導をしています。
   [④文 /最高の走り方を目ざして取り組んできた長年の経験/への くりこみ展開 ]
④ 最高の走り方を目ざして取り組んできた長年の経験から、そのように考えるようになりました。

   [  ||  ]   [ 1段落④文/ 最高の走り方を目ざして取り組んできた長年の経験/を  以下の本文で説明する]

本文… [2]~[7]段落

   [  ||  ]  [1段落から7段落までを 包括するまとめ][まとめ的言いかえ]

後文…[8]段落  

[8]
(①文の前半) こうした経験からみなさんに伝えたいことは、

(①文の後半)自分にとって最高のものを実現するためには、「まず動く、そして考える」ことが大切だということです。
   [+ 並び]
② 自分なりの工夫も発見も、そこから始まります。
   [ソコデ型 展開]…(①文の後半)+②文が、理由となり、③④文に続いている
③自分から積極的に動いてみましょう。
   [+ 並び] あるいは [そうして への くりこみ展開]
④そうして、成功や失敗をくり返し、工夫を重ねていくことで、あなたにしかできない方法が、きっと見つかるはずです。   

後文にあたる8段落内の論理構造は、私の教材分析の内容と違っています。もしかすると、上のようなとらえ方の方が正しいのかもしれいなと感じましたので、ここに掲載しておきます。まさに、「動いて、考えて、また動く」ということを、この教材分析で実践しているような感じです。

[2013.07.31 ここまで]

B 本文内の論理構造

本文Ⅰ  高校生のとき、わたしはその当時の走り方にぎもんを感じた。

[2]
わたしが走り方を工夫し始めたきっかけは、高校生のとき当時取り組んでいた走り方ぎもんを感じたことでした。
      [↑]  当時取り組んでいた走り方を説明する 文塊

② それは、「ひざを高く上げて」「あしを思い切り後ろにける」、つまり大きな動作で走るというものです。
     [ そうすれば への くりこみ展開]
③ そうすれば、速く走れるといわれていたのです。  

     [  ||  ]   /当時取り組んでいた走り方にぎもんを感じた/ の言いかえ

わたしは、毎日毎日この練習くり返していました
    [×→] 逆接スルト型展開
⑤ けれども、この方法で四百メートルを走ると、苦しくて最後までつづかないのです。
    […→] 継起展開
「何かがちがうのではないか。」と、なやみ始めました

     [ ⇒ ] ソコデ型展開

本文Ⅱ   わたしは、自分に合った新しい走り方を見つけ、よい結果を出した。[わたしの走り方の工夫① 最初の成功]

[3] 3段落は、わたしのしたこと・思ったことを述べる継起展開の文塊
そこで、わたしは、少しでも楽に走れないものかと、べつの走り方をあれこれためしてみました。 [走り方の工夫の模索の始まり] 
      […→] 継起展開
あるとき、「ひざを高く上げるような、大きな動作をせず走ったらどうなるのか。」と思いつきました。
      […→] 継起展開
静岡県の記録会ためしてみると、予想をはるかに上回るすばらしい結果が出ました
      […→] 継起展開   あるいは  [ このとき への くりこみ展開]
このとき必ずしも大きな動作で走るのがよいとはかぎらないのだ思いました。

      […→] 継起展開

本文Ⅲ   わたしは、その後、ひざを高く上げるときの意識の違いに気づいた。[わたしの走り方の工夫①からの気づき=走り方の工夫②]
       ①文は、以前のひざを高く上げるときの意識の問題点
       ④文は、新しく気づいたひざを高く上げるときの正しい意識の持ち方

[4]
後から考えて分かったのですが、それまでのわたしは、走るとき「ひざを高く引き上げる」ことばかりを考えすぎていました
     [↑↓]  事想展開
 ② たしかに、ひざを高く上げることは必要です。
   [それは への くりこみ展開]
③ でも、それは地面をより強くふむために必要なのであり、ただ高く上げることに意味があるわけではないのです。
 

    […→] 継起展開

同じひざを高く上げる動作でも、地面を強くふむことを意識して行うことが大切なのだと気がつきました

      […→] 継起展開

本文Ⅳ  それからしばらくして、わたしは、「あしを思い切り後ろにける」ことについてのべつの発見をした。[走り方の工夫③]

[5]  ①もう一つの「あしを思い切り後ろにける」ことについてはそれからしばらくしてべつの発見をしました。
       [  ||  ]  予告的いいかえ …べつの発見の説明が②~➄

 ②あしを後ろにけるのではなく、体の下にしぜんに下ろしていく感じで走るとよいのです。

      [↑]  ナゼナラ   あるいは  [  ||  ]  …一般的いいかえ

 ③ 走るときは、ついあしを後ろにけって、その力で前に進もうとしています。
      [これ への くりこみ展開]
 ④ しかし、これではあしが後ろにのこってしまい、そのあしを前にもってくる分のむだが生じます。
      [ ←→ ]  前置き的対比  …③④が前置きで、言いたいことは➄にある。
 ⑤ 忍者がぴたあっと下り坂をかけ下りていくようなイメージで走ると、体のむだな動きがなくなり、すうっと進んでいけます

      [ [6]段落の①文「あしの動き」 へのくりこみ展開] …ここまでは「あしの動き」の重要性を述べてきた。
       …[6]段落の①文「あしの動き」について説明しているのが、[2]~[5]段落。

[5]段落の②文と③~➄文の論理関係は次のように考えるとわかりやすい。
②文の「あしを後ろにけるのではなく」の理由[なぜあしを後ろにけるのはいけないのか]について、③④文で説明している。
②文の「体の下にしぜんに下ろしていく感じで走る」の言いかえが、➄文の「忍者がぴたあっと下り坂をかけ下りていくようなイメージで走る」。そして、②文の「体の下にしぜんに下ろしていく感じで走るとよい」理由が、➄文の「体のむだな動きがなくなり、すうっと進んでいけます」にあたる。

本文Ⅴ  うでのふり方  [走り方の工夫④]

[6]  
①あしの動きと同時に、うでのふりも重要です。
     [↑]  ドンナ…「うでのふりも重要」についての補足説明

 ② このことは、陸上をつづけているとだれもが気がつくことです。
     [+] 並び
 ③ 陸上では、「うでで走れ。」という言葉があるほどです。

      [↑]  ナゼナラ   …うでをふらない走り方の問題点と比較して、どのようなうでのふり方がよいのか説明している

 ④ ためにし、両手を後ろに組んで数十メートル走ってみてください。    …うでをふらない走り方
      [このほう への くりこみ展開]
 ⑤ このほうが速く走れるという人はいないでしょう。
      [これでは への くりこみ展開]
 ⑥ これでは、着地するごとにかたがゆれてしまい、地面を強くふむことができません。  …うでをふらない走り方の問題点
     [ ←→ ]  前置き的対比  …④➄⑥が前置きで、言いたいことは➆にある。
 ⑦ 右あしを出したときに左うでを前にふる、左あしを出したとき右うでを前にふるようにすれば、体全体のバランスが取れて、うでの力も使って力強くふみつけることができるのです。

   [[7]①文の「このように」 への くりこみ展開 ]…[2]~[6]段落全体が、[7]段落①文の「このように」にくりこむ

前置き対比 と 考えた理由
対比語句  「両手を後ろに組んで」と「右あしを出したときに左うでを前にふる、左あしを出したとき右うでを前にふるようにすれば
       「着地するごとにかたがゆれてしまい、地面を強くふむことができません」と「体全体のバランスが取れて、うでの力も使って力強くふみつけることができるのです。」

本文Ⅵ  …いろいろためしながら、自分に合った足の動かし方や、うでのふり方を考え、自分にとって最高の走り方を見つけることができた。

本文Ⅰから本文Ⅴまでのまとめ
[7]①文の「自分に合ったあしの動かし方」について説明しているのが、本文Ⅰ~Ⅳ([2]~[5]段落)
[7]②文の「自分に合ったうでのふり方」について説明しているのが、本文Ⅴ([6]段落)

[7]  

 ① このように、いろいろためしながら、自分に合ったあしの動かし方や、うでのふり方を考えました。
      [→] スルト型展開  あるいは  […→] 継起展開
 ② そうすることによって、自分にとって最高の走り方を見つけることができた気がします

      [↑]  ナゼナラ   …自分に合った 自分にとって最高 となるのか の理由

 ③ 人によって、ほねの長さや筋肉のつき方はちがいます。
     [ ⇒ ] ソコデ型展開
 ④ ですから、習ったことなぞるだけでは、自分に合った走り方を身につけることはできません。
     [ ⇒ ] ソコデ型展開  あるいは  [  ||  ]  裏がえし的いいかえ
 ⑤ 何がむだか、そうでないかは、自分で動いてみて発見するしかないのです。

本文の内部構造

[ 本文Ⅰから本文Ⅴ ] 
  [  ||  ]… まとめ的いいかえ 
[ 本文Ⅵの①と② ]

 
 本文Ⅰ
  […→]継起展開
本文Ⅱ
  […→]継起展開
本文Ⅲ
  […→]継起展開
本文Ⅳ
   [くりこみ展開]
本文Ⅴ
   [  ||  ]… まとめ的いいかえ
 本文Ⅵ

[この部分 2013.08.03 公開]


補説  部分的にも記録文と説明文を読み分けるメリット

説明文と記録文という文種は、述べ方の違いによって説明的文章のジャンル分けに使われます。
時間の順序で書かれた説明的文章が「記録文」であり、時間の順序以外の論理で書かれた説明的文章が「説明文」「論説文」です。

実際の説明的文章をみてみると、完全な「記録文」「説明文」はほとんどないようで、「記録文」の中に「説明文」が挿入されていたり、「説明文」の中に「記録文」が挿入されていたりする説明的文章がほとんどだと思います。

そこで、私は、説明的文章の文種を考える時に、「時間の順序で書かれている部分」「時間の順序以外の論理で書かれている部分」を大きくとらえてから、文種を考えたり、構造よみを行ったりすることが、無用な「柱の文(段落)さがし」に陥らなくてすむと考えています。

この「動いて、考えて、また動く」という説明的文章でいうと、無用な「柱の文(段落)さがし」をしなくてもいい部分は、[2]~[5]段落。

○記録文の部分も説明文だと考えて論理関係をよんでしまうと、記録文の部分にも、柱と柱以外の関係を見出すことになる。そうすると、非常に論理読みが難しくなってしまう。ところが、説明文の部分と記録文の部分が区別できていると、記録文の部分は基本的に柱と柱の関係であると考えることになり、記録文の中の一つ一つの文関係に悩む必要はなくなる。記録文の部分は、全体でひとつのかたまりとして把握すればよい。そして構造読みとして考えるべきことは、説明文の部分と記録文のかたまりとの論理関係がどうなっているかのみになる。

上の○印以降の部分が、メリットです。

では、この「動いて、考えて、また動く」という説明的文章で、記録文と説明文とを区別してみるとどうなるでしょうか。

[1]  今考えていること。現在。 ①②説明文。③④記録文。

①   運動でも勉強でも、「まず動く、そして考える」ことが大切です。
②   そうして何度も成功や失敗をくり返しながら工夫を重ねると、きっと、自分にとって最高のものを実現できます。
③   わたしは、かって陸上四百メートル走の選手であり、今はコーチとして指導をしています。
④   最高の走り方を目ざして取り組んできた長年の経験から、そのように考えるようになりました。

[2] 高校生のときのこと。過去。一番昔のこと。記録文。

①   わたしが走り方を工夫し始めたきっかけは、高校生のとき、当時取り組んでいた走り方にぎもんを感じたことでした。
②   それは、「ひざを高く上げて」「あしを思い切り後ろにける」、つまり大きな動作で走るというものです
③   そうすれば、速く走れるといわれていたのです。

④ ⑤ 高校生のとき。速く走れるといわれていた走り方の練習をくり返していたが、苦しい。…過去。一番の昔のこと。
⑥ 「何かちがう」と、なやむ。

④   わたしは、毎日毎日この練習をくり返していました。
⑤   けれども、この方法で四百メートルを走ると、苦しくて最後までつづかないのです。
⑥   「何かがちがうのではないか。」と、なやみ始めました。

⑥文に、時間的には続くのが、[2]①文の「わたしが走り方を工夫し始めた」である。しかし、文の流れからすると、⑥文に続くのは、[3]の①文である。[3]の①文が、[2]①文の「わたしが走り方を工夫し始めた」のいいかえになっている。

[3] 高校生のとき。続き。過去。記録文。

①楽に走れる方法をあれこれためす→②「あるとき」思いつき、③「記録会」でためすと、よい結果がでた。④「このとき」大きな動作で走るのがよいとはかぎらないと思う。

①   そこで、わたしは、少しでも楽に走れないものかと、べつの走り方をあれこれためしてみました。
②   あるとき、「ひざを高く上げるような、大きな動作をせず走ったらどうなるのか。」と思いつきました。
③   静岡県の記録会でためしてみると、予想をはるかに上回るすばらしい結果が出ました。
④   このとき、必ずしも大きな動作で走るのがよいとはかぎらないのだと思いました。

[4] 高校生のとき。続き。過去。 最初の発見。「ひざの上げ方」。「後から考えてわかったこと」①それまで「ひざを高く引き上げること」ばかり考えていた。④「地面を強くふむことを意識して、ひざを上げる」動作が大切。記録文。

①   後から考えて分かったのですが、それまでのわたしの、走るとき「ひざを高く引き上げる」ことばかりを考えすぎていました。
②   たしかに、ひざを高く上げることは必要です。
③   でも、それは地面をより強くふむために必要なのであり、ただ高く上げることに意味があるわけではないのです。
④   同じひざを高く上げる動作でも、地面を強くふむことを意識して行うことが大切なのだと気がつきました。

[5] 高校生のとき。続き。過去。二つ目の発見(別の発見)。「それからしばらくして」。記録文。
 「それからしばらくして」「あしを思い切り後ろにける」ことについて、べつの発見をした。

①    もう一つの「あしを思い切り後ろにける」ことについては、それからしばらくして、べつの発見をしました。
②    あしを後ろにけるのではなく、体の下にしぜんに下ろしていく感じで走るとよいのです。
③    走るときは、ついあしを後ろにけって、その力で前に進もうとしています。
④    しかし、これではあしが後ろにのこってしまい、そのあしを前にもってくる分のむだが生じます。
⑤    忍者がぴたあっと下り坂をかけ下りていくようなイメージで走ると、体のむだな動きがなくなり、すうっと進んでいけます。

ここまで ([2]~[5]段落)が、高校生のときのこと。時がはっきり分かる記録文になっている。
基本的には、[2]~[5]段落は、ひとかたまりで、柱の文がどの段落であるか、という視点で考える必要はない。ただし、内容的なことで、まとまりを考えるとすると、次のように考えられる。

[2]   高校生のとき、走り方の工夫を始めた。それは「ひざを高く上げて」「あしを思い切り後ろにける」という走り方にぎもんを感じたからだ。

[3][4] 「ひざを高く上げる」ことについての工夫。走り方の発見①…自分に合ったあしの動かし方①

[5]  「あしを思い切り後ろにける」ことについての工夫。走り方の発見②…自分に合ったあしの動かし方②

そして、次の[6]段落は、ここまでの述べ方と違い、説明文となる。内容は、「うでのふり方」について。

[6]

①    あしの動きと同時に、うでのふりも重要です。
②    このことは、陸上をつづけているとだれもが気がつくことです。
③    陸上では、「うでで走れ。」という言葉があるほどです。
④    ためにし、両手を後ろに組んで数十メートル走ってみてください。
⑤    このほうが速く走れるという人はいないでしょう。
⑥    これでは、着地するごとにかたがゆれてしまい、地面を強くふむことができません。
⑦    右あしを出したときに左うでを前にふる、左あしを出したとき右うでを前にふるようにすれば、体全体のバランスが取れて、うでの力も使って力強くふみつけることができるようです。

本文のまとめにあたる[7]段落は、一応、私は、記録文とみました。①②文が、記録文で、この部分が中心。③~➄文は、「自分で動いて発見するしかない理由」説明で、ここは、説明文。

[7]段落は、高校生のとき以降も「いろいろためしながら、自分に合ったあしの動かし方や、うでのふり方を考え」続けてきた、とみて、コーチとして指導しながらも「最高の走り方」を模索してきたのではないでしょうか。ときは、「現在」にもつながっている。

[7] ときは、現在。①②…記録文

①    このように、いろいろためしながら、自分に合ったあしの動かし方や、うでのふり方を考えました。
②    そうすることによって、自分にとって最高の走り方を見つけることができた気がします。

  [ ↑ ] ①②の理由  ③~➄…説明文

③    人によって、ほねの長さや筋肉のつき方はちがいます。
④    ですから、習ったことなぞるだけでは、自分に合った走り方を身につけることはできません。
⑤    何がむだか、そうでないかは、自分で動いてみて発見するしかないのです。

ここまでが、大きな記録文。  
そして、[8]段落は、[1]~[7]段落をすべてまとめる形で、筆者の主張が述べられている。
[8]段落は、説明文なので、①文から④文までの論理関係を「柱と柱以外の関係」で、把握する必要がある段落となる。

[8]段落  ときは、現在。説明文。

①    こうした経験からみなさんにつたえたいことは、自分にとって最高のものを実現するためには、「まず動く、そして考える」ことが大切だということです。
②    自分なりの工夫も発見も、そこから始まります。
③    自分から積極的に動いてみましょう。
④    そうして、成功や失敗をくり返し、工夫を重ねていくことで、あなたにしかできない方法が、きっと見つかるはずです。

[この補説の部分 2013.08.08 公開]


教材文

[1]
①   運動でも勉強でも、「まず動く、そして考える」ことが大切です。
②   そうして何度も成功や失敗をくり返しながら工夫を重ねると、きっと、自分にとって最高のものを実現できます。
③   わたしは、かって陸上四百メートル走の選手であり、今はコーチとして指導をしています。
④   最高の走り方を目ざして取り組んできた長年の経験から、そのように考えるようになりました。
[2]
①   わたしが走り方を工夫し始めたきっかけは、高校生のとき、当時取り組んでいた走り方にぎもんを感じたことでした。
②   それは、「ひざを高く上げて」「あしを思い切り後ろにける」、つまり大きな動作で走るというものです
③   そうすれば、速く走れるといわれていたのです。
④   わたしは、毎日毎日この練習をくり返していました。
⑤   けれども、この方法で四百メートルを走ると、苦しくて最後までつづかないのです。
⑥   「何かがちがうのではないか。」と、なやみ始めました。
[3]
①   そこで、わたしは、少しでも楽に走れないものかと、べつの走り方をあれこれためしてみました。
②   あるとき、「ひざを高く上げるような、大きな動作をせず走ったらどうなるのか。」と思いつきました。
③   静岡県の記録会でためしてみると、予想をはるかに上回るすばらしい結果が出ました。
④   このとき、必ずしも大きな動作で走るのがよいとはかぎらないのだと思いました。
[4]
①   後から考えて分かったのですが、それまでのわたしの、走るとき「ひざを高く引き上げる」ことばかりを考えすぎていました。
②   たしかに、ひざを高く上げることは必要です。
③   でも、それは地面をより強くふむために必要なのであり、ただ高く上げることに意味があるわけではないのです。
④   同じひざを高く上げる動作でも、地面を強くふむことを意識して行うことが大切なのだと気がつきました。
[5]
①    もう一つの「あしを思い切り後ろにける」ことについては、それからしばらくして、べつの発見をしました。
②    あしを後ろにけるのではなく、体の下にしぜんに下ろしていく感じで走るとよいのです。
③    走るときは、ついあしを後ろにけって、その力で前に進もうとしています。
④    しかし、これではあしが後ろにのこってしまい、そのあしを前にもってくる分のむだが生じます。
⑤    忍者がぴたあっと下り坂をかけ下りていくようなイメージで走ると、体のむだな動きがなくなり、すうっと進んでいけます。
[6]
①    あしの動きと同時に、うでのふりも重要です。
②    このことは、陸上をつづけているとだれもが気がつくことです。
③    陸上では、「うでで走れ。」という言葉があるほどです。
④    ためにし、両手を後ろに組んで数十メートル走ってみてください。
⑤    このほうが速く走れるという人はいないでしょう。
⑥    これでは、着地するごとにかたがゆれてしまい、地面を強くふむことができません。
⑦    右あしを出したときに左うでを前にふる、左あしを出したとき右うでを前にふるようにすれば、体全体のバランスが取れて、うでの力も使って力強くふみつけることができるようです。
[7]
①    このように、いろいろためしながら、自分に合ったあしの動かし方や、うでのふり方を考えました。
②    そうすることによって、自分にとって最高の走り方を見つけることができた気がします。
③    人によって、ほねの長さや筋肉のつき方はちがいます。
④    ですから、習ったことなぞるだけでは、自分に合った走り方を身につけることはできません。
⑤    何がむだか、そうでないかは、自分で動いてみて発見するしかないのです。
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①    こうした経験からみなさんにつたえたいことは、自分にとって最高のものを実現するためには、「まず動く、そして考える」ことが大切だということです。
②    自分なりの工夫も発見も、そこから始まります。
③    自分から積極的に動いてみましょう。
④    そうして、成功や失敗をくり返し、工夫を重ねていくことで、あなたにしかできない方法が、きっと見つかるはずです。